観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

生涯の仕事 ― 後輩へ

2015-03-01 08:00:41 | 15
平成23年度卒業 瀧口晴嵩

 卒業してから3年が経ち、このように自分の考えを書き下ろすという作業が久しぶりである。その分、思ったり感じたりした事のストックがあるようにも思う。
 私は獣医学科を卒業した獣医師であり、小動物臨床医として3年間働いている。ちょうど、過去にいただいた患者さんからのお手紙を読み返したりしているところで「Observatoin」の原稿を書こうかと思い立った次第である。テーマは生涯にわたって付き合っていく“仕事”についてである。
 私には恩師と呼べる方が3人いらっしゃるが、高槻先生はその一人である。3人の恩師はそれぞれいろんな事をおっしゃっていて、間違いなく全員からの影響を受けて今の私があるのだろう。
 多くの若い人がそうであると思うが、私も仕事を決めるのに相当苦しんだ。その答えが臨床医であったが、今はそれが天職であると確信している。苦しいときや、嫌な事もたくさんあったし、むしろそういう事はこれからなのかもしれない。しかし、病気が治ってこぼれるような笑顔が見られる瞬間や、懸命の治療むなしく亡くなってしまった時も、真っ赤に眼をはらしながら「先生に診ていただいて本当に良かったです」と言っていただける瞬間、この仕事を選んでよかったと感じることができる。おそらくどんな仕事も一生勉強なのだと思うが、私はこの仕事であれば一生努力する事を厭わない。
 おそらくそれは、「好きな仕事」だからだと思う。この部分は3人の恩師のうちでも高槻先生から学んだ事であろう。高槻先生の口から直接その言葉を伺ったわけではないが、先生の科学に対する態度を拝見していれば自ずとわかってくる。私の場合は、対象になるものが先生と少し違ったが、一生臨床に傾倒する事に迷いがないと確信できるのは、先生の影響があるのかもしれない。仕事を選ぶのに、給料や労働条件を下調べすることも否定しないが、好きな事だからと突っ走ってもよいと思う。しばらく突っ走って、その道を極めて、それから考えればいいのだと思う。別の恩師は「なんでもいいから死ぬ気で極めて、No.1になりなさい」と繰り返しておっしゃっていた。好きな事をする事と、待遇をあきらめる事は決してイコールではない。だから安心して好きな事をしなさいと2人の恩師から言われているような気もする。
 誰もがどんな挑戦にも挑める情勢と時代にいるのだから、私より若い皆さんも是非愚直に生きてみてはどうだろうか?


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