三年 山尾佳奈子
調査地のカヤネズミ用の食痕トラップを順に回り、球巣を探すためススキの株の中を覗き込む作業をしていた。調査を続ける中で生長したススキの葉の先端に「ちまき」のように丸まったものが多く見受けられた。
<ここに写真1を入れる。ススキの葉先にあった「ちまき」>
何の目的でつくられたのだろう、中には何がいるのかな、それとももういないのかな。興味が湧いて、葉先をちぎって開いてみた。ちまき状のものは内部が幾重にも糸で覆われており、あけるときはブチブチと音を立てているような、とても強い力でススキの葉が内側から目貼りされているように巻かれていた。中から2mmほどのクモが波のように出てきた。ざっと見て20匹以上はいたであろう幼体の大群。その中から3cmほどのクモが一匹飛び出してきた。大きなクモは前足をあげ、私の持っていた細い枝に、威嚇の体制をとっていた。このクモを調べてみるとカバキコマチグモというクモだった。
ちまき状に巻かれたススキの葉、このなかにカバキコマチグモがいた
中から出てきたカバキコマチグモの母親
多くのクモ類で親が卵嚢や幼体を保護・防衛する行動がみられ、カバキコマチグモの雌は卵塊とともにちまき状に巻いた巣に閉じこもるという。孵化した幼体は二齢まで成長すると親を餌として成長するという。雌は生まれた子供の餌となり、多回交尾ができないので、雄にとっては重要な資源である。調べて行く中でカバキコマチグモの雄は雌より先に成熟し、交尾前ガードを行うということがわかった。雄の体サイズには成熟日の早い小型タイプと小型オスより10日ほど遅い大型タイプの二型があり、小型タイプの方が交尾の成功度が比較的高いのだという。処女雌はもういないのかな、日の出でも本当に二型なのか、この後雌は逃げたがまた交尾するのか、など調査地で撮った写真をみながら次々と知りたいことが浮かんで来た。
調査に行くときは対象動物だけでなく多くの生き物を実際にみて、考えるよい機会だと思う。今後も色々な方の調査地に同行し、より多くの発見や疑問に触れていきたいと思う。
調査地のカヤネズミ用の食痕トラップを順に回り、球巣を探すためススキの株の中を覗き込む作業をしていた。調査を続ける中で生長したススキの葉の先端に「ちまき」のように丸まったものが多く見受けられた。
<ここに写真1を入れる。ススキの葉先にあった「ちまき」>
何の目的でつくられたのだろう、中には何がいるのかな、それとももういないのかな。興味が湧いて、葉先をちぎって開いてみた。ちまき状のものは内部が幾重にも糸で覆われており、あけるときはブチブチと音を立てているような、とても強い力でススキの葉が内側から目貼りされているように巻かれていた。中から2mmほどのクモが波のように出てきた。ざっと見て20匹以上はいたであろう幼体の大群。その中から3cmほどのクモが一匹飛び出してきた。大きなクモは前足をあげ、私の持っていた細い枝に、威嚇の体制をとっていた。このクモを調べてみるとカバキコマチグモというクモだった。
ちまき状に巻かれたススキの葉、このなかにカバキコマチグモがいた
中から出てきたカバキコマチグモの母親
多くのクモ類で親が卵嚢や幼体を保護・防衛する行動がみられ、カバキコマチグモの雌は卵塊とともにちまき状に巻いた巣に閉じこもるという。孵化した幼体は二齢まで成長すると親を餌として成長するという。雌は生まれた子供の餌となり、多回交尾ができないので、雄にとっては重要な資源である。調べて行く中でカバキコマチグモの雄は雌より先に成熟し、交尾前ガードを行うということがわかった。雄の体サイズには成熟日の早い小型タイプと小型オスより10日ほど遅い大型タイプの二型があり、小型タイプの方が交尾の成功度が比較的高いのだという。処女雌はもういないのかな、日の出でも本当に二型なのか、この後雌は逃げたがまた交尾するのか、など調査地で撮った写真をみながら次々と知りたいことが浮かんで来た。
調査に行くときは対象動物だけでなく多くの生き物を実際にみて、考えるよい機会だと思う。今後も色々な方の調査地に同行し、より多くの発見や疑問に触れていきたいと思う。