観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

はじめに

2015-03-02 20:55:45 | 15
私は観察という言葉と実際に観察することが好きです。それが生物を理解するいちばん大切なことだと思うからです。そういう思いがあったので、研究室の学生に自然についてエッセーを書いてもらうことにし、そのタイトルを「観察 Observation 」としました。
 観察すれば文章が書けるということはありませんが、観察しなければ文章が書けないのは確かです。だから観察の勧めとしての機能を持たせました。同時に人に文章を書くという意識を持ってもらうことで、観察そのものに主体性を持ってもらうことを期待しました。そう、観察とは網膜にものが映ることとはまったく違うことを知ってもらいたいと思ったのです。また観察したことを文章に表現するには正確な言葉と表現が必要なことや、技術も要ることを体験してもらおうと思ったのです。
 そうして8年ほどが経ちました。私は毎月文章を書くようにし、学生には担当を指定して文章を書いてもらうようにしました。簡単なレポートくらいしか書いたことがない3年生はだいたいうまくいきません。でも、自分が見たオリジナルな体験があれば、アドバイスすることで見違えるようによい文章になりました。そのことで文章を書くことのよろこびを知った人もいるはずです。研究の成果は卒業論文に集約され、その中から学術論文になったものもありますが、オブザベーションの記録もまたこの研究室8年間の活動の蓄積になったと思います。
 2007年に麻布大学に赴任して、この3月で定年となり退職することになりました。このエッセーシリーズが引き継がれることを期待しますが、それはどうなるかわかりません。断続的でも続けてもらえれば幸いです。それでもこの号が大きな節目になることはまちがいないことで、私は最後の文章を載せることになりました。その最後の文章は最終講義の内容にすることにしました(3月8日以降掲載)。
 そうしたこともあり、いつもは扉の写真をそれぞれの季節を象徴するような写真にしていましたが、勝手ながら私がモンゴルの草原で群落記載をしている写真を載せるわがままをさせてもらいました。
 それから卒業生に声をかけたところ、いく人からの人が文章を寄せてくださいました。また、ご挨拶を送ったら、返事をくださった方、最終講義に参加して感想を寄せられた方もあり、了解を得て掲載させてもらいました。ありがとうございました。
 研究室のみなさんがこれからも観察することを研究の基本とし、野生動物学研究室が自然から学ぶという姿勢で活発に研究を進めてくれることを期待しています。8年間たいへんお世話になりました。

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