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ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

演劇人交流パーティー

2008-02-10 11:15:04 | 能楽
先日、ある演劇サイトが主催する演劇人交流パーティーというものに参加してきました。

こういうところに参加するのは初めての経験だったので緊張しましたが、参加者は300数十人という かなり大規模なもので、これまた ぬえはどうして良いものやら。。

演劇人。。つまり役者や制作者、スタッフなどが大勢集って、お互いに名刺を交換し、チラシなどを配って宣伝、情報交換をする、という企画で、参加者は演劇人限定のパーティーでした。ぬえも能楽堂の中で能楽師とばかり お付き合いしているのも能があるまい、と思って参加してみました。ん~、演劇人という集まりの中では ぬえはかなり異質ではあったと思いますけれども。。

それにしても、世の中には こんなに大勢の役者さんがいらっしゃるんだ。。参加者は首から名札を下げて、そのストラップの色で その人がスタッフか役者さんかが分かるようになっています。若い役者さんは ほとんど20歳代でしょうか。役者だけで生計を立てている方はむしろ少なかったのかもしれませんが、それでもお話をしていると、あるいは熱く、あるいは面白おかしく、自分たちの芝居のアピールをされて、とっても興味深いパーティーだったと思います。能楽師だというので ぬえには興味を持ってくださった方も多かったですけれども、公演チラシを持っていかなかった ぬえ。後悔しました~。

でも。。参加者に「へええ~~、それでは ぬえもお舞台を拝見に行こうかな。。現代演劇というのは ほとんど見たことがないので。。それで次の公演はいつなんですか? 公演チラシを頂けます?」と聞いたところ、お答えは。。「次の公演は。。12月なんです。まだチラシも出来ていなくて。。」という方が何人もおられて。。やはり公演を企画する、というのは大変なことなのでしょう。そりゃ能楽師だって自分だけの催しをするのは大変だけれど。この方に聞いてみれば、年に1度か2度本格的な公演があって、そのほかに いくつかの小さな催しが単発的にある、という感じでした。これほど多くの劇団や役者さんがいらっしゃるのだから、その中でいかに自分たちを宣伝して公演を進めるのは本当に大変なことでしょう。

しかしまた思ったのですが、そういう厳しい競争の中での公演ですから、上演が近い方が持っておられたチラシを見ると、デザインといい、アピールといい、とってもよく考えられていますね。デザインは誰がされているのだろう。能のチラシも最近は だいぶデザインも良くなってきたけれど、いまだに文字だけの番組も多いです。やはりこのパーティーでも「能はいつ、どこでやっているかわからない」という声も聞かれました。まだ能を見たことのない若い観客に能楽堂に足を運んで頂くために、宣伝方法を工夫するほかに、こういうように目に訴えて、それこそ競争力を持った現代演劇のチラシに負けないチラシを作ることも必要で、こういう点は まだまだ考えていかなければいけないことだなあ、と思いました。

このパーティーには ぬえ、一人で出かけたこともあって、ちょっと気後れしてしまって あまり名刺交換もできませんでしたが、ある参加者から突然「ぬえさんですよね?」と呼び止められたのにはビックリ。聞けばお若いのに劇団を主宰されておられる方で、ぬえを知っているのはある能楽師の友人だからなのだそうで、ご自身も狂言を習ったりされておられるそうです。ええ~~?でも ぬえはさすがに能の公演では ぬえとは名乗らずに本名で出演している(当たり前)んですが。。

それと、パーティーでお近づきになったまた別の方は、大きな公演のほかに一人芝居をされておられるそうで、時には能に取材した芝居もされる事があるそう。話がはずんで次回、3月に表参道で行われる小さな公演を ぬえも拝見に伺うことにしました。

ちょっと普段の ぬえの生活とは違う場ではありましたが、いろいろ考えさせられる事も多く、熱気にあふれたパーティーでした。来年もまた行ってみようかな。