さて実演の解説に戻りまして。
<楽>の最後、四段目からは一人で舞っていたシテは大小前(岩屋の作物の前)で舞上げ、地謡「糸竹の調めとりどりに」と中左右、打込、ヒラキという舞上げの定型の型をします。
以下、地謡に合わせて再びツレから酌を受け、ついにシテは酔い伏すことになります。
地謡「糸竹の調めとりどりに。さす杯も。度々巡れば。夫人の情けに心を移し。仙人は次第に足弱車の。巡るも漂ふ舞の袂を片敷き臥せば」
このところも いろいろな型があるようで、ぬえの師家では酌はないのが本来の型のようです。その場合はシテはまず正へ少し出て、ツレへ向きヒラキ、角へ行きながら葉団扇を左手にとって、左へ廻り、萩屋の作物の前にて小さく廻って、葉団扇を顔にかざして枕扇をしながら安座をする、というもの。と言っても ぬえもこの型を実見したことがありません。やはりツレの酌がないとお客さまに分かりづらいし、シテが酔った感じも表現しにくいのでしょう。
師家の型でツレから酌を受ける場合は「さす杯も」のあたりでツレへ向いて下居、ツレは立ち上がってシテの前へゆき酌をするのです。シテは酌を受けると立ち上がって、あとは上記の通り角へ行き葉団扇を左手にとります。
もっとも今回の ぬえは師匠が以前に工夫した型で、ツレから二度酌を受けて、葉団扇は右手に持ったまま正面に向いて立ち上がり、先まで出てから左へ廻り、脇座少し低めの位置で小さく廻りながら葉団扇を左手にとって枕扇をすることにしました。安座は、どうしようかな? 装束の膝が割れてしまうから下居でもよいとは思いますが。。いずれにしても小さく廻るところで酩酊の感じを出すわけで、ここで ふらふらな演技をするワケです。あ、それなら ぬえ、得意。(;^_^A
地謡「夫人は悦び官人を引き連れ遥々なりし山路を凌ぎ。帝都に帰らせ給ひけり。
この頃、囃子方の後方にずっと待機していたワキツレの輿舁は、退場するツレに輿を差しかける準備をしています。
シテが酔いつぶれたのを見届けたツレは、さっさと橋掛りへ行き、ワキもそれに従います。橋掛り一之松でツレは一瞬立ち止まり、そこにワキツレが輿を差しかけて、あとは一同は一気に幕の中に消え、シテだけがぽつんと舞台に取り残されます。
先日、今回のツレを勤めるKくんと二人で稽古していたら、Kくんはこう言っていました。「この夫人は刺客なんだから、いっそのこと酌をする酒に毒を盛ってしまえば。。」
なるほど。それならば酌をすると見せかけてシテを ぐっさり、という手もあるワケだ。
。。そうしたら剣をもう一本作らなきゃならないけど。(T.T)
<楽>の最後、四段目からは一人で舞っていたシテは大小前(岩屋の作物の前)で舞上げ、地謡「糸竹の調めとりどりに」と中左右、打込、ヒラキという舞上げの定型の型をします。
以下、地謡に合わせて再びツレから酌を受け、ついにシテは酔い伏すことになります。
地謡「糸竹の調めとりどりに。さす杯も。度々巡れば。夫人の情けに心を移し。仙人は次第に足弱車の。巡るも漂ふ舞の袂を片敷き臥せば」
このところも いろいろな型があるようで、ぬえの師家では酌はないのが本来の型のようです。その場合はシテはまず正へ少し出て、ツレへ向きヒラキ、角へ行きながら葉団扇を左手にとって、左へ廻り、萩屋の作物の前にて小さく廻って、葉団扇を顔にかざして枕扇をしながら安座をする、というもの。と言っても ぬえもこの型を実見したことがありません。やはりツレの酌がないとお客さまに分かりづらいし、シテが酔った感じも表現しにくいのでしょう。
師家の型でツレから酌を受ける場合は「さす杯も」のあたりでツレへ向いて下居、ツレは立ち上がってシテの前へゆき酌をするのです。シテは酌を受けると立ち上がって、あとは上記の通り角へ行き葉団扇を左手にとります。
もっとも今回の ぬえは師匠が以前に工夫した型で、ツレから二度酌を受けて、葉団扇は右手に持ったまま正面に向いて立ち上がり、先まで出てから左へ廻り、脇座少し低めの位置で小さく廻りながら葉団扇を左手にとって枕扇をすることにしました。安座は、どうしようかな? 装束の膝が割れてしまうから下居でもよいとは思いますが。。いずれにしても小さく廻るところで酩酊の感じを出すわけで、ここで ふらふらな演技をするワケです。あ、それなら ぬえ、得意。(;^_^A
地謡「夫人は悦び官人を引き連れ遥々なりし山路を凌ぎ。帝都に帰らせ給ひけり。
この頃、囃子方の後方にずっと待機していたワキツレの輿舁は、退場するツレに輿を差しかける準備をしています。
シテが酔いつぶれたのを見届けたツレは、さっさと橋掛りへ行き、ワキもそれに従います。橋掛り一之松でツレは一瞬立ち止まり、そこにワキツレが輿を差しかけて、あとは一同は一気に幕の中に消え、シテだけがぽつんと舞台に取り残されます。
先日、今回のツレを勤めるKくんと二人で稽古していたら、Kくんはこう言っていました。「この夫人は刺客なんだから、いっそのこと酌をする酒に毒を盛ってしまえば。。」
なるほど。それならば酌をすると見せかけてシテを ぐっさり、という手もあるワケだ。
。。そうしたら剣をもう一本作らなきゃならないけど。(T.T)