ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆の子ども能のお稽古

2013-01-30 00:54:31 | 能楽
いまは学校公演で大阪に来ております。いろんな催しの準備をしながら、なんだかバタバタしてしまって更新ができず申し訳ありません~~

土曜日、1月26日は伊豆のお稽古でした~。珍しく電車で伊豆に行ったのですが、稽古に間に合うように到着するには早朝出発! でも朝のお稽古では、ずっと受験勉強で大変だった ひとちゃんが、無事私立女子中学に合格してこの日久しぶりに登場! なんだか背がまた伸びていました~。

午後からは子ども能のお稽古。もうすぐそこに迫った「おおひと梅まつり」に向けてのお稽古もいよいよ大詰めです。ちょっと進度が不安な子もあったので、やや複雑な気持ちで稽古場に赴いた ぬえでしたが、到着して最初に目に入ったのは巨大リラックマ! これで気持ちは一気に楽になりましたね~。さすがリラックマ。

これ、なんにゃらクリスマスに? ヨシノのおうちに登場したらしいのです。それは知っていたので、今度見せてね~、と ぬえが言ったのが本当に。。いや、本来稽古場に余計なおもちゃなんか持ってくるのはいけないですけれども、この日はコイツのおかげでお稽古場がとっても盛り上がりました~。





ぬえが不安に思っていた子も、自宅でがんばって稽古してきたようで、見違えるほど上達していました。これはうれしかったですね~。本当によく頑張りました。これで来週に迫った「おおひと梅まつり」の舞台も成功間違いなし! この子たちが今後も上手になっていきますように~~

そんなこんなで 子ども能のお稽古も終わり、帰りは伊豆と新宿を結ぶ高速バスに無事に乗ることが出来ました。この日、往路は3時間半もかかったけど帰りはこのバスのおかげで楽チンに2時間ちょっとで東京に帰って参りました~~





そして自宅に帰ると。。荷物が届いていました。

開封してみると。。ををっ、これは石巻や登米市から届けられた おいしいものがぎっしり!!



ええと、わかめでしょ~、納豆でしょ~、登米名物の「あぶら麩」と「しそ巻」、海苔、「はっと」と呼ばれる すいとん、待ちに待った「とろろ昆布」…これは石巻の立町仮設商店街の「戸田海産物店」さんの、あの激ウマの昆布さんですね! ああ、もう! 宮城県のおいしいものが満載じゃないか~~ (#^.^#)
と。。とはいえ、これは、先日ゲリラ低気圧の影響で大雪となり、高速道路も不通となったのが原因で、石巻~気仙沼までの3カ所の慰問公演を中止にしてしまった ぬえにとっては、頂戴するのはあまりに申し訳ないことでして。。(×_×;)

す。。すみません~~~ 3月には必ず! 必ず! 石巻と気仙沼のみなさまにはリベンジの上演をお届けしますので~~(>_<)ヽ 女川町にも行きたいよ~~

今年は思いの外雪に悩まされる冬になりました。東北のみなさんもお元気でいてくださいますよう。あの優しいおばあちゃんたちに会いに行けるのは、雪が溶けてからだね。。

JIN’S PROJECT活動報告会(その2)

2013-01-22 01:25:22 | 能楽の心と癒しプロジェクト
劇のあとの質疑応答では ぬえも発言して意見を述べさせて頂きましたが、仁さんの体験や劇として呈示された住民さんの「本音」は、震災から半年以内くらいだと思いますが、現地での「混乱期」のことだと思います。今はそれからはずいぶん状況が変わって。。住民さんの「今」の本音は仮設住宅の中に閉じこめられているように ぬえには感じられます。これまた時々しか現地に赴かない ぬえごときが語る事でもないのですが。。

でも、せっかく東京で、しかも70名が集まられた報告会ですから、今の我々が現地に対して何ができるのか。このことを討論する必要があります。残念ながら、今回はそれには時間が足りませんでした。

ぬえは思うのですが、あの震災で日本中の人が心にトゲが刺さってしまいました。募金はしました。でも、それが現地で困っている方々に届いていない、というのは震災からいくばくもなく報道されて。でも、当時の東京にいた私たちの大多数には募金よりほかに出来ることがありませんでした。震災3ヶ月目に ぬえは、何もわからぬままに、何ができるのか確信も持てないままに現地に入りましたが、そのとき ぬえは、「何でもっと早くここに来なかったんだろう。。」と思いました。それほど衝撃的な光景だったわけで、それが ぬえの今の活動の原点でもあるわけですが、それでもご遺体の捜索などからお手伝いされた仁さんの経験の比ではありませんね。

でもまた、震災3ヶ月目にして現地に入ることができる時間の余裕を持てたこと、その前に、ここが ぬえの活動の原点かもしれませんが、震災以前に学校公演で石巻の小学校と気仙沼の中学校にお邪魔していて、礼儀正しく元気な子どもたちの様子を見ていたことから、現地に行って彼らの、あるいはその町の人々の役に立ちたい、と強く思えた動機があったこと、この二つの条件が重なって東北に行くことを実行できた ぬえは幸せだったのかもしれません。少なくとも ぬえは活動を通して自分の心のトゲだけは抜くことができたのだと思います。

この日の報告会でも実際に現地に行ってボランティア活動をしている人がたくさんおられました。でも、そんな時間の余裕もなくて、心のトゲが抜けなかった人は? 心に蓋をしてしまわざるを得ない状況が、震災の「風化」に加速度をつけているのかもしれません。思うに、あの当時、日本のみんなが、募金であれ物資支援であれ、確実に困っている現地の助けになっていることを実感できる道筋が整っていれば、もっと違う今があるように思えて仕方がありません。

そうして、その道筋。。この日も仁さんが「ルール」。。だったかな、そういう言葉を使って表現しておられましたが、それはまだ確立もされていないのではないかと思います。数えられない程の数のボランティア団体が当時も今も活動しているわけですが、こういった組織。。と言いますか、支援したい、と願う日本人すべての心の統合や連携をまとめる機構があれば、もっと大きなことができるのかもしれません。草の根の活動、ぬえたちみたいに地道に仮設住宅をまわる活動も必要かもしれないし、難しい問題もあるでしょうが。。

ぬえがもう一つ現地で思ったことは、神戸と新潟から現地に届けられた、あまりに強力な支援体勢です。いまだに石巻に常駐して住民さんの支援を行い、昨年の1月17日には阪神淡路大震災の追悼集会に石巻の人々を伴って、自分たちの町の復興の道のりを参考にしてもらった団体。避難所に設置された巨大な仮設の入浴施設に掲げられた「中越沖震災~ご支援ありがとうございました」の大きな横断幕。痛みを受け、支援を頂いた町は、こんなに大きな準備をしていたんだ。。

ですから、この日報告会に集まった70名を超えるお客さまは、心ある方々だなあ、と思います。現地に行けても行けなくても、震災から2年になろうという時期に「これから何をしたらよいのだろうか?」という答えを探しにお出でになったのでしょう。こうした小さな善意を、実感がある形に成長させてあげるのは国。。なのかわかりませんが、個人や個々のボランティア団体よりも、もっと大きな枠組み。。ルールですかね、そういったものではないかと思います。大きな組織が統轄すると個人が動きにくい、という弊害はあるのかもしれないので、これまた難しい問題なのかもしれませんが、今回のような大きな災害でも、すぐにみんなが「ルール」に則って支援することができる体制って、必要ではないかなあ、と思います。

ともあれ、行動力の固まりのようなJIN’S PROJECTのみなさんの活躍に ぬえは心から驚かされましたし、共鳴も致しました。なにかと勉強させて頂かなくてはならない ぬえですが、どうぞ今後ともよろしくお願いしますです~~

JIN’S PROJECT活動報告会(その1)

2013-01-20 02:18:37 | 能楽の心と癒しプロジェクト
今日はボランティア団体「JIN’S PROJECT」の東京での報告会がありまして、ぬえも出席させて頂きました。

JIN’S PROJECTさんはリーダーの折尾仁さんという若者が率いる団体で、震災直後から東北地方の各地で多種の活動を精力的に続けておられます。ぬえとは、石巻の商工会の関係からお話しを頂いて、昨年の暮れに東京でのチャリティ・パーティにお招き頂いてからのご縁。仁さん、お若いのに行動力・交渉術に長けておられて、ぬえたちも見習わなければならない点がたくさんあります。

この日の報告会は目黒区の社協が行うボランティアセミナーのような地域社会活動の一環として開かれたようでした。JIN’S PROJECTさんが目黒区に事務所を持っているためなのでしょうが、ボランティア活動に積極的な支援をする目黒区の社協にまず拍手です。

で内容なんですが、かなり刺激的なものでした。仁さんが個人として震災の直後…それこそ1日とか2日後に友人を助けるために宮城県多賀城市に入ったときの話。。これは到底すべてを人に話せないとのことで、仁さんも言葉を詰まらせながら、かいつまんで、といった感じで話されました。これが仁さんたちのプロジェクトの原点になるのですね。

さてその次は仁さんたちのプロジェクトが活動を開始してから現地で起こった住民さんとのトラブル。。これも仁さんが個人的に体験した事ですが、この事件を劇仕立てで再現する、というもの。ボランティアに苦情を言い立てる住民さん役の役者さん。。まだお若い方のようでしたが、圧倒的な演技力で、今まさに我々がボランティアのリーダーとしてその場にいて投げつけられた住民さんの本音を聞いているようで。。それから いつの間にか他人の家の中に土足で上がり込むような無遠慮にボランティア自身が陥っていないか、自己満足に堕した活動になっていないか、こんな事を突きつけられる内容でした。

ぬえも比較的長く活動を続けていますが、やはりこのブログに書けないことは沢山あります。気になることもたくさんあったし、事件もいくつか遭遇してきたのですが、それは主に住民さんではなくてボランティアさんが起こした事だったりするんですよね。ぬえなどは時々しか現地には行けないですけれども、住み着くようにしてずっと住民さんに寄り添っておられるボラさんもたくさんおられます。それが、お会いするたびに ちょっとずつ変質している事に気づくこともあります。

また一方、ぬえなどが行う慰問ボランティアの活動も難しくて、ややもすると自己満足の迷宮に入り込んでしまいやすいのはこうした活動でありましょう。支援、なんてカッコいいことを言いながら、果たして本当に住民さんのためになっている活動なのか? ぬえも常に自問してはいますが。。今日もお客さまの意見の中に「正解はないのではないか」というのがありましたが、まさに ぬえの経験による実感もその通りで、ぬえたち「よそ者」が短時間現地にいても見えてこない住民さんの気持ちがそこにあることから意識をそらしてはいけませんね。それだからこそ ぬえも上演に際しては、それが終わってからの住民さんとの対話を大切にしてはいるのですが、それでもお役に立てた実感を持てたのは2~3回くらいでしょうか。

今回の報告会では、この劇のあとに質疑応答コーナーがありました。注目される意見や体験談もありましたが、劇の影響からか、話題はボランティアの「思いやり」の必要性について考える方向に進んでいったと思います。

(続く。すいません、今回は肖像権のような事も考慮したので画像はありません)

第11次支援活動<埼玉県加須市>(その2)

2013-01-18 21:33:21 | 能楽の心と癒しプロジェクト
ちょっと混乱しながら。。
こちらは昨年12月1日に福島県双葉町の住民さんが避難しておられる埼玉県加須市・旧騎西高校のご報告です。その後正月13日には同じく騎西高校避難所での活動があり、また1月15日~17日にかけては気仙沼と石巻で活動する予定でしたがこれは悪天候で断念。プロジェクト初の公園中止の屈辱でした。
次々と催しがあるのでご報告が追いつかない~

ええと、遅ればせながら、こちらは昨年12月1日、はじめて加須市・旧騎西高校で行われた炊き出し支援のご報告です。

昼食の時間になって、住民さんが次々と学生ホールに集まって来られました。Tさんは調理を進めて、盛りつけは ぬえもちょこっとお手伝いさせて頂きましたが、やがて装束を着けて上演準備に取りかかります。



楽屋になるスペースはないので、ベニヤ板で作られた大きな掲示板2枚をパーテーション代わりに目隠しのように置いて、その蔭で着替えです。もとより横から見れば丸見え。正面からだって、パーテーションの隙間から中が丸見え。要するに丸見えなんですね。(^◇^;)

この日はイベントは ぬえらプロジェクトの能だけだったようです。この日の出し物は能『菊慈童』でしたが、まあ住民さんの多いこと。そしてボランティアさんも大勢なので、学生ホールの中はごった返している有様でした。

終演後、恒例の装束の着付け体験などは場所の関係で行わないつもりだったので、すぐに着替えましたが、ほどなく外国人のボランティアさんがカメラを片手に楽屋裏を覗いて「もう着替えちゃったのですか。。?」と残念そうな表情でした。

それでは、っていうんでこの女の子に急遽 装束を着付けてあげたのですが、なんだかとっても盛り上がりました。外国人にとっては能装束だって珍しいのに、それを着る機会となると皆無でしょう。ほかのボランティアさんも一緒になって盛り上がって。。彼女、突然カレとおぼしき男性と装束を着たままキス!



あとで伺えばこの男性は彼女のご主人さんなんですって。それにしてもこういう画像はちょっと見ることがないでしょうね~~~

装束の着付け体験は、本来 仮設住宅などで住民さんに対して行っているものなのですが、この日はボランティアさんのあまりの多さに、着付け体験では住民さんまでたどり着けませんでした。(^_^;)
でもまあ、外国人ボランティアさんが喜んでくれたから いいか。

こうして炊き出しプロジェクトは盛会に終了し、ボランティアさんたちも自分たちで作った炊き出しの料理を味わいました。

ぬえとTさんはこれにて会場を後にしたのですが、このあとボランティアさんたちが集まって記念の集合写真を撮ったみたい。あら~残念~。





炊き出しプロジェクトのみなさんは大変お疲れさまでした~。呼び掛けをしてくださった方々に拍手~!

で、子ども能の稽古。と新年会~

2013-01-13 00:53:42 | 能楽
「どんど焼き」、中伊豆。。つまり修善寺のある伊豆市の方ではもっと大掛かりなんですって。また伊豆の国市でも子供会が主体となるどんど焼きの櫓の組み立ては地区の子どもたちの事情によって大きく左右されるらしい。ぬえがお手伝いさせて頂いた江間の珍野区では子どもは少なくて、櫓の規模もそれなりなのだそうです。逆に早朝に ぬえが遭遇した寺家区では子どもは80人もいて、役員のご家庭の子どもたちだけ(と大人のみなさん)で櫓の組み立ては完了してしまうそう。地区によっては子どもたちが少なくて大人だけで組み立てることもあるのだそう。伊豆では「よそ者」の ぬえが今回参加させて頂けたのも、こぢんまりした地区のアットホームな雰囲気があったからこそでしょうね。地区によっては中心となる心柱?を組むのは地区の中心人物だったりするほど大切な仕事なのだそうですから。。

明日。。もう今日か。朝6時頃に一斉に点火される「どんど焼き」。ぬえがお手伝いさせて頂いた地区の櫓が燃え上がるところは たけちゃんのママが写メ送ってくださるそうです!

さて午後からは子ども能の新年最初の稽古でした。2月の「おおひと梅まつり」での公演に向けてそろそろスパートをかける時期です。わけても今回から大小鼓を子どもたちに打たせる事になりまして、専門の囃子方能楽師にお願いしている稽古はまだ先になってしまいますが、とりあえず ぬえが下稽古。郷土芸能の「シャギリ」の影響もあるのかなあ、まずまず音も出るのです。みんな、かっこいいし。













「梅まつり」公演では年の締めくくりとして学年の上下は無関係に誰でも希望の役に挑戦してよいことにしていますが、ああ、さすがにちょいどグダグダ。。なところも。それでもみんながんばって、ようやく人前に出せるレベルにまで漕ぎつけたと思います。思い出すなあ。去年の同じ催しで「主役やりたい人?」と ぬえが聞いたら「はい!」って手を挙げた当時1年生の たけちゃん。。いや、そこまで低学年が手を挙げるとは想定していませんでした。。それでも主役に決まっちゃって、稽古の結果。。は「まあ、こんなものか。これなら人前に出せるか」という程度まで上達。ところが! 公演当日は目にも鮮やかな演技で ぬえはビックリ! 。。あれからだなあ、子どもたちの可能性って果てしがない事に、今さらながら思い至ったのは。いま子ども創作能は ぬえはどんどんハードルを上げています。それでもみんなついてくる。「じゃ、これできる?」「。。そうか、できるのか。。それじゃこれは?」。。もう今年の夏で14年目になるのかな? こうした積み重ねによる力は、よそのどこでも真似できないレベルに到達しています。みんな、稽古で苦しむ事もあるけれど、勝ち取った栄誉も知っている。目標があるのは幸せな事ですよね。

伊豆では ぬえに「私、将来は能楽師になりたい」と言ってきた子もあれば、学校の夏休みの宿題で職業調査が課題になり、ぬえに能楽師の仕事についてインタビューした子もあります。私立中学の卒論(!)で能をテーマに選んだ子が今の ぬえが最も関心を向けている子かな。ぬえにとっても幸せな時間が、ここにはあります。

さて稽古のあとは新年会~。先日丹波篠山で買ってきた激うま「山椒おかき」3袋は、今日の伊豆で初詣に訪れた願成就院さまやお世話になっている旅館「ゑびすや」さんにお土産に渡してしまって残り1袋になりました。。





たけちゃんからは農業を営むじいじからの差し入れでイチゴがどっさり! あとお菓子やジュースで楽しみましたとさ。めでたしめでたし。(#^.^#)



「どんど焼き」つくりました

2013-01-12 23:06:13 | 日本文化
…と、こんな事を書いていると不思議がられるかもしれませんね~。どうも日本全国で行われている風習のようですから。。しかし ぬえは見たことがないのでした。いや、実際には今年も見れないのでまだ「見てない記録」は更新中です。。今回はその準備の作業をお手伝いして参りました。ぬえの初体験~。

今日は伊豆の子ども能の稽古日でして、いつものように渋滞を避けて早朝に東京を出発、朝6時には伊豆に到着していました。さすがに早すぎるので、狩野川の河畔にある公園に「レイちゃん2」を停めてしばし仮眠。。ところが周囲の喧噪に気がついて目を覚ましてみると、「レイちゃん2」の隣りにはブルーシートが敷かれていて、大勢の子どもたちや大人が集まって作業しています。切り出された竹、集められた正月飾り。。時期から考えても話にだけは聞いていた「どんど焼き」の準備だと、すぐにわかりました。車を下りてお邪魔していた旨お詫びして移動、しばし作業の様子を拝見させて頂いたのですが、よく見るとブルーシートに「寺家区子供会」の文字が。子ども能でお世話になっている伊豆の国市の寺家区のみなさんでした! 区長さんもおられたので作業の内容など少し伺って失礼しました。



その間にも、竹を満載した軽トラックが到着したり、やはり竹を抱えて会場に急ぐ寺家区の方々が次々に集まってきます。面白いなあ。





走り出すと、狩野川の河畔にはあちこちに、すでに完成したそれぞれの地区の「どんど焼き」の。。「櫓」と呼ばれているのだと後で知りましたが。。それが建っていました。いや、地区によって形が違うものなんですね。こちらは「中條区」の「櫓」。



こっちは ぬえが一番お近づきになっている「古奈区」の櫓です。遠くに富士山!



南條区では大勢の子どもたちがお手伝いしていました~



そうこうしているうちに子ども能のママさんからメールが来ました。なんでも参加者の子どもが「どんど焼き」の準備の手伝いをするため遅刻します、とのこと。うん、これは「江間」地区の「珍野区」の子だな。さっそくそちらに行ってみました。(^^ゞ

をを~、準備している場所はすぐにわかりました。遅刻予定の2年生のたけちゃんも、メールをくれたママさんもお手伝いしている姿が見えます。「レイちゃん2」を停めてそばに寄ると、すぐに たけちゃんが気づいて駆け寄ってきました。「どんど焼き」を知らない ぬえはママさんにいろいろと取材。翌日の早朝に櫓に火がかけられ、正月飾りを燃やすこと、炊き出しも行われて子どもたちの楽しみになっていること、子どもたちは書き初めを持ち寄ってこれを燃やし、字の上達を願うこと。。



いや勉強になりました、と失礼しようとしたところに、準備作業をするお兄さん方が「先生、櫓を建てる体験はしていかないの?」と声を掛けてくれました。まあ、手伝っていけば~という冗談のおつもりだったのでしょうが ぬえは大喜びで参加させて頂きました。いや~だってやった事も、そもそも見たこともないんだもん。大体、ママさんから説明を聞きながら作業の様子を写真に納めようと「写真を撮ってもいいですか?」と作業中のみなさんに伺ったら、とっても怪訝な顔をされました。「何が珍しいの?」ってなもんなんでしょう。。

さて ぬえも作業に加わって、最初に長い長い竹の先に、なぜか団子状に連ねたダルマをつけたものを建てて、3方向から縄で引っ張って固定します。そのまわりに次々に太い竹、細い竹の束を集めていって。。





最後に縄でぐるぐる巻きにして完成~。



たけちゃんのパパは櫓の上で仕上げの作業を行います。



完成した櫓を見上げる たけちゃん。なんだか「ちまき」を連想してしまいます。



この櫓の目立つところに正月飾りを飾り付けたい男の子。ずうっとこの正月飾りを持って完成を待っていました。時々櫓に近寄っては「飾り付けはまだまだ!」と大人にたしなめられたり。(^_^;)



さあ、完成した櫓に、子どもたちが正月飾りを取りつけて行きます。高いところに取りつけたい子。ぬえも脚立を押さえて手伝ってあげました。うん、物怖じしないね、みんな。脚立の最上段に両足とも上っちゃって取りつけています。落ちるんじゃないか、と、ぬえの方がビクビクしました~

先ほどの男の子も無事大きな正月飾りを取りつけることが出来ました。



。。が、それもつかの間、次に脚立に上った女の子が、男の子の正月飾りのさらに上に自分の飾りを取りつけていました。。(^◇^;)



たけちゃんも自分の身長より長い注連縄を、高いところを怖がる気色もなく取りつけます。



いや~楽しかった~。でもこの櫓に火が掛けられる明日は ぬえはここにはいないのでした。。来年こそは「どんど焼き」、見に来ようっと。

「星と能楽の夕べ」…気仙沼で行うイベントのスタッフを募集致します!

2013-01-11 01:18:15 | 能楽の心と癒しプロジェクト
東京在住の能楽師有志による被災地支援団体「能楽の心と癒やしプロジェクト」では、来る3月9日に気仙沼市内で行うイベント「星と能楽の夕べ」(入場無料)でお手伝い頂けるスタッフさんを募集致します。

【開催日時】3月9日(土)15:00~17:00
【会場】気仙沼 リアス・アーク美術館 宮城県気仙沼市赤岩牧沢138-5
【イベント内容】PCとプロジェクタを使って壁面に星空を投影することによって擬似的なプラネタリウムを出現させ、能楽の上演、ピアノ演奏つき星空鑑賞、天文解説を行います
【主催】能楽の心と癒やしプロジェクト/星と能楽の融和実行委員会
【スタッフ業務内容】
・音響・映像・照明の操作調節オペレート(ミキサー操作できれば可能です)1~3名
・会場入口にてお客さまのご案内(プログラム配布、お客さまの誘導程度)1~2名
【応募条件】気仙沼市民またはお近くに在住の方。年齢、性別、経験等は不問です。
3月8日(金)の日中に気仙沼市内で予定しているリハーサルに出席できること。夕方以降しか時間の取れない方は応談。
1月16日(水)気仙沼市内で打合せできる方が理想です(時間応談)。

「能楽の心と癒やしプロジェクト」は2011年6月より東日本大震災の被災地の避難所、仮設住宅、仮設商店街等で能楽の上演を行い、能楽が本来持っている浄化や癒やしの心をお伝えしております。上演回数はすでに50回を超えていますが、昨年より被災地の市民が気軽に文化を楽しめる通常の生活の再建をめざす、いわば「文化の復興」を視野に入れた活動にも力を入れ始めました。

「星と能楽の夕べ」はそのような趣旨に沿って計画しているイベントで、被災地に擬似的にプラネタリウムを出現させ、星空の鑑賞やピアノ演奏によるロマンチックなひとときを楽しんで頂き、また月の宮殿からやってきた「羽衣」の天女の舞を上演することでお客さまに幸せをお届けしたいと考えております。昨年6月にすでに石巻栄光教会にて上演を成功させ、このたびは市民のご協力を頂いて気仙沼での上演が決定致しました。



…とはいえ、東京から参加する出演者だけでは開催の人手が足りず、ご一緒にイベントを成功に導いて頂ける協力者を募集致します。もとよりボランティア活動ですので謝礼はありません。。気仙沼の復興に情熱をお持ちの方の募集をお待ちしております。

お手伝い頂く内容は、上演時に投影される映像の切り替え、マイクやBGM等の音響の調節、照明のオンオフ操作。PA機器(ミキサー)や照明は小型のものを持ち込みます。画像を参照頂きたいですが、プロ用機材ではないのでフェーダー操作や映像DVDの取り替えなど簡単な操作になります。ラジカセなど多少操作に詳しい方なら十分と思います。



また入場時にお客さまを誘導したり、プログラムを配布するなど受付のお手伝い頂ける方も募集しております。

応募頂ける方はお手伝いを希望される内容を明記の上facebook 「能楽の心と癒やしプロジェクト」ページ(https://www.facebook.com/nohgakuproject)にてメッセージを頂くか、八田達弥宛メール(QYJ13065@nifty.com)にてお知らせください。

どうぞよろしくご協力のほどお願い申し上げます~m(__)m

「能楽の心と癒やしプロジェクト」代表 八田達弥(能楽師・観世流シテ方)

第11次支援活動<埼玉県加須市>(その1)

2013-01-06 10:11:04 | 能楽の心と癒しプロジェクト
第11次となる支援活動は有志による炊き出し支援のお手伝いとしての参加となりました。

原発事故で全域が警戒区域となり避難を余儀なくされた福島県双葉町。住民さんは各地に避難したのですが、わけても埼玉県加須市にある廃校となった高校が避難所となっています。県立騎西高校がそれで、双葉町の役場機能を含めて多くの住民さんがここで避難生活をしておられます。震災関連で国内に唯一残された避難所で、震災から1年10ヶ月になるとしている現在でも今なお体育館や教室で不自由な生活を強いられているのです。そのうえ支給されていた食事が最近有償となり、住民さんはさらに厳しい状況に置かれています。



この状況を見て、有志ボランティアにより主にfacebookを通じて呼びかけがされ、騎西高校避難所にて炊き出しプロジェクトが展開されています。第1回目の活動は去る11月に行われましたが ぬえは舞台スケジュールの都合で参加できず、12月1日に行われた第2回の活動に笛のTさんとともに参加して参りました。

活動を主催された有志は、主に石巻で ぬえたちも何度かお世話になったり、また活動されているお名前だけは存じている方たちで、ぬえたちも自然に参加する流れになりましたが、早朝に新宿駅からボランティアの送迎バスを用意したり、騎西高校の最寄り駅まで車で送迎したり、大掛かりな対応が行われていました。

ぬえらは車で直接避難所に到着したのですが、集まったボランティアさんは50名以上! もう第2回目の炊き出しということでみなさん手慣れたもので、ミーティングもなく4階の家庭科室? のような調理設備のある教室で一斉に調理の下ごしらえが開始されました。



特徴的なのはボランティアさんの半数以上が外国人ということで、これは石巻で活動している英国人でモデルのディーンさんが中心メンバーの一人だからなのでしょう。やがて下ごしらえが終わると食材をドド~っと1階に下ろし、別棟の「学生ホール」に移動です。



学生ホールは騎西高校の学食兼談話室のようなところで、大きな鍋釜、炊飯器などの調理設備が備えられているこの建物が炊き出し会場でした。ここでもボランティアさんが一斉に炊事を開始! この日のメニューは豚丼と豚汁、それに漬け物など。ぬえは盛りつけくらいしかお手伝いできませんでしたが、ふと見るとTさんはいつの間にか調理のボランティアさんに混じって奮戦中。どうも普段から料理はお得意なようです。



↓これ以下の画像は明友館サイトより拝借させて頂きました。



だんだんと準備が整ってきたところで明友館のリーダー、千葉恵弘さんもティッシュやカイロの支援物資を持って石巻からわざわざ到着! 被災地からの支援、というのも珍しい光景ですが、即席のバザーの準備もどんどん整っていきます。





正午頃、いよいよ配食開始。次々に集まって来られる住民さんに炊き出しの食事をお配りし、支援物資もお渡しして、その他にも住民さんにマッサージをしてあげるボランティアさん、似顔絵を描くボランティアさん、あちこちで賑やかな談笑が起こります。ディーンさんはトレードマークのTシャツを着て、子どもたちと遊んでいました~






あけましておめでとうございます~

2013-01-03 09:42:52 | 能楽
あれよあれよと1年が過ぎた感じですね~。遅ればせながら本年もご多幸を祈りあげ、お付き合いのほどよろしくお願い申し上げます~m(__)m

昨年の大晦日~元日は石巻の仮設住宅ですごし、住民さんと紅白歌合戦を楽しみましたが、今年は師家の恒例行事、兵庫県の丹波篠山の春日神社で「翁」を奉納する「翁神事」に参加して参りました。

丹波地方は師匠家の室町時代の故郷でありまして、現在は師家は東京に本拠地を構えてはおられますが、毎年元朝にはこちら、丹波篠山の春日神社に建てられている能舞台(近年重要文化財の指定を受けました)で「翁」を奉納しております。年始にご先祖様にご挨拶をし、新しい年のご加護をお願いする、もう30年以上続いている恒例の行事です。

ぬえも時折出勤させて頂きますが、問題はその上演時刻でして。。ちょうど除夜の鐘が鳴っている頃、年が改まった直後の0時過ぎにこの「翁神事」は始まります。初詣客でごった返す境内の、野ざらしの舞台。。寒いったら!

でも、今年は暖かかった。よかった~。ぬえは今回は後見の役を仰せつかっていたのですが、ご承知の通り「翁」は舞台上でシテが翁面を顔に掛けます。この面紐を結ぶのが後見の重要な仕事でして、手がかじかんでうまく結ぶことが出来ず、上演中にシテの面紐がゆるんできたら。。後見の謹慎はまぬがれまい。

。。いや、長い能の歴史の中ではそういう大事件も一度は起こった可能性がありますが、ぬえには考えたくない事故です。この事故を防ぐため、ぬえは家人を相手に自宅で何度も面紐を結ぶ稽古を重ねていました。気持ちの弛むことのない年末でしたね~。面紐を結ぶことなど通常の公演でも慣れているじゃずですが、「翁」の面紐の結び方は特殊で、上演中にはしっかり結ばれているのは勿論ですが、上演後はシテがご自分で面紐をほどいて面を外されるので、その時は はらりと面紐がほどけなければならない。後見は気を遣う役割なのです。

お陰様をもちまして、また暖かい気候にも助けられて、ぬえは粗相もなく無事に後見の大役を終えることができました!

そうしてトップ画像がその時の上演風景。
そうして、こちらは緊張しながら師匠の面紐を結ぶ ぬえ。



これらの画像は、この日わざわざ神戸からお越しになり翁神事をご覧になった「チーム神戸」の金田真須美さんが撮影され、終演直後に ぬえに送ってくださったものです。

ご存じの通り「チーム神戸」は阪神淡路大震災のあとに同じような災害が起きた場合に救援活動を行うために備えて結成されたボランティア団体で、いまだに石巻に半ば常駐して支援活動を行っておられます。ぬえももう1年6ヶ月に渡ってお世話になりっぱなしですが、たまたま正月は神戸でお過ごしというスケジュールを伺ったので、ものは試しとこの丹波篠山の翁神事にお誘い致しました。意外や一発OKでお越しになるとのこと!

この日は宵のうちに ぬえたちの待機場所になっていた「能楽資料館」をご案内させて頂きましたが、その後深夜まで時間を潰して頂いて、翁神事をご覧になって。。そうして画像を ぬえの携帯に送信頂きました。終演後後片づけも終わって、さて夜通し運転で東京に帰ろうとするその楽屋でみんなでこの画像を見て「をを~っ!」と喜んで、さて出発。東京に帰り着いたのは元日の朝8時頃ですかね。まずまず無事に帰り着いてようやく初仕事を終えました。年の初めに良い仕事ができてまずは安堵しております。

ぬえは今年も1月から東北支援活動を始めますが、「チーム神戸」は1月17日に神戸で阪神淡路大震災の追悼行事が行われるため、今月は石巻ではお会いできません。それでも石巻ではなく丹波篠山でお久しぶりにお目に掛かれたのは幸いでもあり、とっても珍しいことですね~

翌日正月2日は師家で謡初めがあり、これで年始の恒例行事は完了、ぬえも本日3日から短い正月休みになります。稽古の始動は6日の木曜から。それから稽古能、申合があって師家の月例公演の初会。。と続きます。

本年は春に東京で大きな役がある ぬえ。伊豆の子ども能に、東北支援活動に、今年も邁進して参ります~