1月14日(土)、アメリカ・ロサンゼルスにて新作舞踏劇(?)『一粒萬倍』公演が催され、ぬえも出演して参りました。
『一粒萬倍』は昨年11月、東中野の梅若能楽学院会館で上演され、ぬえも出演させて頂きました。『古事記』を題材にした無言劇で、神が人類に種籾を与え、これが農耕の起源となって豊かな実りを人間にもたらしたという『古事記』の記述を賛嘆する、というような内容です。
能楽師の出演は ぬえだけで、ほかに演技をするのはBaliasi (バリアージ)という舞踏の女性たちと日本舞踊の方々。劇に重要な役割をする音楽には邦楽囃子のほかに組太鼓、箏、そして なんとチェロの出演がありました。いずれも一流の腕前の演者さんばかりで、かなり良質の舞台になったと思っています。
無言劇ではありますが、作者で主催者の松浦靖さんの希望で、劇の冒頭とエンディングだけに登場する ぬえだけは謡を謡ってほしい、とのことで、能『巻絹』のクリの部分を謡ったほか、新作の詞章を作って謡うことにしました。
ぬえの役は「天の御心(あめのみこころ)」というもので、『古事記』には現れない創作の役。冒頭に登場して創世の三神の出現さえも見届け、そして最後の場面では豊穣の象徴の巨大な生け花を見上げて満足し、観客を祝福する、という役目を持っています。
面白いのははじめての試みとしてチェロの演奏による「イロエ」を上演したのですが、まあ見事に雰囲気が合います。チェロ奏者の谷口賢記さんの選曲と技量に負うところが大きかった。
今回はこの舞台をロサンゼルスで上演しようという試みで、それというのも主催者の松浦靖さんが25年間もロサンゼルスに住んでいたからで、日本人も多く住んでいるこの街の、その日本人コミュニティの強力なサポートを受けての上演になりました。
LA在住日本人コミュニティのすごさは、滞在中の全ての食事や交通が差し入れや協力によってまかなわれただけでなく、日本舞踊や邦楽囃子などの音楽家、またモダンダンスの踊り手として出演者の主要な一角を担ったり、衣裳のデザインから縫製、着付け、さらにはヘアメイクまで、それも完全にプロの仕事としてこなす人々が集結できることです。もちろん舞台の設営や楽屋でのお手伝いまで、興味本意で集まったような素人くさい人がいなかったのは驚くべきことでしょう。
特筆すべきはチェロ奏者で、今回のLA公演では東京で素晴らしい演奏をしてくださった谷口さんではなく、なんとLA在住の中学生の女の子が勤めてくれました。この話はいずれ詳しく。。いずれにせよこれほどの協力体制が組まれたのも主催者・松浦さんの人望のなせるわざでしょう。
さて ぬえは師家とは無関係に単独で、アメリカではこれまで3回、大学でクラスを持って2週間教えたり、略式の公演を行った経験はありますが、それも今から10年も昔の話。ましてやこれまでの渡航は東海岸ばかりで、西海岸は初めて訪れる地でした。東海岸とは風土も人もまったく違うそうで、それだけで興味は尽きません。
公演の3日前の1月11日、羽田空港から10時間かけてロサンゼルスに到着。この日は東日本大震災の月命日。じつは公演のあとにも ぬえは現地に居残って、寺院での鎮魂法要に出演する予定となっていました。この話もまた後日に。。
空港に到着すると松浦さんが出迎えてくれ、友人やホテルの車に分乗してホテルへ。チャックインもそこそこに、ホテルからほんの2軒となりにある「Asano Taiko U.S.」へ。
浅野太鼓さんは国内でも有名な太鼓や邦楽器の製作・販売店で、ここはロサンゼルス支店ということになります。和太鼓の教室もあるのですが、あとでわかった事ですが、年末に和太鼓の発表会があり、そこには150人の生徒さんが出演したのですって (/ロ゜)/‼
毎度海外公演では感じる事ではありますが、日本文化に対する関心は海外では恐ろしく高いですね。質疑応答なんかすると、こちらが答えに窮するほどよく勉強した質問が出たりします。今回の公演もすでにソールドアウトとのこと。日本で、とくに能楽が観客の減少悩んでいるのとは対称的です。国内でも関心をたかめていかないと。。
『一粒萬倍』は昨年11月、東中野の梅若能楽学院会館で上演され、ぬえも出演させて頂きました。『古事記』を題材にした無言劇で、神が人類に種籾を与え、これが農耕の起源となって豊かな実りを人間にもたらしたという『古事記』の記述を賛嘆する、というような内容です。
能楽師の出演は ぬえだけで、ほかに演技をするのはBaliasi (バリアージ)という舞踏の女性たちと日本舞踊の方々。劇に重要な役割をする音楽には邦楽囃子のほかに組太鼓、箏、そして なんとチェロの出演がありました。いずれも一流の腕前の演者さんばかりで、かなり良質の舞台になったと思っています。
無言劇ではありますが、作者で主催者の松浦靖さんの希望で、劇の冒頭とエンディングだけに登場する ぬえだけは謡を謡ってほしい、とのことで、能『巻絹』のクリの部分を謡ったほか、新作の詞章を作って謡うことにしました。
ぬえの役は「天の御心(あめのみこころ)」というもので、『古事記』には現れない創作の役。冒頭に登場して創世の三神の出現さえも見届け、そして最後の場面では豊穣の象徴の巨大な生け花を見上げて満足し、観客を祝福する、という役目を持っています。
面白いのははじめての試みとしてチェロの演奏による「イロエ」を上演したのですが、まあ見事に雰囲気が合います。チェロ奏者の谷口賢記さんの選曲と技量に負うところが大きかった。
今回はこの舞台をロサンゼルスで上演しようという試みで、それというのも主催者の松浦靖さんが25年間もロサンゼルスに住んでいたからで、日本人も多く住んでいるこの街の、その日本人コミュニティの強力なサポートを受けての上演になりました。
LA在住日本人コミュニティのすごさは、滞在中の全ての食事や交通が差し入れや協力によってまかなわれただけでなく、日本舞踊や邦楽囃子などの音楽家、またモダンダンスの踊り手として出演者の主要な一角を担ったり、衣裳のデザインから縫製、着付け、さらにはヘアメイクまで、それも完全にプロの仕事としてこなす人々が集結できることです。もちろん舞台の設営や楽屋でのお手伝いまで、興味本意で集まったような素人くさい人がいなかったのは驚くべきことでしょう。
特筆すべきはチェロ奏者で、今回のLA公演では東京で素晴らしい演奏をしてくださった谷口さんではなく、なんとLA在住の中学生の女の子が勤めてくれました。この話はいずれ詳しく。。いずれにせよこれほどの協力体制が組まれたのも主催者・松浦さんの人望のなせるわざでしょう。
さて ぬえは師家とは無関係に単独で、アメリカではこれまで3回、大学でクラスを持って2週間教えたり、略式の公演を行った経験はありますが、それも今から10年も昔の話。ましてやこれまでの渡航は東海岸ばかりで、西海岸は初めて訪れる地でした。東海岸とは風土も人もまったく違うそうで、それだけで興味は尽きません。
公演の3日前の1月11日、羽田空港から10時間かけてロサンゼルスに到着。この日は東日本大震災の月命日。じつは公演のあとにも ぬえは現地に居残って、寺院での鎮魂法要に出演する予定となっていました。この話もまた後日に。。
空港に到着すると松浦さんが出迎えてくれ、友人やホテルの車に分乗してホテルへ。チャックインもそこそこに、ホテルからほんの2軒となりにある「Asano Taiko U.S.」へ。
浅野太鼓さんは国内でも有名な太鼓や邦楽器の製作・販売店で、ここはロサンゼルス支店ということになります。和太鼓の教室もあるのですが、あとでわかった事ですが、年末に和太鼓の発表会があり、そこには150人の生徒さんが出演したのですって (/ロ゜)/‼
毎度海外公演では感じる事ではありますが、日本文化に対する関心は海外では恐ろしく高いですね。質疑応答なんかすると、こちらが答えに窮するほどよく勉強した質問が出たりします。今回の公演もすでにソールドアウトとのこと。日本で、とくに能楽が観客の減少悩んでいるのとは対称的です。国内でも関心をたかめていかないと。。