ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆で計画停電

2011-03-19 08:29:08 | 能楽の心と癒しプロジェクト
さて伊豆では今日は卒業式たけなわだったようです。みーちゃんも、りっちゃんも、カホも、ありちゃんも、しおんも、モモも、あおちゃんも、み~んな小学校を卒業したんですね~。おめでとう~(^^)V

ところが、そんな今夜。現地では はじめて計画停電が始まった、とのことです。みなさんからメールを頂きましたが、電池式のランタンやろうそくを灯して…ひたすらヒマなのだそうです。なるほど、テレビもPCもな~んにも使えないですもんね…子どもたちはUNOや人生ゲームで遊んだり、近所からは歌う声が聞こえてきたり(?)、寝ちゃったり。(^◇^;)

…子どもたちを集めての「子ども能打ち上げパーティー」も地震の影響で無期限延期になっちゃったし、ここはっ! ぬえが何か彼らのためにしてあげられる事はないか?? 

…んで、真っ暗だというんで ぬえ、怪談話をママさん方宛にメールで送ってあげました。(^_^;)

真っ暗な中で…誰もいないはずの2階から…しくしくと泣き声が聞こえる…そのあと階段を降りる湿った足音…ひた…ひた…気づかれないように必死に息を殺したが…足音が自分の部屋の前でピタリと止まる!!

↓こちらは2階がないアパートに住んでいる子あての文章。ぬえったら芸が細かい…

真っ暗な中で…誰もいないはずの隣りの部屋から…しくしくと泣き声が聞こえる…そのあと廊下を歩く湿った足音…ひた…ひた…気づかれないように必死に息を殺したが…足音が自分の部屋の前でピタリと止まる!!

…これを読み聞かされた子どもたち。怖がったり、「それってホントの話??」と聞く子もあったそうですが、大半は笑い飛ばされてしまったようで…(__;) 最近の小学生は手強いな。怖がった子もいる、という話ですが、「怖がってくれた」と言った方が正しかったりして。ああ、ウルワシき師弟愛。(^◇^;)

子どもたちからも懐中電灯で下から顔を照らした「おばけ写真」が送られて来たり、ぬえも自分の顔で同じ画像を撮って送ったり。ああ楽しい。(;^_^A



…これは しおん(の霊)だな…笑ってるおばけ。



…これは ぬえ(の霊)で~す



…これはライチとイチイ(の霊)。インフルエンザと花粉症のおばけ、だそうです。

結局、夜10時まで停電の予定のところ、9時頃には停電は終了したようです。真っ暗闇の中、すこしは ぬえのメールで楽しんで頂けましたぁ?? あ~早く次の停電が来ないかなっと。0(*^。^*)0

東京都内は停電のグループに入っていないようなのですが、停電…困る、というよりも やっぱり ぬえは暗闇は怖いなあ…ま、能楽師のスタンスとしてはそれではイケナイんでしょうけれども…

お。。お。。お化けが こ、怖くて…お、お、お能が舞えるかっ… 。。゛(ノ><)ノ ヒィ

物不足!(--#)

2011-03-18 21:48:04 | 能楽の心と癒しプロジェクト
物不足!(--#)

ガソリンがありません…今日はなんと70分も並んでようやくガソリンスタンドで給油することができました。

…じつは、一度 レイちゃん、止まっちゃったんです。ガソリンが少なくなってきたなあ…と思ったのですが、スタンドの列に並ぶ時間の余裕がなく、用事を済ませた夕方に給油しようとしたら、すでにどのスタンドも「売り切れ」「閉店」…となっていました。なんとか自宅に帰り着くことまではできたけれども、もう翌日に近所のガソリンスタンドに行って列に並ぶのはほとんど不可能…仕方なくて、自動車保険のロードサービスを頼んでガソリン10リットルだけもらいました…(×_×;)

その後…スケジュールはすべてキャンセルされてしまいました…公演も、稽古も。公的な施設はほとんどすべて貸し出し停止になりましたし、交通機関が止まっている状況では公演はぼ不可能です。さらに師家ではちょっとしたお祝いのパーティーの予定があったのですが、こちらも中止になりました。…こうして、思わずも ぬえはヒマになってしまいました~。そうしてようやくスタンドの列に並ぶことができた、というわけです。

それにしてもガソリン…どうしてこんなに ないんですか?? 買い占め…と言われていますが、ガソリンはポリタンクなどでまとめ買いはできないですし…普段は車を使わない人までみ~んな満タンにしておこうと思ったのかなあ?? もう数日もこの給油の大行列が続いているなんて、なんだか信じられないです。それにパンや米をはじめとした食料品や乾電池が どこに行っても売り切れ… どうも何かが狂っているような気がしてならない。

ところで地震の当日…帰宅したのは夜になってからでしたが、翌日は午前から伊豆でお稽古の予定があったので、深夜に東京を出発した ぬえでした。まだ地震の被害の状況はあまり伝わっておらず、伊豆は震度4程度と聞きましたので、まあ大丈夫かな…と。浅はかでした。伊豆に向かう車の中で聞いていたラジオは東北地方での被害が大きいこと、地震にとどまらず津波が甚大な被害を与えていることを次々と伝えてきました…結局 翌日の稽古は中止になって、ぬえはそのまま東京に帰ったのですが…

そういえば伊豆に向かう高速道路では、対向車線…すなわち東京方面…を越えて東北に行くのでしょう、警察のバスやら救急車が次々と上り車線を通り過ぎてゆきました。そうして東京へ帰る途中にも、仮設トイレを満載したトラックがたくさん走っていました。さらに東京都内では、迷彩塗装を施した重機を乗せた自衛隊の車両が走っているのを何度も見かけました。東北の被害の大きさをようやく実感するとともに、復旧のための尽力に敬服します。外国からも災害救助のために多くの手が差し伸べられているとのこと。ありがたい限りです。

ちょっとこの画像を見てください。





これは日本道路交通情報センターのサイトが提供している首都圏の渋滞情報…上が都内の一般道、下は首都圏の高速道路…で、日付は地震当日の3月11日の午後10時頃の情報です。地震によって交通がストップしたため、ぬえを含めて多くの人が帰宅するのに大変な困難をした日です。家人の迎えでようやく帰宅した ぬえはPCでこの渋滞を見てびっくり。すぐに画像を保存しました。ぬえのように帰宅のサポートを家族がしていて…都内はここまでの渋滞になったのか…??

一方、高速道路は関東の北部・東部はほとんど通行止めであることを示す真っ黒に塗られているのに、西部は地震の影響はないようで、しかも道路はすいている…これを見て、この日のうちに伊豆に移動しようと ぬえは考えてしまったのでした。

ついでながら こちらは15日の都内の渋滞状況です。



もう、ほとんど車が走っていないという。ぬえの実感も同じで、道路はとてもすいていると思います。。むしろ経済活動がほとんど停滞しているのではないか? という恐れを感じますけれども…。ところが道路はすいているのに突然左側の車線だけが渋滞していたりします…これがガソリンスタンドに並ぶ車の列。

ああ…早く落ち着いた日常が帰ってこないかなあ…

大地震の影響

2011-03-15 10:59:48 | 能楽の心と癒しプロジェクト
ニュースでは原発の事故と、計画停電が大きな問題になっていますね…。生活にもいろいろな支障が出始めています。

能楽界でもいろいろな影響が出ています。しあさってに予定されていた国立能楽堂の定例公演で、ぬえの師匠が『桜川』をお勤めになり、豆ぬえがその子方として出演する予定になっていましたが、昨日公演そのものが中止された旨、連絡が来ました。キビシイ稽古をしていた豆ぬえにとっては残念でしたが、わざわざ停電させて電力供給を確保する非常事態。そのために電車まで止まっている状況では公演は不可能ですし、するべきではないでしょう。

が、こういう事態になる以前の公演については、開催の是非について主催者側はずいぶん懊悩があったと思います。ぬえの師家について言えば、地震の2日後の日曜日に月例公演があったのでした。師家では通常 申合は公演の2日前に行われる慣習になっていて、この申合の午後に地震が発生しましたので、師家ではたった1日半で公演の是非について検討しなければならない状態でした。詳しい検討の内容は ぬえにはわかりませんが、いろいろと熟慮の末、地震の翌日には公演開催の判断が師家によって下されたようです。

ぬえがそれを知ったのは公演前日…地震の翌日、来演を願っていた能楽師からの問い合わせがあったからで、そのとき伊豆にいた ぬえは、特別に師家から ぬえに連絡がない以上、公演は行われるものと漠然と考えていましたが、師家の公演事務所に連絡を入れて確認してみます、と答えました。ところがそこでこの能楽師から聞いたのは、事務所に電話が繋がらないので ぬえに問い合わせをしたのです、とのことでした。

なるほど、電話を切って事務所に電話してみても、通話中で繋がりません。おそらくお客さまからの問い合わせが殺到しているのでしょう。そこで書生さんに電話をして公演について聞いてみると、公演は予定通り開催と決まりました、とのこと。出演者からの問い合わせがあり、そちらへの連絡が遅れている、と伝えて、ぬえとこの書生さんとで手分けをして出演者に開催の連絡をすることになりました。

大多数の出演者からは「かしこまりました」と丁寧なお言葉を頂戴致しましたが…一部の出演者からは、ぬえ個人にではありましたが、余震への不安や 公演開催そのものについて異論も寄せられたのも事実で、すべての出演者は主催者たる師家の判断を尊重してくださいましたが…実際にはすべての出演者が不安や懊悩を抱えながら出勤されたのだと思います。

当時はまだ東北地方の津波の被害は伝えられ始めたばかりで、それが大災害に発展する可能性がようやく言われ初めていました。原発の事故もまだ被害は調査中、という段階で、電力供給に不安があるためようやく節電が呼び掛けられ始めたばかりだったと思いますので、この時点では公演の開催は判断が難しいところだったと思います。主催者には公演のチケットを販売している以上、たとえお客さまが1人しかお出でにならなくても公演をする義務と矜持がありますから、それと現状との判断を重ねて(かなり苦しい判断だった、と聞いています)、結局 師家では日曜日に公演が開催されましたのだと思います。ほかのお流儀でも公演が行われたようですが、一方 中止となった公演もあったように聞いております。

ところが…不謹慎かもしれませんが、舞台人の立場として言わせて頂ければ、この日の公演はなかなか良い出来だったように ぬえには思えました。あとで聞いたところでは他流の公演でも同じ感想が聞かれたそうです。ぬえも楽屋入りするまでは、正直に言えば逡巡しながら、という気分でしたが、公演が始まると俄然、やる気が出てきました。なんだか「なにくそ!」という気分が舞台にあったように思います。

いま…とても公演はできる状態ではありませんし、やるべきでもありませんね。影響はいろんなところに…公的施設はのきなみ貸し出し中止になってしまったので、生徒さんのお稽古が中止になってしまったり…じつは ぬえ、今週末には伊豆で子ども能の打ち上げパーティーを予定していました。子どもたちと一緒にビンゴ大会をやったりで大盛り上がりになるパーティーで、その景品もたくさん買い込んだ ぬえ。やむなくこのパーティーも期日を定めずに延期になりました。(・_・、)

それでも被害が大きかった分、残された我々は元気でなければならないと思います。一刻も早く災害から立ち直り、また子どもたちとも笑顔で会える日が来ますように。

大地震!

2011-03-12 10:30:03 | 能楽の心と癒しプロジェクト
一夜明けて、とんでもない事になっていて驚きました。観測史上最大の地震だったようですが、ぬえの実感もあの揺れは生まれて初めて! というレベルでしたね~

そのとき ぬえは師家での申合を終えて、プリンターのインクを買うために新宿に出ていました。新宿駅の西口…まさに高層ビル群のそばの家電量販店にいまして、買い物を終えてさて出口から外に出ようとしたとき、なぜか出口が騒ぎになっていました。にぎやかな店内では、まず店員さんから屋外への退避指示が出されるのを聞いて、それから揺れに気がついた…という感じでしたが、外に出てびっくり。すぐ目の前の長距離バスの車体がぐらんぐらんと揺れています(!)

上から物が落ちてきてケガをする危険の可能性をはじめて感じました。それで量販店のアーケードの下にいたのですが、店員さんから「屋根の下はあぶないから広い道路に出てください」と指示されて、なるほどそうかも知れない、と思って、看板などが上にないことを確かめて道路に出ました。

驚いた…都庁ビルをはじめとして高層ビルがみんな身を寄せ合うように…揺れています。地面の揺れが収まっても、高層ビルはゆ~らりゆ~らりと揺れ続けている。ぬえも足元を取られながら呆然とそれを眺めていました。能楽師の立ち姿を揺るがせるとは…この揺れは?…ビルが揺れている様子は多くの人が携帯で動画を撮っていたのでネットに公開されているかも。

さて ぬえは帰宅を急いだのですが、電車はすべて止まっていまして、考えた結果バスを利用して少しでも自宅に近づこうとしました。これは結果的に正解ではありましたが、バスはすし詰め、1時間半も掛かってようやく自宅の最寄り駅の4つ手前の駅まで行くことができました。

…が、もう電車…地下鉄は動いているだろう、と考えたのが大間違い。携帯は通話は不能、メールは時々送信は成功、受信はほとんど無理、という状態で、自宅に居場所をメールで知らせ、あとは家人の到着を待ち続けることに。駅員さんの話では事態が事態なのでホームへの立ち入りは自由、もし電車が動き出しても料金は頂きません、とのことでした。たまたま駅に止まっていた電車の中で待ち続けることになって…これが2時間続きました。

ようやく家人の迎えが来ましたので、同じく帰宅できずに駅にいる乗客のうち帰る方向が ぬえと同じ方を乗せて差し上げて、この方を自宅までお送りして帰宅しました。結局帰宅まで7時間掛かった計算になりますが、車に乗せて差し上げた方は、地下鉄に乗っているところで地震に遭い、そのまま駅に停車した車内で5時間も過ごしておられたそうです。

車で帰宅を急ぐ途中の道には徒歩で帰宅する人々が大勢…帰宅してからもう一度駅まで戻って、ほかの乗客の帰宅の支援をしようと思ったのですが、道路は大渋滞で、かえって混乱に拍車をかけるかも…と思って断念。

画像は新宿駅の地下ロータリーで揺れ続けるビルを見上げる人々。バスで新宿を出発してからも道路に人が大勢出ていて、JR山手線では線路を歩く乗客の姿も見ました。なんにせよ激甚災害になってしまいました。被災地の方々には心よりお見舞い申し上げます。

伊豆のお稽古

2011-03-07 02:43:37 | 能楽
卒業シーズンでなにかと忙しなくて、なんだか伊豆から遠ざかっていた ぬえでしたが、この週末に久しぶりにお稽古に行きました。

行きがけに市役所機関に顔を出したら、「あ、ぬえ先生。子ども能の録画が届いていますよ」と言われました。何だろう…と思って受け取ったのですが、聞けばどうやら先日の「梅まつり」で上演した子ども能を地元のケーブルテレビが取材してくださって、その映像を提供して頂いたらしい。

おや、ありがたいことですね~、と思って、車内に戻って持参していたDVDプレイヤーで再生してみると…ををっ、さすがプロの映像は違うね~! この日は チビぬえに命じて撮らせた子ども能のDVDを配布しようと思っていたのですが、いやはやここまで質が違うと、なんだか すんませ~ん(×_×;) という気持ちになってしまいます。

よしっ、と一念発起した ぬえは、子どもたちを集めて 子ども能の録画の上映会をしよう! と思い立ったのでした。

考えてみれば、従来年に1回だけしか上演していなかった子ども能は、上演会場の規模こそ小さくなったものの、年に3回も上演できるようになったのですよね~。まだまだ予算不足で、お囃子方のご来演をお願いできるのは そのうちの1回にしか過ぎませんが、それでも去年までよりもずっと自由になった子ども能には ぬえ、大きな成長を感じています。

なんせ今年は稽古のスタートが遅れたところに、当初は上演する機会さえ定まらない状況で…ようやく子どもたちの保護者の方の尽力によって、地区の「敬老会」なんて催しに出演することが決まりましたが、その結果、稽古に費やせる時間はたったの1ヶ月しかありませんでした(!)。それでも現在上演している『伊豆の頼朝』が、去年に続いて2度目の上演であって、出演者の中には昨年の上演を経験している子もたくさんいたので、こんな短い稽古期間で上演に漕ぎつけたのですね。

その後、地元の神社の秋祭り、そうして先日の「梅まつり」と、とうとう今年度は3回もの上演をすることができたのです。それに留まらず声を大にして言いたいですが、この3度の上演で子ども能が確実に上達しました。今日のスピード社会の中で、どうしてもアナクロに思われがちな能ではありますが、ちゃんと子どもたちに魅力が伝わっているし、こういう伝統芸能の規範を消化して…そうして乗り越えて行こうとする、それどころか、あまつさえ楽しんでしまおうとする 子どもたちの柔軟性はうらやましいかぎりです。

…さて伊豆での稽古…子どもたちのパパやママへのお稽古が終わって、ランチをみなさんと一緒に楽しんでから、ぬえは市内のあちこちの施設をまわって上映会の会場を探しました。ん~、我ながら ぬえ、市内の施設の場所をよく知っているなあ。…ついに会場にふさわしい施設を発見! この上映会は、単に録画を見るだけではなく、3回も上演を行った子ども能の総決算としての「打上パーティー」です。以前クリスマスパーティーをやったことがあるのですが、ビンゴ大会もやって大盛り上がり! …でも今回は、主役・準主役を勤めた6年生の子どもたちの「卒業パーティー」でもありますね。もう、こんな事を12年も続けている ぬえではありますが、やっぱり中学校に進んで子ども能から離れていく子どもたちを見るのは寂しいなあ。

…タイトル画像は中伊豆のシンボル的な存在の「城山(じょうやま)」と、伊豆特有の「河津桜」です。城山は往古から旅人のランドマークになっていたという巨大な岩山で、近くで見ると本当に迫力があります! 河津桜はこの時期…1~2月に咲くサクラ。背丈の低い樹に、ソメイヨシノよりもずっと濃い、紅色に近い花が咲きます。見よ!城山と河津桜の見事な取り合わせ。ここは川(狩野川)の堤防なんですが、近年に河津桜の並木が植樹されて、とくにここのものを地元では「城山桜」と呼ぶのだそうです。ん~キレイだなっと~(^^)V