吉谷潔くんとは、もう来月に迫っているのですが、ぬえの生徒さんたちの発表会で舞囃子のお相手をお願いしております。10年ぶりに東京の舞台でご一緒して、とても上達していた彼。ん~ ぬえも負けてはいられないな~。
さて話は変わって『大会』の後シテで ぬえが使ったのがこの羽団扇です。じつはこれ、ぬえの自作でして。もうこれも数年前になりますか、薪能で『鞍馬天狗』を勤めた際に作ってみたものです。作業は予想よりもかなり大変でしたが…
たまたまその時に、12枚の鷹の羽根を某所でゲットすることができたのがそもそも自作するキッカケでした。これ、なかなか入手できるものではないですが、偶然の出会いで一念発起して…あとであまりの大変さに後悔しながら作業を進めた、というところですね~。
もちろん師家にも羽団扇はあって、それは巨大なものです。よくまあ、あれほど大きな羽根があるものだと思うほどで、試しに調べてみたところ、その羽根は「クマタカ」「イヌワシ」といった猛禽のものだとわかりました。これらの鳥は現在では絶滅危惧種だったり天然記念物だったりして、捕獲することができず、今となっては入手そのものがさらに難しくなっているようです。ぬえが手に入れたこの羽根は師家の羽団扇とはくらべ物にならないくらい小さいものですが、それでも鷹の羽根のようです。よくまあ市場に出回ったものだと思いますけれども。
それで羽団扇の柄を自作することにしました…これが大変だった。材料はホームセンターで買ってきた木材で、円盤型に加工されたものと、普通の角材です。(^_^;) 円盤型の木材は羽根を差し込むための穴を彫って二枚を貼り合わせるだけですが、三つ巴の文様を彫り込むのが大変~。さらにその文様に群青を塗って金箔を貼りますが、素人が金箔を貼るのは至難で、何度も失敗しながら、なんとかこれで完成としましたが、どうしても多少のシワができてしまう…素人の細工としてはこれ以上はちょっと無理でした。
柄は角材をカンナとナイフで根気よく削り出したものです。途中で「もう…これでいいや…」と諦めないために、時々思い出したように手に取って削っていったので、こちらはキレイに出来たと思いますが、仕上げるまでに半年ぐらい掛かったのではないかしら。
塗装はカシューを塗り重ねていきました。カシューというのは人造の漆で、まあペンキのようなものですね。能楽師の中にはこういう小道具を自作する人は時々あって、それもとっても器用な方がおられます。ぬえもこの羽団扇を作るときは、とっても器用で有名な観世流のEさんのお宅にまでお邪魔して、いろいろ教えて頂きました。そこで「本当は漆で塗りたいけれど、それは素人には無理かも…」ということで、人工の塗料でもキレイに仕上げる方法のアドバイスを頂いて、それに従って仕上げてみたのです。
ようやく削り出した柄の生地にトノコを塗って木目をつぶし、サンドペーパーで磨いて、そこに薄く溶いたカシューを塗ります。これをまた「研ぐ」…というのですが、やはりサンドペーパーで磨いてみると、目では見えなかった微妙な凹凸やら木目が塗料で埋まるのですね。このうえに再びカシューを塗って、さて研いで、また塗って…研いで…おそらく10回くらいはこの作業を繰り返したのではないかと思いますが、意外やツルツルに磨き上げることができました。
さて羽根の加工ですが、ちょっと良い木でできた割り箸を削って羽根の軸に差し込み、補強と装飾を兼ねて真鍮の細い針金で巻いて、最後にクリアラッカーを吹き付けて出来上がり。うまく三つ巴の柄の周囲に均等に差し込めるよう、何度も計算をして、仮組立を何度も繰り返しながら、ようやく全体が完成しました。
…どうしても師家の巨大な羽団扇と比べると見劣りしてしまいますが、天狗の姿のまま羽団扇を前に高く掲げながら登場する能と違って『大会』では天狗の姿が露見してからはじめて羽団扇を持ちますし、これを武器に帝釈天と戦うので、あまり大きすぎない方が合っているかも、でした。
さて話は変わって『大会』の後シテで ぬえが使ったのがこの羽団扇です。じつはこれ、ぬえの自作でして。もうこれも数年前になりますか、薪能で『鞍馬天狗』を勤めた際に作ってみたものです。作業は予想よりもかなり大変でしたが…
たまたまその時に、12枚の鷹の羽根を某所でゲットすることができたのがそもそも自作するキッカケでした。これ、なかなか入手できるものではないですが、偶然の出会いで一念発起して…あとであまりの大変さに後悔しながら作業を進めた、というところですね~。
もちろん師家にも羽団扇はあって、それは巨大なものです。よくまあ、あれほど大きな羽根があるものだと思うほどで、試しに調べてみたところ、その羽根は「クマタカ」「イヌワシ」といった猛禽のものだとわかりました。これらの鳥は現在では絶滅危惧種だったり天然記念物だったりして、捕獲することができず、今となっては入手そのものがさらに難しくなっているようです。ぬえが手に入れたこの羽根は師家の羽団扇とはくらべ物にならないくらい小さいものですが、それでも鷹の羽根のようです。よくまあ市場に出回ったものだと思いますけれども。
それで羽団扇の柄を自作することにしました…これが大変だった。材料はホームセンターで買ってきた木材で、円盤型に加工されたものと、普通の角材です。(^_^;) 円盤型の木材は羽根を差し込むための穴を彫って二枚を貼り合わせるだけですが、三つ巴の文様を彫り込むのが大変~。さらにその文様に群青を塗って金箔を貼りますが、素人が金箔を貼るのは至難で、何度も失敗しながら、なんとかこれで完成としましたが、どうしても多少のシワができてしまう…素人の細工としてはこれ以上はちょっと無理でした。
柄は角材をカンナとナイフで根気よく削り出したものです。途中で「もう…これでいいや…」と諦めないために、時々思い出したように手に取って削っていったので、こちらはキレイに出来たと思いますが、仕上げるまでに半年ぐらい掛かったのではないかしら。
塗装はカシューを塗り重ねていきました。カシューというのは人造の漆で、まあペンキのようなものですね。能楽師の中にはこういう小道具を自作する人は時々あって、それもとっても器用な方がおられます。ぬえもこの羽団扇を作るときは、とっても器用で有名な観世流のEさんのお宅にまでお邪魔して、いろいろ教えて頂きました。そこで「本当は漆で塗りたいけれど、それは素人には無理かも…」ということで、人工の塗料でもキレイに仕上げる方法のアドバイスを頂いて、それに従って仕上げてみたのです。
ようやく削り出した柄の生地にトノコを塗って木目をつぶし、サンドペーパーで磨いて、そこに薄く溶いたカシューを塗ります。これをまた「研ぐ」…というのですが、やはりサンドペーパーで磨いてみると、目では見えなかった微妙な凹凸やら木目が塗料で埋まるのですね。このうえに再びカシューを塗って、さて研いで、また塗って…研いで…おそらく10回くらいはこの作業を繰り返したのではないかと思いますが、意外やツルツルに磨き上げることができました。
さて羽根の加工ですが、ちょっと良い木でできた割り箸を削って羽根の軸に差し込み、補強と装飾を兼ねて真鍮の細い針金で巻いて、最後にクリアラッカーを吹き付けて出来上がり。うまく三つ巴の柄の周囲に均等に差し込めるよう、何度も計算をして、仮組立を何度も繰り返しながら、ようやく全体が完成しました。
…どうしても師家の巨大な羽団扇と比べると見劣りしてしまいますが、天狗の姿のまま羽団扇を前に高く掲げながら登場する能と違って『大会』では天狗の姿が露見してからはじめて羽団扇を持ちますし、これを武器に帝釈天と戦うので、あまり大きすぎない方が合っているかも、でした。