のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

2013年06月23日 | 日記・エッセイ・コラム

 富士山の世界遺産登録とりあえずおめでとうでございますが、懸念しているのはこれで登山者が増えて環境破壊を防ぐために「入山料」なんてことになりゃしないか。

 入山料については反対ではないんです。環境整備に使われたり、入山者の規制にもなりますから。それならいくらくらいなら?と問われると500円くらいかな?めったに行く山でもないから1000円でも何とか我慢できるかな?

 と、考えつつも入山料とられる心配のない冬に登ればよい。なんてことを考えています。

 富士山は技術的にはまったく難しくない山ですが、冬になると様子が急変します。単独峰ですから天候が読みにくく風が強いので、1月に登って吹き飛ばされたことがありました。幸い新雪の吹きだまった窪みのやわらかい雪の上に落ちたので怪我はなかったのですが、30mほど飛ばされました。

 突風が吹きそうだったので「耐風姿勢」といってピッケルを雪面にさして体を低くして風に耐えていましたが、凍っていてピッケルがしっかり刺さらない、体が持ち上がった?と思ったら一瞬にして吹き飛ばされました。

 一緒に行った山仲間も一番体重が思い私が飛ばされることはなかろうと思っていたようでしたが、結果として空気抵抗が大きい体型が災いしたんだ「だからやせろ!」と言われました。

 火山活動が盛んなカムチャッカ半島には富士山のようなコニーデ型の美しい山が多数ありますが、毎年火山活動で標高が変わるクリチェフスカヤ山(だいたい4750m)に行ったときにも風で恐い思いをしました。

 正確な頂上は火山活動で立ち入ることができないのですが、頂上付近まで登って下山の途中、私の後ろを降りてきたスウェーデンのパーティーが風で吹き飛ばされ凍った斜面を滑り落ちてきました。

 アンザイレンと言ってザイルで繋がったまま彼らは歩いていたので、一人が飛ばされたときにもう一人もザイルで引っ張られて落ちたのでしょう。

 単独の私を挟んで右と左に一人ずつ落ちてきましたが、冷静に考えなくても真ん中にいた私は彼らのザイルが引っかかることになります。残酷ですが、ザイルが私の立ち位置を横断するときに飛び上がって逃れれば巻き添えを食わない。とっさに判断したものの風が強くて飛び上がれない。

 ピッケルのピックを氷に突き刺して、アイゼンで踏ん張って半分人生をあきらめてザイルを受け止めたら、奇跡的に何とか受けとめることができました。

 二名の命を救ったお礼はチョコレートでした。

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