のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

ジャーナリスト

2012年08月21日 | 日記・エッセイ・コラム

 シリアのアレッポで日本人ジャーナリストが銃撃戦に巻き込まれ死亡しました。45歳の女性ジャーナリストだそうです。市街戦はこうした不測の事態がおきやすいので、当然覚悟して出たのだと思います。

 アレッポと言うシリア北部の町は私にとってまったく無縁の都市ではなく、私の知り合いのシリア人はほぼこの街の人たちでした。この冬、秋田に来て「雪が多くて仕事にならない、どこか雪のない街を紹介してくれ」と泣きついてきたのもアレッポの住民でした。みんな大丈夫なのか?非常に気になっていますが、こうした知り合いの一人、ラックマン君からメールが来ました。

 奥さんと子供はトルコに非難させたそうですが、当人は現在ドバイにおり、秋には日本に仕入れに行きたいと「お前さんの街、今とんでもない状態だろう?」と言いたくなるようなのんきさ。アラブ人がよく言うインシャッラーとマレシの世界ですね。「神の思し召し」と「気にしない」。

 日本の期限を損ねて通貨スワップが棚上げになりそうで貿易の危機に陥っている韓国以上に、シリアの為替は危ない状態。独裁国家シリアの銀行から日本始め民主主義国への送金は禁止されています。そのため、彼らがこれらの国と通商するときにはドバイの銀行経由で送金しなければなりません。それでも、資源が少ないシリア人は「アラブ商人」となって各地へ出かけて生活を支えています。

 ジャスミン革命、アラブの春と騒がれたものの、独裁者に川って新しい独裁者が出てきたのが昨今で、シリアの政権が変わっても民主化への道のりはまだ遠いと思います。お隣の中国、韓国を見ればわかり通りです。体質改善は難しい。

 さて、こうしたジャーナリストの事故があると、メディアも同じ仲間ですから「女性と子供のため」とか美談を流すのですが、現地に赴き人たちはこうした棄権は承知の上、ゆえに家族も冷静に事態を受け止めていたように思えました。

 こうした事故にあうのはフリージャーナリストや小規模な通信社の人たちで、一攫千金も絡んでいます。

 ある新聞社のお偉いさんにこうした紛争地帯に「何で直接記者を派遣しないの?」と聞いたら、「労災がうるさくって」と呆れた返事が返ってきました。そのくせ「ジャーナリスト」と言う肩書きには妙にこだわる、ただの「虎の威を狩るキツネ」のくせに。

 こうしたはげたかジャーナリストの食い物にされないか?そちらも不憫に思えます。

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