このところの積雪で沢筋に表層雪崩が起きる現場を目にしました。小規模でしたがかなり速いスピードで雪煙が下っていきました。人が行けるような沢ではありませんが、気がついてから逃げても手遅れだなとその速度を実感できました。
雪と傾斜があれば雪崩はどこでも起きるものですが、国道を走っていたら石垣に付着した雪(雪庇)が幅2-3m、高さ5-6mに渡って崩れて落ちていました。これも一種の雪崩で、崩れた雪の量にすれば4tダンプ一杯分程度でしょうが、直下に人がいれば十分殺傷力があります。
若かりし頃、スキー場のパトロールの仕事をしていたとき、雪が降った朝には「雪庇落とし」と言う作業がありました。
風で斜面についた雪庇をスキーで横切って意図的に雪崩を起こす作業ですが、前日に溶けた雪が凍結してその上に軽い新雪が積もったときなど心地よいほど表層雪崩が起きます。
パトロール隊員が一列に連なって雪庇を横切って雪崩を起こすのですからタイミングが悪いとそこに巻き込まれることもしばしばあります。私の前を走っている隊員がドサっと崩れてきた雪にのしかかられ姿が見えなくなり、私自身も腰まで雪に埋もれて動けなくなったことがあります。私は何とか自力脱出できましたが、雪に埋まって頭から上がやっと出ている状態の隊員は身動きがとれず、すぐに別の隊員が掘り起こして助け出しました。
以前、テレビでアラスカやのスキー場の雪庇落しの光景を見たことがあります。早朝、雪崩がおきそうな斜面に向かって大砲を打ち込み、雪を落としてしまう荒っぽい手法です。「人命」を考えればこちらのほうが安全だと思ったものです。
地震と同様、雪崩も「起きる」と言う予測はできても、いつどのタイミングで起きるかは定かではなく、起きてから「雪崩が出てしかるべきだった」と言う結論に達するのが毎度のこと。起きなくて幸いだったという状況は多々あります。