日本郵政の改革案について、亀井大臣と管副総理とで、TV番組で「耳が悪い」「口が悪い」と「言った、言わないと水掛け論」の醜態をみせたが、30日の閣僚懇談会で、亀井・原口両大臣が発表した改革案を鳩山首相が裁定と報道。。
内容は別にして、手順を踏んだ正攻法の亀井大臣スタイルに、各官僚らが押し切られた形ですね。
ジャーナリストの町田徹氏は、ダイヤモンド・オンラインに寄稿した『「国策会社・郵政」誕生の危険 亀井大臣の暴走を民主党は止められるか』では、亀井大臣の党利党略で、暴走で、白紙撤回すべきと酷評していますね。
記事によれば、24日の基本方針の公表の際には、資料が2枚で、改革の柱を
(1)今国会に提出予定の郵政改革基本法案の成立にあわせて、郵便貯金の限度額(現行1000万円)を2000万円に、簡易保険の限度額(同1300万円)を2500万円にそれぞれ拡大する、
(2)政府から親会社への出資と、親会社から子会社への出資をそれぞれ3分の1超とする、
(3)4月中の郵政改革基本法案の提出を目指す――
のわずか3点しか記されていなく、500億の消費税免除とは無責任と糾弾しています。
亀井大臣は、官僚懇談会で、鳩山首相から亀井改革案の裁定があり、昨日は、朝からTV番組に生出演し、郵政改革案の妥当性と有効性を強調していました。
一方、メディアは、郵便貯金の限度額を2000万円増額については、政府信用となり信金・信組の地域金融機関の経営に悪影響するとか、国債受け入れが主体運用で過去の財投の悪弊に戻ると批判的ですね。
地銀・信金・信組が地域経済に貢献してきたことは事実ですが、融資査定は旧態部分があり、限界でもあると思っています。
中小・零細企業向けに金融機関が「貸し剥し」「貸し渋り」で、新東京銀行、日本振興銀行が創設されたが、新東京銀行は経営破綻状態になり、日本振興銀行は内紛があり、経営路線変更し、経営苦境になった商工ローンSFCGなど債権買取し、最大のノンバンクになり、「中小企業の応援者」と広言し、業容拡充していますね。
現実に、日本振興銀行HP(2010年1月データ)によれば、
中小企業貸出動向
【貸出件数(前年同月比)】
・日本振興銀行・・・・・(+54.0%)
・信用保証協会・・・・・(ー 0.2%)
・銀行合計(推計値)・・(ー14.4%)
【貸出残高(前年同月比)】
・日本振興銀行・・・・・(+178.5%)
・信用保証協会・・・・・(+ 12.6%)
・銀行合計(推計値)・・(- 3.4%)
で、業績拡大しています。
当方は、竹中・小泉郵政改革は反対者でした。
西川前日本郵政社長も、「ゆうちょ銀行」で「無担保ローン」を画策しているという報道に接して、本ブログ「ゆうちょ銀行の「無担保ローン」:新銀行東京の末路と同じ道」で、
”「不景気で、中小企業の経営者も資金繰りで駆けずり回っているが、銀行は不良債権比率の良化が大前提であり、「貸し剥がし」、「貸し渋り」で、信用保証協会は保証割合を100%に戻しているが、「保証渋り」があり、保証付き融資も、運転資金より返済資金に充当されてケースもあり、メガバンクは機械審査の無担保融資の「ビジネスローン」から「通常融資」に営業姿勢を切り替えており、最後の頼みの手段は、ノンバンクに頼ざるを得ないが、ノンバンクにも断れるケースが増えているのが現状ですね。
そのノンバンクは、貸金業金利改正でグレーンゾーン金利以下での商売になり、ノンバンク自体がメガバンクからの資金調達が困難になり、消極姿勢になり、商工ローンの大手SFCGは、リーマンショックで、リーマンから調達してた多額の資金の返済で破綻に陥り、SFCGの債権譲渡をうけたのが日本振興銀行で、現在は、名前が銀行だが日本振興銀行は『日本最大の商工ローン』(自民党の平将明衆議院議員が関与)に変容していますね。」”
”「銀行が貸さない中小企業への融資のありかたは、難しいことも事実で、貸さないのが悪いのか?、ノンバンクから高利で借りるのが悪いのか?、取立てが悪いのか?難しく、ただ言えることは、財務データらでの機械審査における高額無担保ローンは劇薬であり、民営化といえども事実上の官営銀行の「ゆうちょ銀行」が高額の無担保ローンを手掛けるには、慎重さは不可欠です。」”
と書き、「ゆうちょ銀行」による「無担保ローン」は反対者でした。
メディアは、亀井大臣の「ゆうちょ銀行」の限度額UPを、地方金融機関にダメージが大きいと批判していますが、確かに、新たな競争状態になることは事実ですが、地方金融機関も中小企業を育成に注力してきたかは疑問ですね。
旧態の財務状況からの審査に偏重しているのでないでしょうか。
日本振興銀行が業績拡大しているのは、地方金融機関より「つなぎ資金」の融資を断られた中小企業が日本振興銀行に、足を運んでいるのです。
ただ、商工ローンSFCGを身近に見てきた当方は、日本振興銀行の抜け目のなさには、心情的には拒否反応を覚えますね。
当方は、竹中平蔵氏の郵政民営化は、「官から民へ」ではなく、「官から特定民間で」でしかなく、竹中郵政改革路線は反対者でした。
亀井大臣、斉藤日本郵政社長も、苦慮しているのは、日本郵政を金融機関を基幹にするのか、ユニバーサルサービスを基幹にするのかでしょうね。
当方は、本ブログ「郵政問題:日本郵政問題は「思考停止社会」そのもの(1)」で、高橋洋一氏の経済的な観点で、宇田左近氏(当時 マッキンゼー社)の経営的な観点からの現行4分社化を疑問とし、
”「経済的(財務省)・経営的な立場での郵政民営化スキームだけでなく、何故、高齢少子社会において、地域生活者、環境保全、安心・安全社会への実現にむけた郵便局ネットワークの資源を活用した郵政改革しないのかということでした。」”
と新たな社会サービスを創出する知恵が必要と書きました。
本ブログ「郵政問題:日本郵政問題は「思考停止社会」そのもの(2)」で、葉上太郎氏の
”「私は、田舎と呼ばれる地域の郵政には、第四事業があったと考えている。
郵便・貯金・保険の三事業に加え、この三事業を手段にした セーフティネットの構築だ。」”
に賛同すると書きました。
日本郵政は、ユニバーサル・サービスを基軸に、新たな社会サービスを創出すべきと思っています。
田舎も大事ですが、都会と田舎を人的移動させるサービスなどを創出すべきですね。
本ブログ「TV朝日の「スーパーモーニング」が『急増:団塊モンスター!』を取り上げる・・・諸々の雑感」で、団塊世代の「労働奉仕」など有効活用すべきと書きましたが、日本郵政がもつ全国拠点網を活用した新たな社会サービスを創出することも一考と思っていますね。
亀井郵政改革案は、当方は好意的にみていますね。
「参考」
本ブログ「同級生が語る亀井静香なる人物像・・・・正義感・熱血・人情派」
亀井大臣の人物像を垣間見できますね。