TPP参加問題について、前原政策調査会長や藤村官房長官は、”「交渉に参加しても撤退もありえる」”とし、玄葉外務大臣は、”「交渉に参加したあとに撤退するのは事実上困難」”という認識であり、政府・政権与党内でも認識が異なる問題を、来月前半に開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)までに日本の統一見解を出すことは、性急であり、将来に禍根を残す懸念を持ちますね。
昨今の政府のTPP熱病を傍観していると、沖縄返還の密約を連想します。
当方は、本ブログ「TPP開国に関して、中野剛志助教授の主張、池田香代子女史の意見に賛同」で、中野剛志准教授の主張に賛同と書きました。
その後、中野剛志准教授の「ダイヤモンド社サイト」に寄稿の『米国丸儲けの米韓FTAから なぜ日本は学ばないのか』(「TPP亡国論」著者が最後の警告!)に接して、中野剛志准教授の警告に同感です。
当方は、沖縄基地問題について、昨年の6月19日のNHKスペシャル番組『密使 岩泉敬』(沖縄返還の代償)を視聴し、本ブログ「NHK特番「密使 岩泉敬 沖縄返還の代償」・・・知れば知るほど外交力」で、
”「(番組は、)沖縄返還に伴う「有事に核持ち込み」密約を主導した岩泉敬氏の苦渋の決断が、アメリカに沖縄基地の固定化の外交成果を促す結果になった背景を取り上げていました。
沖縄基地問題は、「知れば知るほど外交力」と認識しました。」”
と、外交力が国益を左右し、将来に禍根を残す事を痛感しました。
本ブログで、
”「番組では、アメリカに特異な人脈を持つ岩泉敬氏が佐藤首相から要請され沖縄返還の密使になり、岩泉敬氏はアメリカ人脈から、アメリカ側の「有事に核の再持ち込み」要求を容認しなければ、「核抜き・本土並み」の沖縄返還は実現しないとの助言があり、佐藤首相とニクソン大統領間での密約を主導し、核抜きで沖縄返還実現に。
しかしながら、アメリカ側は、沖縄基地を半永久的に自由に使用できることが究極の狙いであり、「有事に核の再持ち込み」要求は、副次的・表面的なテーマであり、「核」への日本人の拒否感情を利用し、密約を画策と。
その後、沖縄基地が沖縄県民に負担をかけ続け、沖縄返還20周年記念の日米会議で、岩泉敬氏が打診したアメリカ側から、アメリカは随所から核を発射できる技術を持っており、沖縄基地に核は不要で、真の目的は、沖縄基地は、台湾、朝鮮、ベトナムへの軍事基地と重要であり、沖縄返還の代償に沖縄基地の固定化は、日米安全保障が親密になったのは外交成果との事実を知り、岩泉敬氏は愕然とする。」”
と、岩泉敬氏は「核抜き・本土並み」の沖縄返還に、アメリカの「有事に核の再持ち込み」要求の密約を主導し、沖縄返還を実現したが、「有事に核の再持ち込み」密約が、沖縄基地が固定化になり、日米安全保障が深化したのです。
そして、アメリカの思惑を知り、沖縄基地の固定化を見て、
”「岩泉敬氏は、自分も外務省の誰も、アメリカの深謀なる画策を何ら留意しなかったとし、密約の自責の念が起き、密約の存在を暴露した『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を発刊し、国会で話題になると期待したが、外務省は密約の存在を否定し、国会にも呼ばれず、沖縄基地問題は本土の人間には他人事であることに心痛な思いになり、服毒自殺を図る。」”
と、岩泉敬氏は、沖縄返還に精一杯の努力したが、アメリカの策略の土俵での努力だったと書きました。
TPP参加問題は、沖縄基地問題、日米安保問題と同質ではないかと連想します。
日本政府は、アメリカとの日米同盟関係の堅持が国益の根幹という固定観念があり、TPPは、途中からアメリカが主導し、日本に参加の要請(圧力?、日本側からの甘受姿勢?)があり、日本は、日米同盟堅持・深化が絶対的であり、参加ありきでプラス・マイナスを喧騒しているのに過ぎないのです。
農業関係者にとっては、農業破壊につながると反対するだろうし、産業界は関税撤廃の貿易自由化は競争力UPとなり賛成するであろうし、有識者は、アジアは日本再生のエンジンで参加は不可欠とし、各論は立場立場での常識論の範疇の意見ですね。
要は、TPP問題の根源は、アメリカ追随の日米同盟堅持するかどうかの覚悟の問題です。
傍観者にいわせれば、アメリカと対等な交渉でなく、ご機嫌を伺いながら折衝しているとしか見えないですね。
日本は老人性骨粗鬆症に患っており、アメリカは金融資本主義の歪で影響力が減退し、ヨーロッパの円熟の虚構が顕在化し、中国・インドらの新興国が経済成長中で影響力を増しており、世界が多極化に激変中であり、TPP参加問題は、将来も日米同盟の堅持するかどうかの問題ですね。
密使の岩泉敬氏は、”「自分も外務省の誰も、アメリカの深謀なる画策を何ら留意しなかった」”と自省し、沖縄基地の固定化の自責の念で、『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を発刊し、日本社会に警告したが黙殺され、服毒自殺したのです。
TPPに参加しなければ、アジアで商売できないのか、商売のハンディを負うのか、そのハンディを対峙する智恵がないのか、TPP参加問題は説明不足、議論不足ですね。
本当に、TPP参加の選択肢しかないのか疑問で、時間をかけても、『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を衆知・英知を集め結論をだすことが賢明であり、日本の覚悟が問われていると思いますね。
過去、日本が「エコニック・アニマル」と揶揄され、アメリカが「バイアメリカ」と日本製品不買活動し、日本に年次改革要望書を要求されてきた経緯があるのに、まだ、アメリカに追随するほど、日本は自力の活力を失ったのでしょうか?
世の中での一番の怖さは、「キチガイに刃物」であり、自己防衛せざるを得ないが、どこがキチガイなのか、刃物は何かを見極めて「自立と共生」を模索するしかないのです。
日本の政治家・有識者に、胆力も智恵もないのか思うこの頃ですね。