北朝鮮によるミサイル発射については日本政府がドタバタ対応し、発射後は、国内では、安全保障の態勢強化の必要性が賑やかになり、警戒衛星の保有、敵基地攻撃論、更に核保有まで話題になり、麻生政府は、北朝鮮を国連決議違反として、国連決議に向け強硬姿勢での折衝が連日、報道されていましたが、犬の遠吠えで、何か、足が地に付いていない喧騒を感じております。日本の安全保障でなすべきは、外交努力が先決でしょうね。
当方は、本ブログで、「今回の北朝鮮ミサイルの発射について、人工衛星搭載ロケットと事前通告があり、爆弾を搭載したミサイルでもないのに、麻生政府は、大騒ぎのし過ぎではないかという思いで、推移を注視していました」と書いたように、傍観していましたが、自民党の坂本剛二組織本部長の日本も核保有すべきだの発言には、見識なさの暴論と書きました。
当方は、何人かの北朝鮮ミサイルに関してのブログ、コラムを読みましたが、興味をもった一人は、日経BPサイトのWeb制作現場の“非常識”(正体不明)のコラム「テポドン2号が落下したら 迎撃は可能だったのか」です。
筆者は、テポドン2号が落下せず、自衛隊も迎撃せずに済んで、良かったとしていますが、もし、落下し、迎撃し、「撃ち落せなかったら」どうなっていたかと皮肉っており、
”「どんな平和主義者でも「迎撃しないで落ちるに任せよう」
とはならない。
しかし、それは「落下するなら撃ち落とす」である。
「断固たる」「毅然とした」の姿勢議論は否定しない。
しかし、もっと大切なのは、限りなく確実に近く「撃ち落
とす」ための客観的で具体的な議論と、それへの我々国民の
判断ではないだろうか。」
と結んでいます。
要は、「撃ち落とす」ための客観的な議論と迎撃ボタン押下は、国民の判断ありきということですね。
もう一人は、当方が触発・啓発されているブログ「社会科学者の時評」の「◎ 北朝鮮「ミサイル」問題を,日本は騒ぎすぎ ◎」・・・・ 【元防衛庁トップ久間章生が語る北朝鮮「ミサイル」問題】です。
筆者は、4月11日『朝日新聞』の朝刊「オピニオン:異議あり」面の,元防衛省大臣(元防衛庁長官)の久間章生(68歳)のインタービュー記事を題材にした内容ですね。
筆者は、
久間章生氏の対談内容で、「北朝鮮が飛翔体〔人工衛星あるいはミサイル〕を打ち上げるという情報に接し,日本の自衛隊3軍が有事的な態勢を構えて〈迎撃〉しようとするのは,あまりに当然な「軍隊としての応戦」であって,なんら不思議ではない。それのに,なにゆえ,それほどまでマスコミが大騒ぎするのか,と久間氏の指摘については、本音は、政府中枢や防衛省高官たちが,そうしたマスコミの興奮状態を歓迎していないはずがないとしています。
筆者は、
久間氏が、日本側の「敵基地攻撃論」や北朝鮮外交問題にふれてから,最後にこうまとめていた。
「高揚せずに,過剰にならずに対応するのが大事です。いまはなにかあると,ワッと性急に議論が進んでいく。それは怖いなあと思いますよ」。
と紹介し、
「つまり「怖いのは北朝鮮の金 正日」朝鮮労働党総書記・朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長・朝鮮人民軍最高司令官のご意向ではなく,むしろ日本のマスコミ,そしてこれを上手に操り,そしてこれに乗せられて大騒ぎする誰か「たち」のほうが,よほど怖いというのである。」と解説しています。
そして、最後に、
「要は「大山鳴動鼠一匹」という譬えどおり,というよりも
「ネズミの糞:ひとカケラ」も落ちてこなかった。
今回,北朝鮮が人工衛星の打ち上げだといい,日本がミサ
イル発射実験だと解釈したロケットの日本上空への飛翔体
「飛来・通過事件」は,なにを日本 に教えようとしてい
るのか。
北朝鮮による日本人拉致問題は,いまもなお,いっこうに
解決するみこみがない。
こうした困難な政治環境もあってか,日本が北朝鮮との
国交樹立がいつ実現させうるのか暗中模索の状態でもあり,
皆目見当もつかない始末。
日本は,北朝鮮と国家間交渉をするための糸口を,なにも
もちあわせていない。
日本は,北朝鮮の意向や真意を推理・判断したり,現実に
北朝鮮と政治に 交渉・駆け引きする能力も皆無に近い。
一部の北朝鮮問題を専門とする学者の診断に頼るばかりと
いう,なんとも情けない実情である。」
と結んでいますね。
日本の安全保障も、外交能力も情けない実情だと断定していますね。
最後の一人は、天木直人氏の「北朝鮮ミサイル発射が突きつけたもの」です。
天木氏は、産経新聞の記事「日米同盟の「新たな真実」を紹介し、日米安保体制では期待できないとし、田中均元外務省幹部の
「・・・2002年9月の日朝平壌宣言には、ミサイル発射凍結が盛り込まれていた。今回の発射は宣言違反であろう。
日本は交渉を求め、『違反』と指摘することが大切だ・・・」
と日朝平壌宣言が破られたの発言を紹介し、
天木氏は、
「拉致問題も北朝鮮のミサイル問題も、利害を一番有して
いるのは日本だ。
その日本が、米国の都合に合わせて六カ国協議の陰に
隠れ、あげくの果てに米国の気まぐれではしごを外される。
自主、自立した直接交渉を北朝鮮としないままでいる。
そんな愚かな外交があるだろうか。」
と、日本外交を批判しています。
そして、北朝鮮のミサイル核の脅威は現実的として、核ミサイルの脅威に対応できる軍備として、行き着く先は日本の核武装しかない。
最後の究極的な問題は、核ミサイル戦争を想定した場合には、核ミサイルの脅威は北朝鮮だけではない。ロシアも中国もある・・・となり、核武装しても日本には、勝ち目がないとしている。
天木氏は、結論して、
「北朝鮮のミサイル実験が突きつけたもの、それは憲法9条 こそ最強の安全保障政策であるという事である。
今こそ日本は世界に率先して平和外交の重要性を訴えるべきだ。
安保理決議で北朝鮮に対する制裁強化を訴えるような愚を
犯している場合ではない。」
と、日本は、憲法9条こそが最強の安全保障政策とし、平和外交の率先すべきと書いています。
当方も、この度の北朝鮮ミサイル問題は、安全保障態勢の強化ではなく、外交努力が最善という考えですね。
自民党の一部が、監視衛星、敵基地攻撃、核武装など話題にすることは、見識なき発言と思え、麻生政府が国連に、北朝鮮への非難決議に傾注しているのも、世界観の無さと思えますね。
北朝鮮問題も究極は、朝鮮半島の統一化であり、朝鮮民族間の問題と見ています。