涸沼

2011年10月06日 | 日本の湖沼百選

 

 

涸沼(ひぬま)は、茨城県中部の鉾田市、東茨城
郡茨城町、大洗町にまたがる那珂川水系の汽水湖。
涸沼は、東茨城台地、鹿島台地に囲まれた所に位
置し、上流から笠間市を水源とする涸沼川や大谷
川などが流れ込む。下流側では涸沼川が那珂川に
合流し、そのすぐ先で海と通じており、満潮時に
は海水が涸沼川を逆流し、淡水と海水が混ざりあ
う汽水湖となっている。また、那珂川の氾濫時に
は淡水が涸沼に流れ込み、地形的に遊水池ともい
える。なお国や県では涸沼川の一部分という見解
が一般的である。流域面積:439km2、湖面積:9.35
km2、流域人口約161,000人。シジミの生産が盛ん
であり(1999年全国第4位)、涸沼沿岸では直売営
業所も見られる。また、マハゼなどの魚の漁も盛
んである。涸沼では、398種の植物が確認されてい
る。

Hinuma-landsat.jpg

昭和40年代までは、ヨシやマコモなどの水生植物
が群生していた。しかし、下記に示す湿地の干拓
やコンクリート護岸工事などによって、群生地が
減少、ミズアオイ、ミズワラビ、タコノアシが絶
滅の危機に瀕している。涸沼では、86種の鳥類が
確認されている。また、シジミや小魚が豊富であ
り、鴨や雁などの水鳥が多くみられる。また、シ
ギやチドリなどの渡り鳥が湿地などによくみられ
る。さらに、冬場には猛禽類であるオオワシやオ
ジロワシも見られる時がある。

魚類は105種の魚類が確認されている。全国的に
珍しい汽水湖であるため、フナ、ナマズなどの淡
水魚やハゼ、ボラなどの回遊魚など多種多様な魚
を見ることができ、ニシンの太平洋側の南限とし
ても知られる。昆虫類 は、国のレッドリストで
絶滅危惧I類に指定されているヒヌマイトトンボ
というイトトンボの一種が確認されている。貝類
はヤマトシジミの全国的な産地となっている。し
かし、護岸工事などで年々漁獲高が低下している。



縄文時代、海水面が上昇し、涸沼周辺では入り江
であった。その後、入り江の入り口が川の土砂に
よってふさがれ涸沼ができた。江戸時代では、東
北や那珂川流域から物資を運ぶルートとして利用
され「内川廻り」といわれるルートの一部であっ
た。さらに水戸藩が松波勘十郎に涸沼西部の海老
沢から巴川流域の紅葉まで約10kmを結ぶ「紅葉運
河」や涸沼川から大貫までの約1kmを結ぶ「大貫
運河」を掘らせたが失敗に終わった。明治時代に
入ってからも、大久保利通が大谷川から北浦の流
入河川である鉾田川をむすぶ国家計画に着手した
が、暗殺により頓挫した。いまでも旧旭村(現鉾
田市)に切り通しの跡を見ることができる。1927
年(昭和2年)より、涸沼干拓が始まり、前谷(茨
城町下石崎)、広浦(大洗町神山町)、船渡(茨
城町上石崎)、馬割(茨城町海老沢)、東永寺(
茨城町上石崎)、宮ヶ崎と干拓され、水田として
利用された。

 

【エピソード】

 

茨城県森林湖沼環境税 茨城県では、森林や霞ヶ浦
をはじめとする湖沼・河川などの公益的機能の重
要性にかんがみ、これらの環境の保全に資する施
策の一層の推進を図るため、平成20年度から5年
間「森林湖沼環境税」を導入している。課税方式
は県民税の均等割額への超過課税(上乗せ)方式。

税収の使い道は(1)森林保全整備=8億/年
(2)湖沼河川水質保全=8億/年


 

【脚注及びリンク】
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1.「
クリーンアップひぬまネットワーク
2.「松波 良利
3.「茨城県森林湖沼環境税

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図 茨城県 食品の放射能検査データ