ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

戦争と平和

2022-12-12 11:35:43 | 映画のレビュー

オードリー・ヘプバーンの「戦争と平和」を見る。1956年作。

若い頃見た時は、長くて退屈だった覚えがあるのだけれど、この間何十年ぶりかで見た時、パッと目が見開くような気持ちに!

こんないい映画だったのか……これが(多分)、カラー映画初登場のオードリーがとても美しく、チャーミング。ああ、やっぱり、オードリーは凄くいいなあ。

子供の頃から、バレエをしていただけあり、足さばきがすばらしく綺麗で、動作が優雅。

   

上の写真は、最初の夫だったメル・ファーラーね。この映画、オードリーは、万人を惹きつけずにはいられない美少女ナターシャに扮しており、メルは彼女と恋愛関係に陥る公爵家の子息アレクセイを演じている。

そして、もう一人、この物語の主人公というべき、ピエール。彼は、伯爵家の私生児なのだが、冷たかったはずの父は、いまわの際に息子を、伯爵家の後継者と認める。

ナスターシャは、風のように自由で、恋していたはずのアレクセイから、別の与太者に心を移してしまったり、ピエールは奥さんとの間が冷え込んでしまったり……という人間模様が展開されたあと、何とロシアにナポレオンが攻め込んでくるのだ!

この戦いの場面が圧巻! 最初は強国フランス、天才ナポレオンの軍略に打ちのめされるものの、ロシアを救ったのは、最終的には、その国土。 ロシアの凍てつく寒さに、フランス軍は敗れてしまうのだ。

見渡す限りの雪原を、よろめきながら歩いてゆくフランス兵たち。十万人は死んだという戦いは、こんな惨憺たる有様だったのか。

この圧倒的な迫力に、私などは「ああ、やっぱり。ヒットラーたちも、スターリングラードの戦いで敗れたんだものねえ」とつぶやいてしまったもの。ナポレオン、ヒットラーもかなわなかった、ロシアの冬って、どんな凄いものなんだろう……?

戦いで負傷したアレクセイを、僧院の一室で静かに、看取るナターシャ。最後に、彼女を許したアレクセイ。戦いもようやく、終わった時、彼女のもとへ、捕虜となっていたピエールが帰ってくる。廃墟と化した屋敷の入り口で、抱き合う二人——というラストシーンで映画は終わるのだが、見終わった時、深く静かなものが心に広がった。

こんなしっかりした骨組みの映画は、もう今では作ることができないだろう。映画の黄金時代に存在していたパワーは、今は、もうどこにもないからだ。たとえ、技術が、どんなに進歩していたとしても。

そして、これは、先月買った本。いつか、TVでオードリーの息子のルカ・ドッティさんがコメントしているのを聞いて、オードリーの得意なチョコレートケーキのレシピが載っているものを探していたのだが、それが上の本というわけ。

  

本当に、内容の豊かな本で、あらためてオードリーの魅力を味わった。 チョコレートケーキは、上に粉砂糖を一面にふりかけて、そのまんなかに一本だけ、ロウソクをともすというもの――いかにも、シンプルなのだけれど、オードリーは子供たちのバースデーのみならず、大切な友達の誕生祝にも焼いてあげていたそう。

ごてごて飾っていず、ロウソクも一本だけ、というところがいかにも、オードリーらしい。ルカさんが言うには、彼女が大好きだったレシピは、この他に、スパゲッティ・ポモドーロ。つまり、トマトソースのスパゲッティーというわけね。 

上のカラーの表紙に写っている写真が、それ。

ケーキも、スパゲッティーポモドーロも、いかにもおいしそうなので、今度ぜひ作ってみたいな。

オードリーの貴重なプライベートの写真や、エピソードが詰め込まれた本。まるで、宝箱のよう💎……これから、何度も読みませう。


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