ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

悪魔の花嫁

2014-05-29 20:28:39 | 本のレビュー

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久々に面白かった漫画。この「悪魔の花嫁」は、わたしがまだ小学生だった頃の人気少女漫画で、悪魔ディモスが、少女美奈子の前に現れ、人間といものの醜さ・怖さをこれでもかと見せつけてゆくという、ミステリー調のもの。 残酷である分、素晴らしく良く練られたストーリーテリング(原作は、池田悦子さん)とあしべゆうほさんの華麗で美しい絵が極上の物語となって、一つの耽美的世界を描き出し、「悪魔の花嫁」に夢中になった少女は、当時の日本に無数にいたはず。

なぜ、悪魔ディモスが美奈子の前に現れたかというと、彼は何と古代ギリシアの神(!)で、実の妹ヴィーナスと恋に落ちたため、主神ゼウスに罰され、オリュンポスを追われた。その時、彼は、「恐怖の神」として異形の姿にされ、ヴィーナスは、黄泉の国で生きながら朽ち果てるという過酷な運命に。ヴィーナスを救うには、彼女の生まれ変わりである美しい娘を、身代わりにせねばならない。それが、美奈子であった――と、こういうわけなのだけど、荒唐無稽といってもいいストーリーが、これまた面白い!

この漫画は、ある意味未完のまま、終わってしまったかと思ったら、数年前「最終章」と題して、再びシリーズ化されてました。でも、あれほど魅惑的だったあしべゆうほさんの絵が、「えっ、どうしたの? これ」といいたいほど激変。恐ろしく、下手(ごめんなさい)というか、おおざっぱな描線になってしまってるのでした。

そして、物語も、「無理してるなあ」という感じで、面白くない・・・でも、この6巻目にして、久々に堪能しました。 歴史上、「女吸血鬼」と呼ばれた実在のハンガリー貴族、エリーザベト・バートリをテーマにした恐怖ものや、アフリカの部族に伝わる毒蛇を繁殖させるには、恐ろしい秘密が隠されたいた--とするもの・・・・やっぱり、わたしは怪奇ロマンが一番好きですね。


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