ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

草原の輝き

2018-02-07 20:14:46 | 映画のレビュー

映画「草原の輝き」を観る。1961年のアメリカ映画。 監督は、「エデンの東」や「欲望という名の電車」のエリア・カザン。
そして、主演がナタリー・ウッドにウォーレン・ベイティだというのだから、往年の青春映画としても、すごく見ごたえがあるはず。

実は、これも中学時代愛読していた集英社はコバルト文庫の映画紹介本に載っていた作品で、「いつかは観ねば!」と決心していたもの。それから、幾星霜の年月が流れて、ようやく観られることに。 とっても、うれしいな

キッチンでDVDを観ようとしていたら、そばを通りかかった母が、「あら、『草原の輝き』じゃない。私も、若い時見たわ」だって。

さてさて、そうやって観たこの作品、とっても面白かった! ナタリー・ウッドと言えば、ジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」や「ウェストサイド物語」にも出ていた懐かしのスター。そして、相手役は、ウォーレン・ベイティ。この人も、「俺たちに明日はない」や「レッズ」が忘れがたい、大スター。

この二人が主演となると、舞台も60年代くらいかな? と思ってしまうのだが、さにあらず。1920年代―ーつまり、今から百年近くも昔のアメリカが背景にあるのだ。
ナタリー演じるディーニー、ベィティ演じるバットは、高校三年生で愛し合っている。しかし、貞操というものに固定観念を持っているディーニーの母親や、傲慢な実業家であるバットの父親のせいで、二人のロマンスには暗雲がたれこみはじめる。

そして、高校卒業を祝うパーティーで、ディーニーは、バットに身を捧げる決心をするのだが、それを受け入れられないバット……この事件がディーニーに自殺を図らせてしまうことになるのだが、あげくに彼女は精神病院の施設に入院することに。

対して、バットは父親がウォール街の株の大暴落で破産し、ビルから飛び降りて自殺してしまう。御曹司から一転して、貧しい暮らしとなった彼は、新しく知り合った女性と家庭を築き、牧場を経営している。
そこへ、退院したディーニーが訪れる。彼女もまた、病院で知り合った医師と結婚することになったのだ。

穏やかな表情で、互いを見つめる二人。かつて青春を賭けた愛も今は、過去のもの―ーちょうどワーズワースの詩「草原の輝き」の一節にあるように。


物語の大要を言ったら、こんなもの。でも、やや長い作品にもかかわらず、少しも退屈せず、楽しめた。見終わった後も、静かな余韻が残るし……。

いい映画だなあ。また、もう一度見よう。 昔の映画ならではの、ゆったりした流れがあり、今の気ぜわしいスピードで疾走してゆくハリウッド映画にはない詩情が感じられる。



P.S そんなことをしみじみ思っていたら、新聞紙上に気になるニュースが。何と、37年も前に43歳の若さで水死していたはずのナタリー・ウッドは実は殺されていた、との疑いが濃いとのこと。そして、夫だったロバート・ワグナーが重要参考人として召喚されているというのだが、俳優の私生活も映画に負けず劣らず、ドラマの要素を秘めているのだろうか?

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