古墳:探訪

全国の前方後円墳を中心に訊ね歩いています。

奈良県桜井市・東田大塚古墳

2008-09-20 09:13:03 | Weblog
奈良県桜井市東田(ひがいだ)大塚の丘陵上にあります。
全長120m、 後円部径68m・高さ7m、 前方部幅30m・高さ1m 二段構築の前方後円墳です。
調査の結果、全体的に細長い形をしていて、いわゆる「纏向型」ではなかったことが判明しています。
矢塚古墳同様西側を向いています。
平成10年の調査で、古墳の周りから、幅約21mの周濠の跡が見つかりました。
墳丘東側の周濠の底の土砂の上から、「布留0式」と呼ばれる土器が発見されました。3世紀後半から末頃の物だそうです。
このことからこの古墳が、纏向石塚古墳よりは新しいものの、最古級の前方後円墳とされました。
さらに周濠の外堤には、高さ約80cmの壷棺が埋納されていたそうです。
平成11年1月~2月にかけて第二次調査が行われています。
深さ約1mの周濠の跡が確認されました。
濠の中から、3世紀後半から末頃の甕や壷、高杯などの破片が出土しました。
この古墳の下には、古墳が造られる以前の、井戸や溝があったことが確認されています。
井戸からは布留0式と呼ばれる頃の土器が多数出土しています。
近畿地方で作られた土器のほかに、山陰や東海地方で作られた土器も、完全な形で出土したそうです。
これらのことから、この古墳が3世紀後半の築造と推定されました。
地元には古くから「後円部墳丘から石製の椅子が出た。」と言い伝えられています。
纏向古墳群を構成しています。
墳丘の残り具合も良く、何所からでも観察できます。

「追記」
2009年3月5日、桜井市教育委員会と橿原考古学研究所は、「前方部周辺で周濠の遺構は見つからなかった。」と発表しました。後円部の周りにしかなかったようです。地形のためなのか、それとも全体に巡らすという意識がなかった可能性もあるそうです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿