虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

少女小説的な

2007年04月30日 | 
 引越しで発掘した少女小説の古典をまとめて読んだことは4月18日の記事に書きましたが、様々ツッコミどころはあれど、やはり女の子に生きる力を与えてくれるものなのであります。
 主人公みんないわゆる良い子イメージではありませんし、
・周囲との違和感を抱いている。(これはだれしもそうです)
・愛される良い子にはなりたいものの、しかし期待される少女像と自分がなりたい人物イメージがずれている。
・女は庇護され、裏方で尽くすだけの存在ではなく、個人の才能や興味を伸ばしたっていいじゃないか!
・でもやっぱり自分本来の姿を認めて愛して欲しい。

 多かれ少なかれ、少女小説はこういった叫びを代弁してくれてる部分があります。
 それで、これもまた今回の引越しで出てきて読んでおりましたのですが、
「堤中納言物語」のなかの

「虫愛ずる姫君」

 美人なのに化粧もせずに、高貴な身分なのに平気で御簾の外に出ては、虫の、しかも幼虫・芋虫状態を観察・比較・考察する平安時代の姫君は、けっこう上記の条件に当てはまってるんじゃないかな…など思ったのです。(最後の、愛されたい願望までは描写されてませんが)
 物語が世に出て以来千年の時の中、斯くありたいと思った愛読者の女の子たちはかなりの数存在したんではないでしょうか?

 物語の中で、姫君を覗き見した男が「美人なのにこの有様では、声をかけるのはやめとこう」みたいな勝手なことを言ってます。そういうことは、虫より興味がもてる存在になってから言いやがれ、ですな。