虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

レディ・キラーズ (2004/米)

2005年01月29日 | 映画感想ら行
THE LADYKILLERS
監督: イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
出演: トム・ハンクス イルマ・P・ホール ライアン・ハースト J・K・シモンズ ツィ・マー マーロン・ウェイアンズ
 船内カジノの地下金庫に納められた現金の強奪を計画した、知的でスマートに犯罪を行う「教授」。
 彼はその道のエキスパートを集め、信心深い黒人女性の家に下宿し、音楽の練習と偽ってその家の地下室に閉じこもり、トンネルを掘ってまんまと成功するが…

 これもまた、狙いはいいし、音楽いいし、もと作品も傑作だし「ファーゴ」のコーエン兄弟とトム・ハンクスを持ってすれば、ブラックな一級品コメディが…と期待して…スカッた気分です。
 決してつまらなくはなかったんだけど、なんかテンポが遅い早いでなくて「違う」感じ。
 会話に魅力が足りない。こういうところで、わが身の英語力のなさが悲しいけど、英語のみで理解できたらもっと違うのかな、と思ったりした。スノッブな教授と犯罪メンバーのずれ具合とか、老婦人とその仲間、保安官の関係の見せ方とか、もうちょっとという感じが抜けず、なんだか吸引力の弱い映画だった。

 ラストのマントの絵などは、さすがにいい、と思ったのだが。

 ところで、もとの
「マダムと泥棒」(1955/英)
監督: アレクサンダー・マッケンドリック
出演: アレック・ギネス ケティ・ジョンソン ピーター・セラーズ ハーバート・ロム
 一度しか見てないけど、傑作です。ピーター・セラーズ、ハーバート・ロムはピンクパンサーほどはじけてないけどアレック・ギネスといい、目が吸い付いて離れない。
 監督のマッケンドリックは次作の「成功の甘き香り」がこけて映画作るのが難しくなったらしいけど、「成功の甘き香り」も私はすごく出来のいい映画だと思うし、これはほんとにお薦め。昨年DVDが出たので、いまDISCASにリクエストしてます。DISCAS会員の方、リクエストしてくれませんか?是非また見たいので。

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恋愛適齢期 (2003/米)

2005年01月17日 | 映画感想ら行
SOMETHING'S GOTTA GIVE
監督: ナンシー・マイヤーズ
出演: ジャック・ニコルソン ダイアン・キートン キアヌ・リーヴス フランシス・マクドーマンド アマンダ・ピート

 若い女性としか付き合わない60過ぎの結婚暦なしの金持ちプレイボーイのハリーは、新しいガールフレンド、マリンと彼女の母の海辺の家に出かけて、そこで心臓発作を起こしてしまう。居合わせたマリンの母エリカは成功した劇作家だが、彼の看病を引き受ける羽目になる。ハリーを診察した36歳のかっこいい医師ジュリアンは、エリカのファンであり、彼女に興味を持つ。

 期待以上に笑えて楽しめたロマンティック・コメディだった。
 中年以降の女性のロマンスとしてはと~っても良く出来ているのではないでしょうか。ダイアン・キートン、表情のチャーミングなことは最高だし、ヌードシーンも見てる人をがっかりさせないくらいきれい。ドレスアップした時はいかにも「歳を重ねたいい女」のムードを備えてるし。
 劇でけちょんけちょんにハリーがやられるところなんか、シンバル持ったサルの人形のように手を叩いて喜んでいた。それにパリの夜はおかしくてロマンティックできれいだった。

 ちょっと残念なのは、ジャック・ニコルソンにも、キアヌ・リーヴスにもあまり魅力を感じなかった。ジャック・ニコルソンかわいかったけど、寄り添いたいと思うほどの吸引力感じなかった。キアヌ・リーヴスは映画によってむちゃくちゃ素敵に見える時と、「どうってことない」時に分かれてしまう俳優さん。すっきりしていかにも好青年で、優しそうなところもちょっとひ弱さを残したところもうまいけど…「彼の」映画じゃないってことね。

 でもこれ、女性に都合のいい妄想だけの映画だなんてことはない。ハッピーエンドまでうま~くまとめてるけど、昨日をいっぱい持ってる世代と明日がいくらでもあると思ってる世代との間のずれも、恋愛の昂ぶり・不安・充実感、何より、理不尽さがよくわかるじゃないですか。

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恋愛小説家 (1997/米)

2004年12月12日 | 映画感想ら行
AS GOOD AS IT GETS
監督: ジェームズ・L・ブルックス
出演: ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント グレッグ・キニア

 ベストセラー恋愛小説家メルビンは、現実には、異常なまでに潔癖性で神経質、それに周囲をとびきりイヤな気分にさせる特技の持ち主で、一人で孤独に暮らしている。隣人の画家とは、犬をめぐってやりあう仲。そんな彼が、行きつけのレストランのウエイトレスで、病気の子を抱えるキャロルに興味を持ち、彼女以外の給仕を拒否するようになる。

 ジャック・ニコルソンは確かに名優なんだけど、いかにもそれらしい「臭み」みたいなのを感じてしまう。でもほんとにうまい。「アバウト・シュミット」を見て、続けてニコルソン見たくなってこれを借りちゃったけど、これを申し込んだのは、その「ニコルソンくささ」がこの映画だと最高に活かされてるから、選んでしまったのだと思う。
 相手の最も気に触るようなことを選んで言う名人で、それなのに相手が強気に出るとすぐ引っ込んじゃう。うわ~ 本当に見れば見るほど「やなヤツ」ですもんね。それでいて芯は寂しがりや。これを「駄目だな~」と感じさせて嫌悪感ぎりぎりでラストの「よかったね~」まで持って行く様に救ってるのはニコルソンのうまさなんでしょう。
 ヘレン・ハントも、生活と闘うお母さんと恋する女性の部分がちゃんと同居してる名演だし、あの背中ヌードキレイでした。グレッグ・キニアのいい御家出身の不運なゲイの芸術家の、いろいろあった表情の変化が良かったですねえ。

 それにしてもワンちゃんの名演技!助演賞はグレッグ・キニアだけじゃないな~とか、アカデミー動物賞とか、思わずあげたくなりません?

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レインマン (1988/米)

2004年11月22日 | 映画感想ら行
RAIN MAN
監督: バリー・レヴィンソン
出演: ダスティン・ホフマン トム・クルーズ ヴァレリア・ゴリノ

 高級外車のディーラーで危ない世渡りをしているチャーリーに、父の訃報が届く。10代で家を飛び出して、父に対する愛情も示さない彼だったが、遺産目当てに故郷に戻る。しかし、彼に残されたのは車一台で300万ドルは存在さえ知らなかった自閉症の兄、レイモンドに残されていた。
 チャーリーは病院のレイモンドを誘拐まがいに連れ出し、遺産の半額を要求する。

 これは、このストーリーの抄本を学校でサブテキストとして使ってるから見たいという高校生のリクエストで借りてきた。何年ぶりか忘れてるくらい久しぶり。前に見たときより、展開がわかってる今回のほうが泣けた。ところが、高校生は見終わっても「?」という感じで「泣かせたいのか笑わせたいのか良くわかんない」
 私も初めてのときはそんな気もして、でもエンドクレジットの写真と音楽で涙がぶわっときました。
 トム・クルーズは今見ても、美男だけど趣味じゃないなあ、と思うけど、この映画については人にあってる。ダスティン・ホフマンはこれは文句のないところでしょう。
 2人の演技もいいけど、私が思うに、この映画の一番の効きどころは「間」と「音楽」。演出と編集の素晴らしさだと思う。

リトル★ニッキー(2000/米)

2004年11月10日 | 映画感想ら行
LITTLE NICKY
監督: スティーヴン・ブリル
出演: アダム・サンドラー ハーヴェイ・カイテル パトリシア・アークエット リス・アイファンズ オジー・オズボーン クエンティン・タランティーノ リース・ウィザースプーン

 地獄を統治する魔王には3人の息子がいる。冷酷な二人の兄は、なかなか魔王の座を退かないパパサタンに業を煮やし、ついに人間界に地獄を作リ君臨する為に地獄の入り口を閉じて、人間界へ。魂の供給を絶たれたサタンは身体が崩壊していく。末っ子のなぜか気だてのいい、みそっかすのニッキーは兄を追って人間界へ。

 おバカ映画でした。
 そうそうたるメンバーで最後までまったくばかばかしい映画で、いわゆる泣かせる隠し味も何もあったもんじゃなかったです。有名スターが集まって大真面目に学芸会をしているような感じ。
 アダム・サンドラーは、殴られて顔がひしゃげた設定で、ほとんど最後まで顔歪ませての出演でご苦労様でした。
 カメオ出演というのも"HIMSELF"とか多くて、これはアメリカ事情通でないとわかんない~という出演者や、ギャグがいっぱい。
 しかしハーヴェイ・カイテルのサタンは…すごかったです。

ロンゲストヤード(1974/米)

2004年10月13日 | 映画感想ら行
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:バート・レイノルズ エディ・アルバート エド・ローター

 八百長でプロの世界を追われたアメフトの元スタープレイヤーが、車の無断借用で入った刑務所の中で、囚人チームを率いて看守チームと対決する。

 さすがアルドリッチで、なんかツボにズバズバはまってしまい、ラストはすっきりさわやか~!に心晴れ晴れしてしまうのでした。バート・レイノルズは暑苦しいタイプでちょっと苦手だけれど、この映画に関してはひげもないし、男臭さがいいほうに作用してお見事です。

 刑務所内の力の歴然とした対立の構図から、チームの結成・試合への展開。主人公が試合中にとことん追い詰められて、泣かせるエピソードがはさまれ、男たちの激突に「やったれ~!」と思わず叫んでる。
 見せ場の長いストップモーション、そして最後の「闘った者たち」の意識の底の部分での交流と誇りがジ~ンと来るラストシーン。エド・ローターのいやみな演技はすべてこのシーンの為にあったのねっ!
 男の娯楽アクションの王道!

LOVERS (2004/中国)

2004年10月01日 | 映画感想ら行
十面埋伏
HOUSE OF FLYING DAGGERS
監督: チャン・イーモウ
出演:チャン・ツィイー 金城武 アンディ・ラウ

唐王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国。反乱軍の“飛刀門”リーダーを殺すことを命じられた、ジンとリウ。遊郭の芸妓、シャオメイが飛刀門の前首領の娘であることを知り、彼女を囮に飛刀門へ入りこもうと、捕らえられた彼女を脱獄させ、一緒に逃げるが…

 これは、三角関係とロミオとジュリエットを混ぜたようなストーリーですが、男二人は添え物みたいで、チャン・ツィイーをこれでもかこれでもかこれでもか…と美し~くとってあります。
チャン・ツィイー、アクション上達しましたねえ。「グリーン・デスティニー」の時みたいについ比べちゃう上級者(ミシェル・ヨー)と共演でもなかったし、共演の男性二人もチョウ・ユンファより貫禄はなかったし。この映画全体で「傾国の美女」の名を冠するほどに美しい、人生を賭けて悔いない美女を浮かび上がらせます。
 予告編でわくわくさせられた妓楼の踊りのシーンは本当に美しかったし、アクションシーンは相変わらずワイヤーアクションはワイヤー以外の何者でもないとばかりの使い方で、サービス満点。衣装と色彩の美しさはヒーローに劣りません。細かい突っ込み無しよ、で見ないといけません。ラストシーンでああなるのは、挟雑物を排除して、鮮血を際立たせるためなんですから。
 それに、やっぱり全体にヒロインの感覚に寄り添って見るように作られてるんじゃないかと思いました。盲目の彼女が感覚で捕らえているであろう、息とか気配とかが見ている方が感じるように作ってあるんだろうな、というところがずいぶんありました。

 しかし、ジェット・リーとドニー・イエン、トニー・レオンの「HERO」のほうがいいなあ。金城武、一人でのビジュアルはすごくいいけど顔大きい。2人のラブ・シーンたら思わずリチャード・ギアとジョディ・フォスターを思い出してしまった。アクションはアンディ・ラウのほうがうまかった。

リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い (2003/米・独)

2004年09月18日 | 映画感想ら行
THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN

監督: スティーヴン・ノリントン
出演: ショーン・コネリー スチュアート・タウンゼント ペータ・ウィルソン リチャード・ロクスバーグ

 文学上のヒーローたちが結集して悪の組織と戦う。

 …と、つまるところ、これだけです。

メンバーは
アラン・クォーターメン「ソロモンの洞窟」(一応不死・天才ハンター)
ドリアン・グレイ「ドリアン・グレイの肖像」(不死)
ミナ・ハーカー 「吸血鬼ドラキュラ」主人公の妻(ヴァンパイア)
透明人間「透明人間」
ジキル博士「ジキル博士とハイド氏」(変身)
ネモ船長「海底2万里」(科学技術)
トム・ソーヤー「トム・ソーヤーの冒険」(?)アメリカの諜報員

 どうも、これだけそろえて、アクションや特撮のスッキリ感・爽快感に乏しくて… トム・ソーヤーが入ってくるのが不思議ってば不思議です。完全にただの若い元気なにーちゃんで、どしてこの中にいるんでしょう?、どこがEXTRAORDINARYなんでしょう?と彼に関しては「?」がいっぱいです。超人の中のフツー人で、狂言回しになるわけでもないのもまた不思議。それで最後にショーン・コネリーのクォーターメンが「これからはお前たちの時代だ」って…深い意味はないんだろうけど、今の世の中を考えるとめちゃめちゃ皮肉だ。
 ドリアン・グレイも雰囲気そぐわないとは思うものの、一応特殊能力持ってるし、スチュアート・タウンゼントがセクシーだからいいですが。
 まあ、一つ一つのキャラクターにいいたいことはあるんですが、特に、と言えば、原作だと無国籍で、どこか世界人風なネモ船長の完全インド式インテリアのノーチラス号がおかしかった。

 リチャード・ロクスバーグはここでも悪役で、ますます「ヴァン・ヘルシング」が楽しみ!

ルナ・パパ(1999/ドイツ・オーストリア・日)

2004年09月11日 | 映画感想ら行
LUNA PAPA
監督 バフティヤル・フドイナザーロフ
出演 チュルパン・ハマートヴァ モーリッツ・ブライブトロイ アト・ムハメドシャノフ

 カザフスタンの町で、頑固な父と戦争で少しおかしくなってしまった兄と暮らすマムラカットは、女優を目指す踊りの好きな少女。ある月の夜、彼女は声だけしかわからない俳優だという男に誘惑され妊娠してしまう。一家は国中その男を探し回るが、見つからない。狭い町の中で、父親のわからない子を妊娠したマムラカットはいじめられ、ののしられ、思いつめて・・・

 ストーリーを追っていけば悲惨な話で、女としては腹が立ちまくることこの上ないのであるが、主演のマムラカット役の女の子のびっくりしたような大きな瞳とちょっとだけ粗野で純粋そうな美しさ、「はい次っ」と言わんばかりのスピーディーな展開、「なんだコリャ」なエピソードの設定とシーンの連続に、眉を吊り上げるより先に「はあ~」という感じで引っ張っていかれてしまう。お医者さんとか結婚式なんて悲劇とファース(笑劇)をいっぺんに詰め込んでます。

 見終わって後に残るのは暖かさと悲しさ。家族の愛・初めての恋・愛し愛される幸せ。でもみんな死んだりばらばらになって、彼女は旅立たなくては生きていけない。ああ、寛容で穏やかな世界が欲しいよね!

movie diary ルナ・パパ

RONIN(1998/米)

2004年08月30日 | 映画感想ら行
監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:ロバート・デ・ニーロ ジャン・レノ ナターシャ・マケルホーン

カーチェイスというか、車の見せ方が最高ねっ、という映画だと思います。アウディが最高に速い車かどうかは異論は諸方面であるでしょうけれど。夜の取引の緊迫感なんてさすがです
 バイオレンスが派手で、街中のチェイスシーンは破壊が多くて見ていてちょっときつい。
 フランケンハイマー監督って、時々はてな?という絵を撮るけど、こういうアクションてやっぱり手馴れたもの。それに最初の「ローニン」の説明とか、あのジオラマと「セプク」はちょっとこっぱずかしかったりするんだけど、「七人の侍」に代表される「サムライ」が好きで彼なりのサムライたちが撮りたかったんだろうなあ。良くも悪くもシブイ、デキる男たちなのです。
 まあ、ちょっとだけ「大列車作戦」なんかの重厚さが懐かしかったりして。
 ナターシャ・マケルホーンの鋼鉄の美女っていう感じもいい。ショーン・ビーンは、ここでも途中でいなくなっちゃう。

ロスト・ワールド(1925/米)

2004年07月02日 | 映画感想ら行
THE LOST WORLD
監督:ハリー・O・ホイト
出演:ウォーレス・ピアリー ベッシー・ラブ ルイス・ストーン

 ドイルのロスト・ワールドの映画化。恐竜が生存していると主張するチャレンジャー教授をはじめとする一行が、アマゾン奥地に確認のため探検へ赴く。

 一日2本も映画見ちゃったのは内緒です。短いから見逃してください。
 なんといっても80年前の特撮ですから、恐竜人形があたりまえに人形に見えますが、けっこうやるじゃないか、と感動します。ハリーハウゼンもあらわれてない時代ですし。特撮はお見事です。
 チャレンジャー教授とか、ロクストン卿は、BS2で放送されてるテレビシリーズ「ロストワールド」よりイメージに合ってます。(テレビシリーズのほうは、後から後から出てくる怪事件、東京より人口密度…いや怪物怪人密度が高そう)でもこちらでもロマンス抜きには映画は出来ませんとばかり、何かというといじらしげな目を見張ったアップが登場する美女が同行いたします。エド・マローン記者はちょっと出来損ない風ですが、最後に美女と結ばれ、チャレンジャー教授はやっと連れ帰ったブロントザウルスが逃げ出して、ロンドンを荒らした挙句に海を泳ぎ去ってゆくのを空しく見送ります。
 サマリー教授をもっと厳格な学者風に描いてほしかったです。

ロッキー・ホラー・ショー (1975/英)

2004年06月30日 | 映画感想ら行
THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW
監督:ジム・シャーマン
出演:ティム・カリー スーザン・サランドン バリー・ボストウィック

 婚約したばかりのブラッドとジャネットは雷雨の中で迷った挙句にパンク、電話を借りようと立ち寄った気味の悪い城で、とんでもない一夜を経験する。

 始めてみた時は、知性派スーザン・サランドンのほぼ全編下着姿(きれいだなあ)と、高くて細めの歌声に圧倒されちゃったのですが、キッチュでエッチで怪しくておかしい素敵なミュージカル。
 私は今まで一度しか見たことなかったのだけれど、これ、少し前までは旧作館とかで定期的にパーティーのように上映があったそうですね。わかる!思わず身体が動きます。
 おまけにキングコングも借りてきてしまいました。
 DVDには、特典映像はないけど、音声解説が
「監督・脚本の二人の音声解説」「アメリカ映画館のファンの突っ込み」「元ネタ解説」がついていて、と~っても楽しめます!

リチャードを探して (1996/米)

2004年06月29日 | 映画感想ら行
LOOKING FOR RICHARD
監督、制作、脚本、主演:アル・パチーノ
出演:アレック・ボールドウィン ウィノナ・ライダー ケヴィン・スペイシー

アル・パチーノの初監督作品。シェイクスピアの「リチャード三世」の映像化を、俳優が役と作品を作り上げていくまでを、作品と町の人から、シェイクスピア俳優、学者などの反応、解釈を織り込みながらのドキュメンタリー。
インタビューに登場する俳優はJ・ギールグッド、K・ブラナー、V・レッドグレイヴ、D・ジャコビ、J・R・ジョーンズ、K・クライン。

私のシェイクスピア入門は字からだったので、小説的に読んで面白さに興奮し、劇で退屈した、という覚えがあまりない。ただ、劇場中継を見ていると、汗迸らせながら高い調子でセリフを歌う役者さんに眼を奪われがちになります。ほぼ日本語で見てます。
この映画の中で、映画化では劇の独特の台詞回しでなく、あたりまえにあの素晴らしいせりふを言う、というのを見て、ケネス・ブラナーなんかは実はこれがやりたくて、あれほどドッチャリ沙翁劇の映画化をしてるのかしらん、なんて思った。独白と言うか、観客に語るような部分が多いから。「マクベス」のイアーゴなんか、モノローグをほんとうにた~~~~っぷりって感じで演じてましたものね。
濡れ衣をきせられた現実のリチャード三世は気の毒だが、なんて面白いんだろう!ただ、アル・パチーノの扮装は醜さと共に必要な色気と言うか魅力がもうちょっとほしいな~なんて贅沢言っちゃいたい。

歴史は女で作られる(1955/仏)

2004年06月21日 | 映画感想ら行
監督:マックス・オフュルス
出演:マルチーヌ・キャロル ピーター・ユスチノフ

 19世紀、ヨーロッパの社会で一世を風靡し、さまざまな著名人・国王と浮名を流したローラ・モンテスの生涯を描く。

 なんていうと、女性一代記みたいですし、そういう風に見られないことはないけど、これはローラ・モンテスという数奇な一生の女性の生涯に寄せて、映画としての語り口みたいなものを見せてるような映画ですね。
 ローラ・モンテスはスペイン舞踊のダンサーとしてもてはやされ、栄華の日を作曲家リストや、バヴァリア国王の恋人として過ごした後に、落ちぶれてサーカスの見世物になります。実際、この女性にとって凄まじく残酷なシーンが連続していくわけで、さらし者にされ、不躾な質問を浴び、挙句が「たった1ドルで、あなたも元国王の愛人に触れられる」というありさま。その屈辱のシーンと彼女の回想の中の華やかな過去がまるで層のように重ねられ、まだまだ美しい彼女のその場の表情を一層痛切に見せていく。混ざり合うのではなく。重ねられる、という印象。
 印象的なシーンが多い。船上での窓越しのダンスシーンから一人舳先で空を見上げるローラ、リストとの別れの朝のローラ、パレードに向かってまっすぐ馬を走らせるローラ、針と糸を求めての大騒ぎ…
 本当の意味での賢さを持たなかったかもしれないが、きっと彼女はセンスがよくて機転が利いて、最高の恋人だったのだろう。しかし、皆彼女のもとを去り、しかし彼女はそれをきっぱり見送れる女だった。自分の生きたい様に生きる、と言い切る女だった。男女を問わず、世界はそういう人間に甘くない。

ロスト・イン・トランスレーション(2003/米・日)

2004年06月02日 | 映画感想ら行
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演: ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン

「真珠の耳飾の少女」のスカーレット・ヨハンソン目当てで見てきました。私はあちらのほうが好み。あの映画はこれでもかというほど美しかったし、このけばけばしい東京は、私の見ている東京ではないということはあるだろう。
 この、見ていていささかナサケナイ日本は、主人公二人の寄る辺なさを浮き立たせるためのセットなのだろうなあ。HIROMIXが出演していて、へええ、そういえばこの色彩は彼女の写真にあるものかも、とは思った。

 ビル・マーレイの盛りを過ぎたスターの疲れた表情も、ヨハンソンの成熟しきっていない少女っぽさの残る雰囲気もピタリ。突っ込みどころは数々あれど、転げるほど笑ったところもあったし、ラストはしっかりと締めてくれてさすがなのでした。
 ただ、タイトルの意味も含めて、もっと英語がわかれば~口惜しくなるとこ多くて。

movie diary ロスト・イン・トランスレーション