二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

高村光太郎詩集   高村光太郎

2010年01月27日 | 俳句・短歌・詩集
思い出してみると、若いころに、最初に感動したのは、立原道造の詩集だった。 日本語に新しい表現の可能性を付け加えたといってもいい、ある意味で新古今的な、繊細きわまりないレトリックが、たまたまわたしのセンスとぴったり符合したのだろう。 立原や中原中也の詩を理解するには、25年か、30年生きていれば十分であり、その意味で、「青春の詩」といえる。島崎藤村の詩も同じ。のちに小説に転じて、詩は書かなくなって . . . 本文を読む
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「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」  トルストイ

2010年01月27日 | 小説(海外)
あなたが20代に読んだ本で、いちばんおもしろかった本は何ですか? そう訊かれたら、「戦争と平和」「罪と罰」と答える。あとは、思い出そうとすると、カフカの短編がくるだろう。とくに「戦争と平和」は鞄に入れて、あっちへ持っていったり、こっちへもっていったりしながら、山手線の電車の中で、駅のベンチで、学校の教室で読み続け、そのときの情景すら思い出すことができる。そのあと、20歳の終わりか、30代のはじめに . . . 本文を読む
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21世紀ドストエフスキーがやってくる   集英社

2010年01月24日 | ドストエフスキー
ネットでさがしてみると、亀山郁夫訳「カラマーゾフ」は、2008年6月の時点で、80万部突破とあるから、いまでは100万部を越えているかも知れない。 本書は小説家、研究者、翻訳家、エッセイストなど、44人あまりのドストエフスキーをめぐる、対談や小論文、エッセイをあつめたMOOK本といっていいジャンルの本。 本書を眺めていると、この亀山さんの訳業で、日本で、にわかにドストエフスキー・ブームがおこったの . . . 本文を読む
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聖徳太子と日本人   大山誠一

2010年01月23日 | 歴史・民俗・人類学
BOOK OFFの散歩で見かけ、立ち読みをはじめたらおもしろかったので、そのまま買って帰った。これが学問的な水準として、どのような精度をもった本なのか、むろん、わたしのようなしろうとの一般読者が判断できるようなものではなく、わたしは、興味本位にただおもしろいと思って読んだ。 古代史は日本にかぎらず、海外においても「謎解き本」が多く、どこまで信用できるかわからないような「キワモノ」が、突然ベストセラ . . . 本文を読む
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司馬遼太郎が考えたこと5   司馬遼太郎

2010年01月19日 | エッセイ・評論(国内)
新潮文庫から「司馬遼太郎が考えたこと」15巻が刊行されたのは、いつであったか。この第5巻の奥付を見ると、平成17年となっている。世には「断簡零墨のたぐいまで収録する決定版全集」というものがあるけれど、どちらかというと、このシリーズはこれまで全集や作品集には収録されなかったエッセイや講演記録を集めてある。 NHKが平成21年、大型時代劇として選んだのが「坂の上の雲」であり「龍馬伝」であることを考える . . . 本文を読む
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文章読本   三島由紀夫

2010年01月16日 | エッセイ・評論(国内)
最初に「文章読本」を書いたのは、いうまでもなく、谷崎潤一郎。それ以来、ずいぶんと類書が出現し、近年文藝批評家の斎藤美奈子さんが「文章読本さん江」を書いて、そういった現象を、彼女特有の毒舌でからかっている。 わたしが読んだなかでは、いちばんの力作は、丸谷才一さんの「文章読本」だろう。蘊蓄話は重厚感たっぷり、寝転がって気軽には読み飛ばせない文体論の秀作といっていい。 もうひとつ、おもしろかったのは、向 . . . 本文を読む
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職業別 パリ風俗    鹿島茂

2010年01月11日 | エッセイ・評論(国内)
鹿島茂さんが見せてくれる19世紀ワンダーランド。 バルザシアン鹿島の面目躍如たる、時代風俗読本といっていいだろう。 むろん「職業別」としたところがミソ。 日本には、「社会」と「世間」のふたつがあって、われわれはなかば無意識で、これを微妙に使い分けている。換言すれば、建前と本音の世界なのだが、鹿島さんは、このふたつを自在にいききしながら、19世紀人間図鑑を作り上げた。 とりあげられているの . . . 本文を読む
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馬車が買いたい!   鹿島 茂

2010年01月10日 | エッセイ・評論(国内)
ご本人は本書を「自分の処女作である」と称している。初版刊行は1991年に刊行され、サントリー学芸賞を受賞。 じっさいには、本書の前に「レ・ミゼラブル百六景」(1987年)「新聞王伝説 パリと世界を征服した男ジラルダン」(1991年)がある。 わたしが買ったのは、2009年に出た「新版」のほうで、巻末にその後書かれた四つのエッセイが追加されている。 古書収集家としても名を知られる鹿島さんは、前作 . . . 本文を読む
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パリ五段活用 時間の迷宮都市を歩く  鹿島茂

2010年01月08日 | エッセイ・評論(国内)
いろいろな雑誌にそれぞれ単発で発表されたエッセイを、このタイトルで1冊にまとめたもの。中央公論社から発売された単行本を、BOOK OFFの棚で見つけたときは「にんまり」してしまった。鹿島さんの著作はその多くがそうであるように、図版が重要な位置をしめているので、文庫本で読むより、よりゆったりと、そのマテリアルの感触を、目で味わうことができる。 1「食べる・飲む」、2「かぐ」、3「歩く」、4「しのぶ . . . 本文を読む
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ウジェニー・グランデ(純愛)  オノレ・ド・バルザック

2010年01月07日 | 小説(海外)
書評をアップしようとして、レビュー欄をのぞいたが、バルザックの「ウジェニー・グランデ」がない。この作品を読もうとしたら、古い文学全集を買ってくるか、高価な「バルザック全集」を手に入れるしかないのか・・・と思ったら角川文庫で見つかった。「純愛」という、口当たりのいいタイトルになっているけれど、売るためには仕方ない戦略なのだろう。 「赤と黒」スタンダール 1830年 「ウジェニー・グランデ」バル . . . 本文を読む
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