二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

1990年代、本は元気があった

2024年07月28日 | シャッフル/books
このあいだ谷澤永一の「雑書放蕩記」(新潮社 1996年刊)という本が出てきた。そしてそのオビ。 「本は私にすべてのことを教えてくれた―。蒐書六十年、その数二十余万冊、稀有の読書人が熱い心で描く感動の読書自伝。」とある。 20万冊はすげえな(^O^)  谷澤さんといえば開高健さんの盟友だった。 初版が多いようだが、本の写真がぞくぞくと掲載されている。 大部分稀覯本かもしれない。 関西大学で長らく教 . . . 本文を読む
コメント

「髑髏と酒場」正宗白鳥

2024年07月23日 | シャッフル/books
講談社文芸文庫から坪内祐三選で「白鳥随筆」「白鳥評論」がセットで刊行されている。 この2-3日「白鳥評論」を読んでいたが、そこへ新潮日本文學全集12巻がくわわった。 昨夜、見当をつけて、日本文學12巻所収の「髑髏と酒場」を読みはじめたら、これがおもしろかった!!  白鳥は晩年にはめぐまれ、文化勲章をうけた。 「髑髏と酒場」は昭和6年(52)、名高い「明治文壇総評」と同じ時期に発表されている。 小 . . . 本文を読む
コメント

池内さんの「となりのカフカ」

2024年07月16日 | シャッフル/books
昨夜遅く池内紀さんの「となりのカフカ」(2004年刊)を読み了えた。 なかなか愉しめ、ポストイットをたくさん挟み込んでしまった(*´ω`)  最後に新書による“プラハ観光”がついているあたり、著者のエスプリを感じさせる。 わたしが持っているカフカは、新潮文庫の頭木さんの前はほとんど池内さんのものだった。 あしたになったら、日記を書こうかなあ。 長篇「審判」「城」が懸案となってはいる。 しか~し . . . 本文を読む
コメント

福田和也「作家の値打ち」が出てきた

2024年07月09日 | シャッフル/books
福田和也「作家の値打ち」(飛鳥新社 2000年刊)、こんな本があったのを思い出した。 「作家の価値は、人の記憶に残る作品をどれがけ書けるかで決まる。その点からすれば、やはり《第三の新人》までの作家は偉い、というか高い値打ちをもっていると云わなければなるまい。」 文学の世界の“偏向”がどうやら許せないらしい。 全574点のうち、最高点をたたき出しているのは「仮往生伝試文」古井由吉、「ねじまき鳥クロ . . . 本文を読む
コメント

太宰治「富嶽百景」を読み返す♬

2024年07月05日 | シャッフル/books
中村光夫「私小説名作選 上」で、太宰治「富嶽百景」をしばらくぶりに読み返したが、半分ほど忘れていた。 2度目に読み返したのは30代のはじめだったかも♪  「晩年」の諸作と「津軽」が好き。 中でも本作は極上の逸品。 「私小説名作選 上」は田山花袋のはじめて読む「少女病」からスタートするが、これは残念ながら習作レベルである。 徳田秋声、近松秋江、志賀直哉、嘉村礒多など堂々たる私小説作家の代表作に伍し . . . 本文を読む
コメント

講談社学芸文庫の現在

2024年07月02日 | シャッフル/books
新品だとたった3冊で6,000円超え(´Д`)  血迷ったわけじゃないけど、講談社学芸文庫はお高いですなあ。 「群像短篇名作選」2,300円、「戦後文学を読む」2,000円、「明治深刻悲惨小説」1,800円。もちろんこれに消費税が加わる。表紙は金文字でピッカピカ♬  岩波と新潮にはかなわないからねぇ、破れかぶれ? 年表だの解説だのがびっしり付属している。 昔の単行本なみか、それ以上なので、お値 . . . 本文を読む
コメント

関川夏央「おじさんはなぜ時代小説が好きか」(集英社文庫)

2024年06月26日 | シャッフル/books
関川夏央の「おじさんはなぜ時代小説が好きか」(集英社文庫)の中に興味深い引用があった。 志賀直哉「小僧の神様」のストーリーにおいて、中沢新一が“成熟した貨幣経済のうちで「純粋贈与」は可能か”と問いかけているという。 「小僧の神様」はわずか24枚ほどの短篇だが、昔から傑作として名高い♬ 「それは不可能」というのが、中沢さんの結論だそうです。 近代文学を読むにしても「それはいつ書かれたのか」という問 . . . 本文を読む
コメント

「聴雨」と「武蔵丸」はよかった↑

2024年06月24日 | シャッフル/books
車谷長吉の「武蔵丸」と、織田作之助の「聴雨」は近ごろ“大あたり”だった。 拾ってきたカブトムシのことを書いた「武蔵丸」より、坂田三吉のことを描いた「聴雨」の方が上ですね↑   フ~ムフム。はてさて大量に抱え込んだ本を、数百冊売らねばならないなあ。6DKでもいる場所がなくなってしまう。 5-600冊売れば多少は風通しがよくなる・・・かな!?  単行本の類は思い切って捨てることだなあ、やれやれ(´Д . . . 本文を読む
コメント

寝室から出てきた

2024年06月11日 | シャッフル/books
一週間のうち、半分は本を探しているか、本屋へいって本を物色している(^O^)ナハハ  どうなっているんだ、あんた。 右の本が行方不明となって、もう1年はたつ。そうしたら、白秋の「フレップ・トリップ」と一緒に寝室から出てきた。 この樺太の旅は友人から数年前にすすめられて買った、そして積読。詩人白秋の童心があっちこっちで炸裂し、読者を別天地へと誘う紀行文。 Cheerfulという英語を連想する人もい . . . 本文を読む
コメント

見かけたときが買い時

2024年06月08日 | シャッフル/books
「おかしいなあ、おかしいなあ」と、一つの本を3日も4日も探している。現役時代には想像できなかった(;^ω^)  ずばりいえばそれだけヒマなのだ。 「近代日本人の発想の諸形式」はすぐに見つかった。 有名な近代小説論だけど、出版社もおそらく品切れなのだ。 「小説の認識」ぜひ読みたい論攷が4つほどある。  「小説入門」は古めかしい新書版で手にしたことがある。 講談社文芸文庫だと、ん!? ¥12,735 . . . 本文を読む
コメント