二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

半分絵本・吉村昭「昭和歳時記」

2022年02月20日 | 吉村昭
そうか、吉村さんにこんな本があったんですね(^^♪  BOOK OFFの100円コーナーで発掘。 「昭和歳時記」なんて、ぐっと胸にくるタイトルじゃ、なにしろ昭和の子ですからね、おいらも。近々読みはじめよう。 永田力さんの挿絵もすばらしいです、半分絵本。 うん( ´◡` ) . . . 本文を読む
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漂流記って何だ? ~吉村昭「漂流記の魅力」を愉しむ

2022年01月28日 | 吉村昭
う~ん、これはノンフィクション・ノベルではなく、ノンフィクションそのもの。 蘭学者・大槻玄沢が表した「環海異聞」に基づいて、本書の内容を現代の読者に向けてアレンジしている。 最初の方では漂流記がどんなものであるか、6編もの“漂流もの”を書いてきた吉村さんが、江戸期の漂流を、全体として概観している。 しかし、すぐに若宮丸の漂流の紹介がはじまり、彼らの“世界一周”の旅の紹介に移る。 《日本にはイ . . . 本文を読む
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幕府に殉じた英傑の生涯 ~吉村昭「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」の感動

2022年01月26日 | 吉村昭
■吉村昭「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」講談社文庫(新装版。原本は1996年講談社刊) 堂々たる長編、しかも充実の一冊である。 いつ、どこでどのように起こった出来事なのかを、あきれるほど細かく、執拗に書き留めている。 場所、季節、年月日、時刻、天候。 それによって、臨場感は確実に盛り上がる。実在の人物が主役なので、想像力だけでいい加減なことは書けない。おそらくは川路聖謨が残した日記を基にしている . . . 本文を読む
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「漂流記の魅力」発見(吉村昭)

2022年01月24日 | 吉村昭
3年間探していた本をようやく手に入れた。・・・というのは冗談(笑)。 「漂流」を読んだあとだから、昨年10月13日以降。以前何度か見かけているのに、いざ買おうと思って探すと見つからない。 2003年の出版。 今日BOOK OFFの棚にならんでいたのを発見。 価値ある一冊かどうかはまだわからん^ωヽ* . . . 本文を読む
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吉村さんが小説家吉村昭になるまで ~「戦艦武蔵ノート」を読む

2022年01月21日 | 吉村昭
■吉村昭「戦艦武蔵ノート」岩波現代文庫(2010年刊 原本は図書出版社1970年刊行) とにかくやたらおもしろかった・・・と書くと、やや語弊があるかもしれない。戦艦武蔵とともに、兵隊さんや将校その他、1000人を超える人たちが海の藻屑と消えたのだから。 とはいえ、おもしろかったのは確か。 こういう本を執筆していたんだねぇ、吉村さん♪ わたしは断片やメモ、短いエッセイを集めただけの雑録だと錯覚し、 . . . 本文を読む
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吉村昭に首ったけ!

2022年01月19日 | 吉村昭
昨年10月末ころからはじまって、吉村昭に首ったけ(^^♪  手許にある本は合わせて約80冊/70作品を超えているだろう。他に単行本も6冊集まった。 すべては読まないだろうが、BOOK OFF等で見かけるとつい手が伸びる。 現在「戦艦武蔵ノート」に夢中。 写真は昨日やってきた文庫本2冊の短篇集。 これらはすでに絶版(または品切れ)かもしれない。 こんな調子でいつまでつづくことやらねぇ。 . . . 本文を読む
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悲運の先覚者と彼をささえた人びとの物語 ~吉村昭「長英逃亡」を読む

2022年01月18日 | 吉村昭
■吉村昭「長英逃亡」新潮文庫上下2巻(平成元年刊。原本は昭和59年毎日新聞社より刊行) 「桜田門外ノ変」とならび、上下2巻に及ぶ大作である。吉村さん、全精力を傾けたものと思われる。新聞連載という形式のためか、ところどころに挟まれたくり返しが気になる。それに、紋切り型というか、「またかね」といいたくなる“決まり文句”があちこち出てくるのはマイナス点。 純文学と銘打ってあるわけではないから、気にし . . . 本文を読む
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ゼロ戦への鎮魂歌 ~吉村昭「零式戦闘機」に心打たれる

2022年01月12日 | 吉村昭
■吉村昭「零式戦闘機」(新潮文庫 昭和53年刊。原本は昭和43年新潮社) 数あるゼロ戦の本の中でも、この「零式戦闘機」は白眉の一冊といっていいのではないだろうか!? この作品に比肩しうるゼロ戦をめぐるノンフィクションが、ほかにあるのかしら。としたら、ぜひお教えいただきたいと思う。 とてもオーソドックスなゼロ戦誕生秘話だが、それだけでなく、敗戦までの“日本の運命”が、あっさりとだが、背景として必 . . . 本文を読む
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吉村昭の本領は長編小説にあり ~「島抜け」を読む

2022年01月09日 | 吉村昭
吉村昭は、以前書いたように、書店に出かけるとたくさんの本が、現在でもならんでいる。地味な存在ながら、人気作家なのだ。 ごく個人的な感想をいわせていただくなら、わたしのこの“吉村昭ブーム”は、2021年10月13日、「漂流」からはじまっている。「そうそう、こういう本が読みたかったのだ(゚ω、゚)」 わたしは強い満足感を覚え、新刊書店やBOOK OFFへいっては、吉村さんの本を買った。城山三郎の本を横 . . . 本文を読む
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掛け値なしの傑作ノンフィクション ~吉村昭「陸奥爆沈」にしびれる

2022年01月07日 | 吉村昭
■吉村昭「陸奥爆沈」新潮文庫(昭和54年刊 原本は昭和45年新潮社) 筆者吉村さんは、あとがき冒頭でこう述べておられる。 《長い旅であった。闇に塗り込められたトンネルを手さぐりで進むような日々であった。それだけに書き終えた時、疲労とともに満足感にもひたった。 その後原稿の推敲をすすめる間、私は、しきりに妙なものを書いたという感慨にとらえられた。この作品は、一般の小説形式とは異なって、私自身が . . . 本文を読む
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