二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

小石のような地球   2022-05(6月30日)

2022年06月30日 | 俳句・短歌・詩集
どんな質問にも 答えがあるとはかぎらない。 七色の虹のなかに黒は混じっていないし 数えきれない偶然の積み重なりの涯に地球が浮かんでいる。 孤独な地球 宇宙でたったひとつの。 気がついたらきみはここにいた。 壊れるまでは走らねばならない。 二十一世紀はまだはじまったばかりなのに 年々政治的分断がすすんでいる。 美しかった夏のあのバラもしおれてしまったな。 この風景 きみがいつも眺めているこの風景 . . . 本文を読む
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質問だけがそそり立つ  2022-04(2022年6月28日)

2022年06月29日 | 俳句・短歌・詩集
これは答えではなく ただの質問。 なぜ人は人を殺すのか? 二人三人ではなく 数百人数千人単位で。 プーチンを裁判にかけられないとはどういうことだろう。 たった二人を殺して死刑判決をうけた男がうめいている。 怒ろうが泣こうが あたりいちめん木も草も ただあるがまま そこにある。 あの人もこの人も向こうの人も 招かれざる地球の客だね。 真っ黒な顔をした客がわさわさと犇めいている。 法服を脱いだ裁 . . . 本文を読む
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紀行文学における「街道をゆく」の位置 ~「甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみち ほか」を読みながら

2022年06月29日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■「甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみち ほか」街道をゆく(朝日文庫)第7巻 「週刊朝日」連載1973年1974年1975年 「街道をゆく」を読みながら気になってきた本がある。 それは沢木耕太郎「深夜特急」である。 過去(40代の後半)に読みかけたことがあったけど、あえなく挫折。 沢木さんはノンフィクション作家、エッセイスト、小説家、写真家と、いろいろな横顔を持っておられる。 中でも「深夜特急」(mi . . . 本文を読む
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司馬さんと歩く世界のへり ~「壱岐・対馬の道」を読む

2022年06月28日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■「壱岐・対馬の道」街道をゆく(朝日文庫) 第13巻 「週刊朝日」連載1978年 本編も司馬さんらしい観察眼が随所にただよっている。 なぜ「壱岐・対馬」へ出かけたのかが興味の焦点であった。司馬さんという人は、若いころから文明の“へり”(縁)に強く惹かれている。 だから大阪外語でモンゴル語を選択したのだ。 辺境ではないが、辺境に近い“へり”の地域が持っている、文化的な累積地層を眺め、虫眼鏡で観察す . . . 本文を読む
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カッコーを撮影

2022年06月28日 | シャッフル/photos
わが家にカッコウ(カッコー)がやってきた(^^♪ まともに撮影できたのははじめてかしらね。マニアな方にはめずらしくも何とないだろうけど。 洗濯物を干しに屋外へ出たら、敷地を横切る電線(引き込み線)でご覧のように、元気に鳴いていた。6月になると声はしばしば聞こえてくる。 もっとシャープに写し止めたかった(;^ω^) いつのころからか、カッコウとホトトギスを混同していたぞ! ふむむ。 . . . 本文を読む
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菜の花の隣り  2022-03(6月26日)

2022年06月27日 | 俳句・短歌・詩集
世の中は目にはよく見えない無数の椅子でできていてね。 その椅子にはほとんどだれかが すでに座っている。 ぺちゃくちゃぺちゃくちゃしゃべったり むっつりと黙り込んだり。 そしてその椅子を蹴倒したり蹴倒されたり 物や人の壊れる激しい音が聞こえる。 昨日も今日も戦争があったんだってね。 ぼくは数本の色鉛筆で絵を描いている。 途中で投げ出してしまうから いつまでたっても絵は完成しない。 完成しないから . . . 本文を読む
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夕暮れの食卓   2022-02(6月26日)

2022年06月26日 | 俳句・短歌・詩集
いっしょに年を重ねてきたものっていいな。 なつかしいというか 独特な酸っぱさ甘さ あるいはサビのような不思議な味がする。 そうぼくは古くなったフィルムカメラに向かってつぶやく。 見慣れたものにばかり囲まれて生きている 高齢者らしい平和な サビ色の生活。 それを乱すものがいたら 敢然と立ち向かったりしてね カマキリ戦士のように。 見渡すかぎりの田園のかなたにポツンポツンと灯が点っている。 だれか . . . 本文を読む
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石盤色の空 ~中原中也「初夏の夜」をめぐって

2022年06月25日 | 俳句・短歌・詩集
■初夏の夜 また今年(こんねん)も夏が來て、 夜は、蒸氣で出來た白熊が、 沼をわたつてやつてくる。 ――色々のことがあつたんです。 色々のことをして來たものです。 嬉しいことも、あつたのですが、 囘想されては、すべてがかなしい 鐵製の、軋音さながら なべては夕暮迫るけはひに 幼年も、老年も、靑年も壯年も、 共々に餘りに可憐な聲をばあげて、 薄暮の中で舞ふ蛾の下で はかなくも可憐な顎をしてゐるので . . . 本文を読む
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草臥れた兵士のように   2022-01(6月25日)

2022年06月25日 | 俳句・短歌・詩集
ゆっくりと形を変えてゆく雲の下で カリンのど飴をしゃぶっていた。 「こげて図太いヒマワリが   田舎の駅には咲いている」 ・・・と中也は書いたけど そういう淋しい駅が 上州にはたくさんある。 現在だって ある。 ほらほら 駅員がひとりもいない おばあさんの追憶の底で忘れられてしまった駅。 「青春は遠いとおい日の花火」だと だれがいったか。 きみもぼくもそれに夢中になったことがあった。 すぐに . . . 本文を読む
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人生の機微とは(福田みどりさんが語る、夫司馬遼太郎)

2022年06月25日 | シャッフル/books
福田みどりさんに阿川佐和子がインタビュー。 本名は福田定一という。司馬遼太郎と名乗ってから徐々に本領を発揮しはじめる。本人はむろん、奥様もそこにいる人が“鳳”であることに気がついていない。 人生の機微とは? https://www.youtube.com/watch?v=2DVFETCNBaU 人生の機微とはそんなものだろう。BGMのショパンが胸にしみるなあ♪  写真は長いあいだ捜してようやく . . . 本文を読む
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