二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

老いさらばえたロバがいななく(ポエムNO.3-11)

2019年07月24日 | 俳句・短歌・詩集
トレドからクテシフォンへ クテシフォンからサマルカンドを通って洛陽へ 曲りまがりしながら 一頭の老いたロバが東へ旅をした。 ぼくがつれていたのがそのロバだったのか ロバがつれていたのがぼくだったのか いまとなってはもうわからない。 永遠にわからないだろう。 ロバの毛皮でできた夢の書物。 ・・・そういう書物を書こうと思っていた 奇想天外 荒唐無稽な。 人はいうだろう あの男も発狂したかと。 ぼ . . . 本文を読む
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明後日のあたり(ポエムNO.3-10)

2019年07月19日 | 俳句・短歌・詩集
たんぽぽの綿毛のように そこいらをふわふわ舞っている あれはなんだろう なんだろう? すでにゴミとなったぼくの過去。 あのあたりまで戻ってみようか あのあたりまで。 朝飯前の仕事をおえた祖父が玄関の板の間で茶をすすっていた あのあたりまで。 わたしがせんだって飲み干したのは錆びたブリキ缶の中のたまり水だが 祖父がすすっていた茶は香りがよくて 茶柱が立っているのだ そして湯気も 白くもうもうと。 . . . 本文を読む
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中桐雅夫詩集「会社の人事」について ~憤りと悲しみのソネット

2019年06月28日 | 俳句・短歌・詩集
   (本屋の散歩で、39冊の中の一冊として、この詩集と巡りあった) きっとだれかが亡くなって、遺族が遺品を始末したのだろう。 今日近所のBOOK OFFへいったら、わたしが欲しくなるような本たちが、大量に売られていた。 そうか、そうか・・・そうか。 いろいろと買った中に、中桐雅夫(1919~1983年)さんの「会社の人事」という、いささか風変わりなタイトルの詩集(晶文社 1979年刊)があっ . . . 本文を読む
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「昨日いらつしつて下さい」 ~室生犀星の三つの作品をめぐって

2019年06月25日 | 俳句・短歌・詩集
先日新藤兼人さんの「『断腸亭日乗』を読む」を読みおえ、表現しにくい、ある感動を味わった。終章の「墨東綺譚」について語ったところは委曲を尽くしていて、あますところがない。“お雪”は実在したのか・・・。新藤さんは荷風の日記を丁寧に読みこんでゆき、ついにその記事をさぐり当て、小説誕生の舞台裏に迫る。 モデルとされた女と、荷風は出会っていたのだ、じっさいの玉ノ井で。 この女が荷風に霊感を呼び覚ます。日記 . . . 本文を読む
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わが遺品目録および遺言(ポエムNO.3-9)

2019年06月08日 | 俳句・短歌・詩集
   (息子を抱くわたし。32歳ころ、水沢観音にて) ◇ 相続人 殿 ■目 録 現在67歳となるが、生前に作り置くものなり。 したがって臨終のそのときまで、 多少の変動あるやもしれぬが諒とされたい。 1.日産車1台(2014年式 4ドア1500cc) 色シルバーメタリック。 2.カメラ25台(デジタル式:10台 フィルムカメラ:15台)。  ローライフレックス3.5Fをのぞき、ほとんど価値 . . . 本文を読む
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確信に変わっていく(ポエムNO.3-8)

2019年05月19日 | 俳句・短歌・詩集
仕事をなくしたんじゃじゃなく やめたのさ さらに二三年勤められたかもしれないのに ね。 だけど そう思っているのは頭だけで 体はそうはとらえていない。 区別がつかないのだろう。 なあに どっちでも大差はないが・・・。 ぼくは昨夜ケルト人になった夢の牙につかまって 黄金の仮面をつくらされた。 その仮面が目覚めぎわ 一瞬にして蒸発した。 黄金は蒸発しやすいのだろう 財布の中身といっしょでね。 貧乏暮 . . . 本文を読む
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何者かそこにいる(ポエムNO.3-7)

2019年04月10日 | 俳句・短歌・詩集
あるときはカメラをぶら下げて歩きまわる。 またあるときは酒を飲んで酔っぱらい さっさと寝て夢に身を浸す。 ときおりやけっぱちな詩を書いたりもする。 浴びるように本を読んでいることがあったかと思うと 草刈り機をもって 田畑をはいずりまわっている。 きみは何者なのか? 何者? フォトグラファーではなく 酔っぱらいでもなく 詩人でもない。 物書き・・・であったことはないし 貧農ですらなかった。 何者 . . . 本文を読む
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天金加工が施された荷風の「珊瑚集」

2019年03月10日 | 俳句・短歌・詩集
   (天部に金箔が箔押しされている) 世の中には「愛書家」と称する変わった趣味の人種がいる。わたしは愛書家というにはほど遠い男だが、それでも、本、書籍は好きだし、大事に扱っている方ではないか・・・と思う。 書評で文庫本や新書ばかり取り上げているのは、50代半ばころから、寝転がって読むクセがついたからだ。 数週間前に、何気なく買ってきた本に、永井荷風の「珊瑚集」がある。ほとんど傷みのない、新 . . . 本文を読む
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「夕陽に赤い帆」をようやく手に入れた

2018年11月24日 | 俳句・短歌・詩集
清水哲男さんの「夕陽に赤い帆」を、古書店で手に入れた。 清水さんは本書で、地元前橋市が主催する第二回萩原朔太郎賞を受賞している。 第一回はといえば、いわずと知れた谷川俊太郎さんの「世間知ラズ」。 遅ればせながら「世間知ラズ」と出会って、わたしは数年前、詩に復帰した経緯がある。これが第二回受賞作のため、以前から注目していた一冊であった(=_=)  「水瓶座の水」や「スピーチ・バルーン」は読んだ記憶 . . . 本文を読む
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瑪瑙の青 ~弔辞にかえて(ポエムNO.3-6)

2018年07月25日 | 俳句・短歌・詩集
きみの胸にぶらさがった瑪瑙のペンダントを裏返すと 「取扱注意」と小さな文字が刻印されていたのを覚えている。 「普通のひとには見えないのだけれど あなには見えたのね」と 謎をかけるようにいったきみは さっさと彼岸のドアを開けて 向こうの部屋へと去ってしまった。 そうか ぼくだけがそれを知らなかった ・・・二年ものあいだ。 「おや 電話が通じない」 なぜそのとき 気がつかなかった . . . 本文を読む
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