二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

寝返りを打つ  ポエムNo.2024-01

2024年06月12日 | 俳句・短歌・詩集
ああ あ。ああ あ。とつぶやきながら 深夜のベッドで寝返りを打つ。 そうして 深い淵のようなところから 這いあがったり ずり落ちたりしている。 そこに横たわるきみよ いいかげんにしたらどうかね。 何年こんなありさまですごしている。 何年? ごわんごわんとブルドーザーのようなものが通りすぎていった。 その轟音がいまでも耳元で響いている。 ムクドリや女たちのざわめきや木の葉をゆらす風。 反響はも . . . 本文を読む
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いちばんえらくなくて、ばかで、めちゃくちゃで ~宮沢賢治の世界を読み返す

2024年03月31日 | 俳句・短歌・詩集
数日前にBOOK OFFへいったら、こんな本が置いてあった。 「宮沢賢治の真実 修羅を生きた詩人」今野 勉 (新潮文庫) なるほど、そうでしたか、知らなかったけど、文庫になったのが令和2年。 中古好きのわたしが知らなくてあたりまえだなあ(笑)。 どちらかといえば、童話より詩の方が好きである。 大学時代に「夜行列車」という詩の同人誌をやっていたころ、友人たちはほとんど全員宮沢賢治を、緻密によく . . . 本文を読む
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ことばの舌さき 2023-3(7月6日)

2023年07月07日 | 俳句・短歌・詩集
ふと気がついた ことばにも舌さきがあるんだと。 本を読んでいると 否応なしに 否応なしにそれがわかる。 近ごろよくというか ほぼ毎日本を手にして帰ってくる。 何だ またか! ・・・と 自分で自分にあきれている。 五千冊か六千冊の本が わが家のあちらこちらに積み上げてある。 本に遠慮しているわけじゃないが ぼくの居場所がだんだん狭くなる。 何てこった。 ことばの舌さき。 本物の舌とは違って ず . . . 本文を読む
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前橋へ ~飯島耕一詩集「ゴヤのファースト・ネームは」より

2023年07月05日 | 俳句・短歌・詩集
※飯島耕一さん(1930~2013年)はフランス文学者、シュルレアリスムの詩人として出発したが、このころは、こういうとてもわかりやすいプリミティブな詩を書くようになっていた。 この「ゴヤのファースト・ネームは」(青土社 1974年刊)で1973年高見順賞を受賞。 わたしが群馬県人であるため、とくにこの一篇「前橋へ」はインパクトはないが、忘れることができない秀作であると思う。彼はうつ病に悩まされて . . . 本文を読む
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今日からあすへ  2023-02(7月1日)

2023年07月05日 | 俳句・短歌・詩集
   (写真は翅の傷みが激しいキタテハ。2021年6月撮影) 定義は他人がするもの。 だから自分が何者であるかはわからない。 鳥も虫も花も おのれが何かはわからない。 わかったとてどうなる? 生きものは 神さまのまな板の上に身を横たえている。 鳥も虫も花も 皆そうなのさ。 神さまは料理したいように包丁をお使いなさり 塩をふる。 声のない血なまぐさい阿鼻叫喚。 巌頭に押し寄せる波乱万丈の夢の . . . 本文を読む
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上手宰詩集「二の舞」について

2023年07月01日 | 俳句・短歌・詩集
友人の上手宰(かみておさむ)さんが、「二の舞」というユニークなタイトルの詩集を贈呈して下さった。 三好達治賞をうけた前詩集の「しおり紐のしまい方」2018年に続き二冊目。 「言葉は誰かを抱きしめて滅びた遺跡のようだ」と。この一行に指先が震えた。 アリステア・マクラウドの小説のように言語が読み手の胸に沈んでくる。 詩人はことばそれ自体を生きる人種である。 流行作家とは違って、読まれても読まれなくて . . . 本文を読む
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とっぷりと暮れてきた 2023-01(6月20日)

2023年06月20日 | 俳句・短歌・詩集
気がついたとき ぼくは地球のお客さんだった。 まわりにいるのはすべて先客。 生きものたちが押し合いへし合いしている その真ん中あたりに生まれてきた。 ほんの数年に過ぎないとしても 先輩だらけだったあのころを思い出すのはむずかしい。 まわりじゅうがなにやら合唱しているようで 万物がオワンオワン反響していた ・・・ような気がする。 生きものたちはやるべきことをちゃんと心得ていてね。 行き先がわから . . . 本文を読む
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中原中也の原稿発見

2023年02月17日 | 俳句・短歌・詩集
「朝の歌」の原稿全文が発見されたという、中原中也ファンにとってはBigなニュースが、数日前の朝日新聞に三段抜きで掲載されていた。 朝日だけでなく、Netで検索すると、各社競うように大きく扱われている。 中也が自分の“鉱脈”を掘り当てた、最初期の作品。 はじめて接したときの驚きをわたしも覚えている! 大事な出会いであった。中学3年生のわたしのとっても。 寝起きしていた「あの部屋」と、あの天井のこと、 . . . 本文を読む
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ひぐらしが鳴いている  2022-19(11月23日)

2022年11月24日 | 俳句・短歌・詩集
ひぐらしが鳴いている。 かなかなかな かなかなかな かなかなかな かなかなかなかな 同床異夢 異床同夢。 シャガールの絵から抜け出してきたものたちが あたりをひぐらしのように飛び回っている。 ひぐらしは蜩 日暮しとも書く。 長い一日の涯の夢。 シャガールが夢みた恋人たちの夢。 かなかなかな かなかなかな かなかなかな かなかなかなかな むすうのひぐらしが 谷いっぱいに潜んで 花束をシャワーのよ . . . 本文を読む
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何者かの指が  2022-18(11月2日)

2022年11月03日 | 俳句・短歌・詩集
     (2017年5月 撮影) 枝のミカンをもいで食べた。 4つ5つと食べてみたけど どれも少しずつ味が違う。 人もそうだと思うけど。 お隣どうしなのに何をかんがえているかわからない。 話をしてみないと ね。 けさも陽がのぼった。 あすもたぶんのぼるだろう。 空気と水について かんがえることなんて めったにない。 あたりまえに“そこにある”ものは あたりまえにあるものは ニュースに . . . 本文を読む
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