二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

日の沈む国への旅 ~「マグレブ紀行」を読む

2023年04月14日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■川田順造「マグレブ紀行」中公新書(1971年刊) 川田順造(1936年~ )さんという文化人類学者を知っているという人が、世間にどのくらいいるのだろう。 調べてみると、2021年に文化勲章を授与されている。しかし、一般的には知名度は低い方だろう。うん、聞いたことある・・・とはいえ、おそらくはレヴィ=ストロース「悲しき熱帯」の訳者としての名ではないか。 Wikipediaで検索すると、驚くほど . . . 本文を読む
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たぐいない愉悦の夢に酔う ~素晴らしき「アルハンブラ物語」その2

2023年02月05日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
上巻:20章 367ページ(地図をのぞく) 下巻:20章 418ページ(見取図・解説をのぞく) そうして、その中に、マクミラン版から採用したジョーゼフ・ペネルの繊細な挿絵が、42枚挿入されている。これが読者の夢想をかきたてる。 ジャンル的にいって、ノベルとロマンの卓絶のコラボレーションである。 岩波文庫のメニューに、こういう傑作がうもれていることを、なぜ声を大にして称えないのか? 光文社古典新訳 . . . 本文を読む
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たぐいない愉悦の夢に酔う ~素晴らしき「アルハンブラ物語」 その1

2023年02月05日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■W・アーヴィング「アルハンブラ物語」平沼孝之訳(岩波文庫)上巻下巻(1997年刊 原本は1851年刊) W・アーヴィングの本を読むのは、はじめての経験であった。 深いふかいため息とともに、わたしは岩波文庫の上下2巻を読み了えた。 惜しみおしみ、後ろ髪を引かれながら。そう・・・ほんとうにため息ものの素晴らしい作品であった。 これまでたくさんの本を読んできたけれど、これほどのブリリアントな印象を . . . 本文を読む
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ことばの海を渡りきる ~コンラッド「闇の奥」その他2篇のレビュー

2022年12月27日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
    (ご近所の竹材店では、松飾の制作もいよいよ終盤戦) ■佐藤さとる「豆つぶほどの小さないぬ」コロボックル物語2(講談社青い鳥文庫 1980年刊) コロボックル物語2とあるから「だれも知らない小さな国」の続編だということは、読まなくてもわかる。佐藤さとるさんが、どんな設定で物語をすすめてゆくのか関心があった。 続編といより、数年後(6-7年後か)の後日談。 一番のポイントは、クリ . . . 本文を読む
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かつて日本は子どもたちの楽園だった ~渡辺京二「逝きし世の面影」を読む

2022年10月14日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■渡辺京二「逝きし世の面影」平凡社ライブラリー 2005年刊 ここ数年の懸案だった「逝きし世の面影」をようやく読みおえた。 わたしの見るところ、これは異形の一冊というべき本。 なぜか? 理由は2つある。 1.非常に情緒的なタイトルである 2.ほぼ90%が引用文で埋め尽くされている 巻末に添えられた参考文献(邦語文献)の一覧を眺めるまでもなく、幕末・明治初期に日本を訪れた外国人による紀行文、旅行 . . . 本文を読む
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古書店界隈、そのほとり  ~司馬遼太郎「本所深川散歩・神田界隈」を読む

2022年10月10日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
■司馬遼太郎「本所深川散歩・神田界隈」朝日文庫(2009年 新装版第1刷) 《「とりあえずは江戸っ子の産地じゃないか」と思い、訪ねた本所深川。落語や鳶の頭、芸者たちの話などから“江戸っ子”の奥義を探る。「古本屋さんと出版社と、それに付随する印刷屋のまち」神田。森鴎外、夏目漱石ら、このまちに住み、かかわった人びとの足跡を辿り、江戸から東京へと続く歴史を歩く。》BOOKデータベースより そう書か . . . 本文を読む
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管さん感動的な弔辞

2022年09月30日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
YouTubeでさらに二度見返した。 前総理菅さんの感動的な弔辞、頭にしっかりと叩き込んでおきたかったのだ。 反国葬のデモといっても、実態は300人かそこいら。 世論の“分断”を煽っているのは、何でも“反対”唱えるのが仕事の共産党と、朝日新聞を筆頭とするマスコミ、週刊誌である。 マスコミは所詮口説の徒( -ω-)  会場からおのずと巻き起こった拍手を記憶にとどめておこう♪ . . . 本文を読む
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菅さんの弔辞

2022年09月27日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
菅義偉さんのための国葬だった、と思わぬでもない。すぐれた感動的な弔辞だった。 政治家とはこういう生き物なのだ。 一時期は民主党に期待を寄せたことがあったけど、日本人=自民党は同義語に近いな、よくも悪くも(^^;;)  それに比して岸田総理の弔辞は儀礼的。 朝日新聞系列の反国葬キャンペーンなど児戯に類する、共産党ならいざしらず。 . . . 本文を読む
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時乃小石さんの魅力全開

2022年09月24日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
う~ん、これは感動させられたなあ。 時乃小石さんの動画をずいぶん見せていただいたけど、これはドキュメンタリー・タッチの短編映画となっている(*´ω`)  完成度も高い↑ https://www.youtube.com/watch?v=BrF39q6ouMw  過去10投稿の平均再生数が3万2,603だそうである。 Webページも検索したけど、YouTubeオンリーのようだね。 声はcompose . . . 本文を読む
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石ころの魅力にとり憑かれた人 ~宮田球己「いい感じの石ころを拾いに」を読む

2022年09月23日 | ドキュメンタリー・ルポルタージュ・旅行記
       (本の周りに散らばっているのはわたしがかつて買った石の一部) ■宮田球己(みやたたまき)「いい感じの石ころを拾いに」中公文庫 2019年刊 定価で買うと、780円(税別)というお値段。その値段で買ったかしら? う~ん、買わなかったろうなあ、多分。本書は100円(税別)の棚にならんでいた。 ぱらぱら立ち読みしたら「いい感じの石ころ」の写真がたくさん掲載されていた。 読みはじめて . . . 本文を読む
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