二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

影の男(ポエムNO.2-05)

2013年02月24日 | 俳句・短歌・詩集
(写真は「オトシブミに出会った日」より)



やがて朝がやってくる。
人間が人っ子ひとり見あたらない静かな
・・・壊滅的な朝が。
きみはそれを想像しながらにんまりと悪魔的な笑みをもらす。
「つけがまわってきたんだ。
にもかかわらず まだこの地球に借りをつくるつもりなんだね」
影法師のように存在感のない背中の曲がった男が
小声でささやき姿を消す。
夢のような現実。

「人間がこの地球をつくり出したのではなく
地球が人間をつくり出したのだ。
そのことは忘れないほうがいい」
影の男はそういっていたな。
「どこからやってきたんですか」と訊くと
その男は黙ってカシオペアのある方角を指さした。
影の男はもうひとりのきみなのかもしれないし
たとえば 土星人・・・のような存在なのかもしれない。
いえるとすれば。

影法師のように見えたのは
彼が墨染めの衣を着ていたからだし
垢と臭気がひどかったからだし
声がノスリに似ていたからだ。
ますます深みへと踏み込んで
踏み込んで
やがて朝がやってくる。
人間が人っ子ひとり見あたらない静かな
・・・壊滅的な朝が。

野鳥たちの囀りも絶えた。
いずれ死がきみをうけいれてくれるところまで歩かねばならない。
そのうしろ姿がしぐれて。
しぐれ
しぐれて。
きみはそのあとを探偵のようにつけ回し。
やがて彼とおなじ影だけでできた人となってたたずむ。
日付のないとある一日のとっぱずれに。
現実のような夢 から覚めて。



※本編は「うしろ姿のしぐれてゆくか」という種田山頭火の句にヒントを得て書いています。
※ノスリの声についてはこちらを参照して下さい。
http://migichan.miz.jp/torisounds01.html

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