こちらは新潮文庫版表紙。堀口大学訳で、「カルメン」のほか、つぎの5編を収録している。
1.タマンゴ
2.マテオ・ファルコネ
3.オーバン神父
4.エトリュスクの壺
5.アルセーヌ・ギヨ
堀口大学訳が悪いというのではないが、わたしとしては岩波の杉捷夫訳が格上だと考えている。漢文脈ふうというほどではないが、ややストイックなコクのある渋い味わいを愛する。杉さんが訳したメリメ「トレドの真珠」などは絶 . . . 本文を読む
岩波文庫から「読みやすくなった岩波文庫/創刊80周年記念」と帯がついた改版が刊行されたので、久しぶりに「カルメン」を読み返した。はじめて読んだのがいつだったか、はっきりした記憶はないが、これまで持っていた岩波文庫の奥付を見ると、1997年とある。それ以前にも、一度読んでいるはず。しかし、記憶がさだかではない。
いちばんはじめにメリメを意識したのは、三島由紀夫の「文章読本」であったのははっきり覚 . . . 本文を読む