虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

もうすぐ4歳の子らのグループレッスン。自分で問題解決の課題を見つけるのが好き。

2016-07-25 15:28:42 | 幼児教育の基本

もうすぐ4歳になる3歳児さんがそろった年少グループのレッスン。

紙コップでお人形を作りました。

 

この時期の子と工作をする場合、最初にわかりやすい1手順か2手順までの

お手本を見せるものの、その通りにする子はまれで、たいてい自分が思うままに好きなように

作るものです。そんな時、大人が自分の教えようとしている形にこだわるよりも、

子どものやり方から、今の子どもが敏感になっていること、その子の個性などを

学ぼうとするくらいがちょうどいいと思います。

子どもの今の力を超えるものは、ていねいに手本を見せつつも

大人が作ってあげます。

 

お人形の手の一方を動かすと、もう一方と足が動きます。

Aちゃんが何度も「かさ」を作りたがるとお聞きしたので、

年少の子たちも作れるかさの作り方を教えました。

折り紙に、丸い形(セロテープの芯のいらなくなってものなど)を使って

マルを書いて切りとります。

 

マルを半分に2回折ってマルの「おへそ」さがし。

 

マルをおへそのところまではさみで切ったら、かさの形にしてテープでとめます。

モールの持ち手をつけたらできあがり。

 

 

Bちゃん、Cちゃん、Dちゃんの3人もかさ作り。

円の中心まで切り込みを入れるところが難しそうだったので

Cちゃんのお母さんが代わりに切ったところ、

Cちゃんのほっぺたが不満そうに膨れました。

切りこみを触っては、「雨が入っちゃうよ。水が……」とごねはじめ、

「ほら、こうしたらかさになるでしょう。テープはったら水は入らないよ」と

お母さんがなだめても、「水が入っちゃう。ぬれちゃうよ」と言い続けていました。

 

今回のレッスンは、

夏休みということでAちゃんの小5のお姉ちゃんも教室で過ごしていました。

Aちゃんのおねえちゃんが作ったかさです。

うらやましそう見ていたBちゃんにあげてから、

AちゃんとCちゃんに作ってあげました。

 

Cちゃんが他の子がもらったかさをちらちら盗み見ていたので、

おねえちゃんがちょっとバテてきたところひとふんばりして作ってもらったのですが、

Cちゃんは、口をへの字に曲げて、「水が入っちゃうよ」とかさの隙間を指で

触っていました。確かにこちらのかさは豪快な穴が空いているデザイン。

 

「それなら、隙間がビニールになっているかさにしてあげようか」と言って

セロテープで貼げると、Cちゃんはその上から先に作ったかさを

貼りつけていました。

 

お姉ちゃんが作ってくれたおしゃれなかさより

「雨が入ってしまう。服がぬれてしまう」という自分が気づいた

問題を最優先するのは、4歳前後の子のあるあるパターンです。

 

3歳半くらいから、多くの子たちが、

「ちょっとした問題を自分の知恵で解決する」ということに

熱心になっていくのですが、4歳が近づくと、作業より、美より、効率より……

 

自分で問題点を見つけ出して、

あーだこうだいう → 自分のそれまで生きてきた知恵を総動員して答えを出す

 

ということに熱心になっていきます。

この時期の子を大人が思うように動かそうとしていると、

頭を使う喜びと自発的に考えていこうとする態度を失わせてしまいます。

 

「これでだいじょうぶ。水が入ったら、お洋服がぬれちゃうもんね。困るね」

と言うと、Cちゃんは、パッと明るい顔をして、

「おふろでさしたらいいよ。そうしたら、ぬれてもだいじょうぶ」と言いました。

 

それはびっくりなナイスアイデア!!

 

すると横からAちゃんが、「レインコート着たらいいよ。」と言いました。

穴だらけのかさをさしてレインコートを着るって、またこれもすごいアイデア!

 

子どもたちにこんなクイズを出してみました。

「幼稚園にいる子どもじゃない人はだれでしょう?」

 

すると、元気な手があがりました。

Aちゃんが自信満々で「赤ちゃん!」と言いました。

 

次に、

「ゴミ収集車のしているお仕事は何でしょう?」とたずねたところ、

頭から湯気がでるくらいうんうん考えてから、「わかんない~!」とのこと。

いっしょに参加していたお兄ちゃんに

「ゴミを集めてまわるお仕事だよ」と教えてもらって、

「そうかー!」と目をきらきらさせていました。


考える方法と行き詰った時の解決法 5

2016-07-25 07:48:26 | 日々思うこと 雑感

 

教室の椅子をいくつか買い足しました。これまでの椅子は最大20㎏までしか

座れない赤ちゃん用の椅子だったのですが、今度の椅子は50㎏までOK。

これで親御さんたちにも椅子を薦めることができる~と喜んでいたら、

50㎏というのがビミョーなラインらしく、この椅子ネタで毎度のように

「キャーどうしよう、大丈夫かな、危ないわ!」とアラウンドフィフテイーをめぐる

騒ぎが巻き起こっています。

わたしもしっかり危険ゾーンに入っていますが、便利に使わせてもらっています。

 

この椅子、100円ショップで200円で購入したもの。購入した翌日から

1、2歳の子らから小学校高学年の子まで、興味しんしんに、折りたたんだり開いたり、

折りたたんだり開いたりを繰り返しています。

そんなにこの仕組みが面白いのなら……と、

簡単にこの椅子を再現する作り方を考えてみました。

細長い紙を切って折って、ふたをつけるだけでできあがり。

 

折りたたみ椅子の作り方を説明すると、

さっそく作り始めた年少(もうすぐ年中)のAくん。

ふたを作る時に四角い枠を紙にあてて、「これくらいかな」と思うところに

えんぴつで線を入れて切りました。が、枠にかぶせてみると小さかった模様。

 

すると、Aくんは残った紙を細く切って、小さかったふたに継ぎ足し始めました。

これはナイスアイデア。

後からお母さんに聞いたところ、AくんにとってこれはAくんの十八番の工作技で、

工作する時はいつも、「最初にアバウトに形を切りとって、小さい時には、

細い紙で少しずつ周囲を継ぎ足していく」のだとか。

見栄えはちょっと悪くなるかもしれまぜんが、微調節が可能になるよい方法ですね。

 

 Aくんの考える方法は、「まずざっくりと試してみて、様子を見ながら

少しずつ理想形に近づけていく」というというもの。

Aくんは誰かが遊んでいるおもちゃを自分もやりたくなった時、

傍らから、何ひとつ見落とさないほどの

真剣なまなざしでじっと見続けます。また、一度、何かに取り組み出したら、

「ああ、満足した」とため息がでるくらいまで、とことんやりぬきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こちらは年長のBくん(といっても、この日が卒園式)の

レーシングカーのレース場です。

教室に着くなり、「先生、大きい段ボールない?」と言い続けていたので、

ようやくそこそこのサイズの段ボールを見つけてきて、苦言をひとつ。

「作るのはいいけどあんまり大きいものを作ると、持って帰るのが大変だから、

教室に置いてってよ」と。

 

すると、Bくん。「いいの、いいの、大丈夫」。

「そりゃ、Bくんはいいよ。でもBくんが抱えて持って帰る役をしたとしても、

こんな大きいものを持って帰ったら家がいっぱいになっちゃうよ」と言うと、

Bくんは自信満々の笑みを浮かべて、

「大丈夫だったら~!それはちゃんと考えてますから。

折りたためるようにしてあるんだから、大丈夫。小さくなるように、

ちゃんと考えてるんだから」とのこと。

 

スタート地点のゴムに太目の髪ゴムを使うことで、

レース場のゴールまで一気に車を走らせることに成功したBくん。

うれしくって笑いがとまらない様子でした。

結局、お母さんの前でも「いかにコンパクトに折りたためるか」を実演してみせて、

満面の笑みを浮かべて、畳んでも十分かさばる荷物を「お持ち帰り」しました。

 

人とコミュニケーションを取るのがとても得意なBくん。

Bくんがものを考える時は、「相手をどう説得するか」という面も考慮されています。

説得する時には、相手の出してくる否定的な考えをいかにくつがえすかや

問題の解決策をどう示すかも大事ですが、

自分がどのようにしたいか、どれほどそれを望んでいるかを本気でアピールすることも

重要なようです。

 


思い出話に 癒される

2016-07-24 23:30:10 | 日々思うこと 雑感

わたしはADD(不注意優勢型のADHD)傾向があるので、

小心者で生真面目な性格の割に、何かにつけてすることは大雑把で大胆で、

しょっちゅう全身が凍りつくようなそそっかしいミスをしています。

ひどいミスをして落ち込んでいる時、

ふと、心に過去のヘンテコな思い出話が浮かんできて、妙に心が癒されます。

ヒヤーッとするといえば、今日まさにそんな出来事に遭遇。

しばらく肩を落としたあげく、ツタヤで再会した男の子の笑顔を思い出しました。

過去記事ですが、こんな話です。

-------------------------------------

昨日、ツタヤでCDを選んでいたら、いきなりトントンと背後から肩を

たたかれて……振り向いたら、

背の高い20歳くらいの男の子(人?)がニコニコしながら立っていました。

誰……???と一瞬、面食らって、誰だかわからずに

ポケッとして、相手の目を見ていたら、「あ~!!!これは……!!」

と思いあたりました。

数年前に、私が大工仕事を教えてもらった小学生……!

<小学生の子に大工仕事を教えてもらった話>の記事に書いた男の子。

この記事の下に出来事をコピペしておきますね。

 

ということはまだ、中学生か高校生……?

すごく大人びていて、背丈も見上げる感じで対面しているんですが、

笑顔は当時のまんま~(いまだに友だちと思ってくれていたのか……?)

あまりに突然でボケていたので……「仕事は何をして……」と問いかけて、

「いや、まだよね……学生よね」とひとりごとを言っている間に、

ニコニコしながらさわやか~に去っていきました。

「よその子はすぐ大きくなる」っていう話……よく聞くけどホントだわ~と

思った出来事でした

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<小学生の子に大工仕事を教えてもらった話>

以前、近所の小学校でする子ども会主催の「たこ作り教室」のお手伝いに

行っていたことがあります。

そこで、おとなしすぎる小学生と活発過ぎる小学生(つまり両極に寄り過ぎて

一周回って似たタイプの子ら……)が、小競り合いを始めました。

私は、けんかを妨害するように、二人の間に自分の「たこ」を広げて、

「たこ」にイラストを描き始めました。

その前の年は「火の鳥」を描いたんですが、その年は「だんじり」すると、

それまでけんかをしていた活発な方の子が、さらに私の近くに席を移して、

だんじりの絵をなめるように見ていました。

そして、自分も「たこ」にだんじりの絵を描き始め、だんじりについて熱心に

語りだしました。私が、一番興味を惹かれたのは、

その子が、自分で、大工道具を使って、だんじりを作った…という話でした。

実は、私は、何年来、大工仕事にあこがれていて、
今は廃材や紙で工作しているけれど、いつかは木材で
子供用のままごとセットなど作ってみたいと考えていました。
それで、その子に、材料の入手先や道具について、
あれこれ質問しました。
すると、その子は、それは熱心に、

自分の作っただんじりを見に来るように……
それは、子どもが乗ったって大丈夫な作りなんだ…
今日にでも、ホームセンターと木材屋に連れて行ってあげるから、
「たこ作り教室」の後の予定は空いているか?

とたずねます。

うーん、それは魅力的な誘いではあるけれど、
お母さんに聞いてみなくてはならないよ。
勝手によその子をホームセンターに連れて行くわけには…(連れて行ってもらうわけには……。)

といったんは、ていねいにお断りしたんですが、
帰りはしっかり我が家まで付いて来て熱心にすすめてくれます。
そこで、親御さんに連絡して、
(「うちの子でお役に立てるんでしたら、どーぞどーぞ」とのこと)
さっそく二人で買い物に出かけました。

「ちょっとお金がかかるかもしれないよ~
ドリルはまず必要だからね。
それと、サイズのちがう釘もいるし~。
それとさ~いらなくなったとき、リサイクル料金400円かかるかもしれないけど、大丈夫~?」としゃべり続けて、
男の子は、私の財布の中身をすごく気にしてくれてました。
そして、
ただで木材を分けてくれる材木やさんに寄ったり、
途中で家を建築中の大工さんに声をかけて、
木の廃材を分けてもらったり、
ホームセンターの特価品コーナでお買い得の板を集めて
くれたんですよ。

私の場合、買い物だけで、疲れちゃったんですが、
「だめだめ、思い立ったときに、ある程度仕事を進めとかなきゃ。」
と注意され、
さっそく「だんじり作り開始!!」

それが、のこぎりやドリルの音が思った以上に大きくて、

騒音だ~!


ご近所迷惑だ~!

と気が気じゃなかった私は、
なんとかそれらしい形までこぎつけたときは、
涙が出そうでした。

その子は、小学生とは思えない仕事っぷりなんですが、
勉強はすごく苦手なんだそうです。
そこで、大工仕事を教えてもらったお礼に、
製図に役立ちそうな算数を教えてあげるよ~と言ったんですが、
断られました。

それで、帰りに本人が持っていないというサンダーを
あげることにしました。
というのも、大工仕事を教わってみて、
「こんな都会の真ん中で、そんな作業できるわけない!」
という現実をしっかり勉強させてもらったからなんです。
それと、大工仕事の、大体の流れと、購入場所も
しっかり学習できました。(かかった費用のもとは取れました。)

「サンダーはかなり音が出るけど、大丈夫?」
「いつも使っている電動のこぎりも、電動ドリルも
同じくらいの音だから大丈夫だよ。
でも、ほんとのほんとに、サンダーもらって良いの???」
とその子は喜び勇んで帰って行きました。

その後、小学校の柵のそばで、数人の子と群れて遊んでいるその子を
見かけました。手を振ったら、「おっ!」と挨拶。
「だれ~?」と友達に聞かれると、
「ともだち~」と答えていました。

ともだち…ですか?


考える方法 と 行き詰った時の解決法 4

2016-07-24 08:36:37 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

考える方法 と 行き詰った時の解決法 1

考える方法 と 行き詰った時の解決法 2

考える方法 と 行き詰った時の解決法 3

の続きです。

 

小2の女の子たちのグループレッスンの話。

このグループのメンバーのほとんどは、想像力豊かで創作活動が大好きな子らで、

これまではいろいろなアイデアを実現するのに、一致団結して取り組んできました。

 

それが最近になって、「今回、何がやりたいか」の意見が割れたまま

話し合いが長引いて、ようやく活動し始めたと思ったら、

「勉強の時間がきてしまったから終了~!」という不完全燃焼状態が何度かありました。

年齢が上がるにつれて、興味の違いや得意なことややりたいことの能力差などが

はっきりしてくる上、積極的に自分の意見を主張するようになるので、

こういうことはよく起こるのです。

 

先日も、こんなことがありました。

Aちゃんは、「家に持って帰れるようなものを作りたい。工作がしたい」と言い、

Bちゃんは、「他のグループがしたという部屋を真っ暗にして影絵をしたり

実験をしたりする活動がしたい」と言い、

Cちゃんは、「わたしは昨日の晩から、明日のレッスンで何をしようかと考えていて、

どうしてもピンとくるのがないからお母さんに相談したら、マラソンはどう?って

アドバイスされて、それ面白いなって思ってたのよ。

箱で街の中を走るマラソンのコースを作って、ぜっけんをつけた人形も作って、

下から棒で動かすか、上からひもで吊って動かすか、どっちかにするの」と

言いました。

 

Cちゃんの「マラソン」というアイデアの今の時期にマッチした感じは、

他の子らの心を動かしたようで、

とりあえず、「マラソン大会」をテーマにすることで意見がまとまりだし、

「マラソンでいいのはいいけど、部屋を暗くするのは今日したいから、

部屋を真っ暗にしてマラソン選手が走るところを

ライトを当てて見せたらどう?」とBちゃんが言い、Aちゃん、

Cちゃんがそれに賛同しました。

 

そこでわたしは、「以前、ひとつだけの人形に360度違う方向から光を当てることで、

影が壁面を動いていくアイデアでマリオのゲームを作った子らがいたよ」と言って

それを実演してみせましたが、ちょっぴり不評……。

 

「ブロックで壁を作るのは箱でするより大きくできるからいいけど、影じゃ嫌。

ひもで人形を吊ってコースを回らせたい」とのことでした。

 

さあ、何から作ろうかという段になって、それまで黙っていたDちゃんが、

「今日はゲームがしたい」と言いました。

これがおふざけ好きでいつも言いたい放題の他の子の言葉だったら、

わたしも、「そろそろ決めないと活動時間がなくなっちゃうから、

今日のところは妥協して、ゲームは次回ということにしたら?」と

諭していたはずです。

 

でも、いつも自分を抑え気味で、

友だちの考えに同調しがちなDちゃんの主張だったので、

話し合いをもう少し見守ることにしました。

Dちゃんは、他の誰も味方がいない中、「絶対、ゲーム」と言い張って

折れる気配がありませんでした。

 

そこでわたしが助け舟を出して、

「工作だけなら、さっさと終わらせてゲームをするという手もあるけど、

部屋を真っ暗にして作ったマラソン大会の様子を演出するとなると、

大がかりすぎて、とてもゲームまでは手が回らないわ。

どうしてもゲームがしたいなら、真っ暗な部屋でできるゲームを考えなくちゃ。

それなら、マラソンを演出するついでに遊べるだろうから」と言いました。

 

すると、あれっという展開になりました。

みんなで暗闇でゲームを楽しむ方法を真剣に考えだしたのです。

かるたやトランプでする遊びをライトで探すのはどうか、

色水ボトルにライトを当てて長い光の筋を作ることを利用してゲームができないか、

目隠しなしで目隠しが必要なゲームができるのではないか等々……。

ただ適当に意見を言うというのではなく、

Dちゃんも他の3人も納得できて、かつ、これまでに誰もやったことがないような

面白いことを考え出してやろう、という高揚した気分で、考えることに

集中していました。

 

結局、その日はアイデアを練るのに時間が取られてしまい、

慌てで制作に入ったものの、作業が波に乗りだしたところで

学習時間になってしまいました。

 

帰り際に、「話し合いばかりで完成にこぎつけない状態が続いたら、

つまんないでしょう?

次回はどんなことがやりたいのか先に考えていらっしゃい。

それと、いつまでも決まらないようなら最悪の場合、じゃんけんかくじびきで

決めるわよ」と釘をさしました。

すると、未完成のまま作業を中断したことがよほど堪えたのか、

これまで一度として、じゃんけんやくじびきで物事を決めたことなどない

このグループの子ら全員が、「次はくじびきで決めたい!」と言いました。

やれやれ……。

 

自由に自分たちで意見を言って、何をしたいのか決められる状況は、

それぞれの意見が噛み合わなければ、何も決まらず活動に移せない

不自由につながるリスクがあります。

そんなふうに何回かに一度は、こうした『失敗』に思える日があっても、

最初から私が何をするのか決める形は避けたいし、

じゃんけんやくじびきは最終手段で、時間が許す限り、話し合いでの

解決をめざしています。

 

この頃の子には、たくさん自由があるようで、自分がやってみたいことを

言葉にする場もそれを実行に移せる時間も皆無に等しいですから。

それにしっかり耳を傾ける姿勢を保ちたいのです。

 

そうはいっても、教室に来る日を心待ちにしていた子らが、

それぞれ手がけたことを完成までこぎつける十分な力とエネルギーを持っているのに、

「最後までやりたかった」と残念そうに帰宅するのを見ると、

もやもやする思いが残ります。

 

でも、実際には、そんな不完全燃焼に終わった日こそ、後から

「あれは非常に貴重な時間だった」と振り返ることが多いのです。

 

この日、「さぁ、作ろう!」という段になって、振り出しに戻って、

「何をするか」から話を蒸し返すことになったことで、

大きな時間のロスをしてしまったのは確かです。

話し合いが長引き、なかなか作業に入れないことにも、結局、

未完成に終わったことにも、みんないささかうんざりしたことでしょう。

 

その「うんざり」の正体は、工作上の難局のような遊びの一部ではなく、

問題集にあるような教師が作った課題でもない

子どもたちにとって「現実の何とかしなくちゃいけない問題」です。

現実の問題だからこそ、予定通りに物事が進まなくてうんざりするような

停滞を生むのですが、そこでぐずぐずと時間を無駄にすることは、

ある意味でとても大事なことじゃないかな、と感じているのです。

 

 現実の障害物は、必要は発明の母じゃないですが、

「それまで考えたこともないような議題で本気の知恵を絞る」という経験の

きっかけになりますから。

この日の出来事を思い返しても、子どもたちは

暗闇でゲームをする方法を考えている時に一番本気モードになっていたし、

考える楽しみに浸ってもいたのです。

 

この日、子どもたちに、

「2ひきの恐竜にとっくみあいをさせるにはどうすればいいでしょう?」

という問いを投げかけたのですが、このグループの子らは、

この問いに対して他のどのグループの子らより強い関心を示し、

いろいろな意見を出していました。

また、家に帰ってからもこの問題を探り続ける子がいたそうです。

わたしたちは、目で見える作品や完成度のようなものだけで

時間や経験を評価してしまいがちですが、

うまくいかない状態でしっかり知恵を絞ることや、

知的な探究心に動かされて、頭を使う見えない時間も大切にしたいと思いました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『めばえ』の付録の自動販売機。

ボタンを押すとジュースが出てくるしかけが面白くて、

小さい子も大きい子も繰り返しボタンを押しています。

大人だって、「どうしてでてくるんだろう?」と不思議な心地になる

このおもちゃ。

種明かしをすると、押しボタンの先にスポンジがついています。

スポンジは押すと縮むし、押すのをやめると戻ってくる

誰もがよく知っている弾力性のある素材。

それに穴の泣いたスイットボタンをつけることで、

押してスポンジが縮むとジュースが落ちる穴ができて、

押すのをやめると、スポンジに邪魔されてジュースが出てこない。

それにしてもプニプニした触感ってどうしてこう何度も

押してみたくなるんでしょうね。

 

 

年中のAくんと自動販売機作り。

ヨーグルトの空きパックで作ったスイッチボタンを押すと、

ジュースが出てくるしかけ。

 

スイッチを押す前は、スポンジで穴がふさがれています。

 

 

 となりにゴミ箱もつけて、完成です。

 

 


カニの脱皮 と ひき算ゲーム

2016-07-23 17:50:15 | 算数

カニが脱皮しました。

脱皮後の殻を見て、「カニ、死んじゃったの?」と聞く子ら。

ちゃんと生きています。

これは脱皮後の殻なんですが、あまりにカニそのもので、

脱皮したカニを確認しなかったら、「これが抜け殻ってまさか……」と

わたしも半信半疑でした。

 

抜け殻の目玉部分は半透明のカバーのようです。

 

年長と1年生のグループで引き算のゲームを作って学びました。

まずは、簡単な計算から。

輪ゴムを2つ投げます。

輪ゴムでかかった数の大きい方から小さい方を引きます。

 

「簡単、簡単」と計算好きの年長のAくんは、

900や100などを数に加えて輪ゴムを投げました。

答えが言えたので、800の数の札をもらいました。

 


【7月23日付け】今夏イベントの連絡について By 事務K

2016-07-23 15:36:58 | 連絡事項

 

※最新(7月23日現在)のご連絡状況です。

 

 

こんにちは~

ひと段落してお仕事頑張っています!

 

虹色教室事務Kです!!('ω')

 

やっとこさ、参加予定者さまに1通目のご連絡が完了いたしましたので、ここでお知らせいたします。

23日付でほぼ皆様にご連絡が確定メールまで完了しております。

 

明日香ママさま

名指しにて失礼致します。

 

ご連絡先の記載がコメント欄に御座いません。

お手続きを進めるため、ご連絡先をコメント欄にまでお知らせください。

 

現在お手元に届いていない方はお手数をお掛け致しますが、再度コメント欄にご連絡先をご記入ください。

ぞの際の注意点は↓こちら↓。

 

 

☆該当者さまへ投稿時の注意

コメント記入画面になりますと[名前]・[タイトル]・[URL]・[コメント]と出てきます。その際、[名前]の欄に募集記事や発表記事にて必要事項として挙げております【H.N.】をお書きください。

 

また、[コメント]の欄にご本名やメアドなどの連絡先をご記載頂きますので、此方の方で非公開にて拝見させて頂きます。連絡先の記載をお間違えないようにお願い致します。

 

下記にH.Nのある方は、この記事のコメント欄に【H.N】・【保護者氏名】・【電話番号(携帯)】・【メールアドレス】の計4点をお書きの上、投稿下さいますようお願い致します。H.Nは申込時のものでお願いします。変更されたい場合はその旨も一緒にお知らせ下さい。

 

 

合わせて必ず【迷惑メール】に振り分けられていないか確認をしてください。

こちらはYahoo!メールよりお送りしております。

 

 

 

さて、まだやることはありますが、明日はお祭りの準備で対応出来ません。

ごめんなさい…m(__)m

 

明後日は復活致しますので皆様ご確認のほど宜しくお願い致します。

 

晩御飯が決められない…

買い出しに行けば決まるだろうか。

 

ぐぬぬ…"(-""-)"

 

事務K


考える方法 と 行き詰った時の解決法 3

2016-07-23 08:00:21 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

考える方法 と 行き詰った時の解決法 1

考える方法 と 行き詰った時の解決法 2 の続きです。

 

小4のAちゃんは考えることが得意な女の子です。

Aちゃんはできるようになったことを誰かに教えるのが大好きで、

「わかった」と納得するとすぐさま、

「先生、どうやって解くのか、わたしが説明してもいい?」

「○○ちゃんに、この問題がどういう意味が教えてあげてもいい?」とたずねます。

 

「まだみんな自分で考えたいだろうから、もう少し待ってね。

答えあわせの時間にはAちゃんが先生役をしてね。」

教室では、そんなやりとりをすることがよくあります。                                                            

 

Aちゃんは、「考えるのが得意だから教えている」というより、

「教えるのが好きだから、わかったことを、他の人にもわかるように説明しようと

するうちに、考えるのが上手になっていった」というほうが正しいように思います。

 

誰かに上手く説明したいから、本当の意味で理解するまで、

「わからない。こうじゃないの?ここのところがよくわからない」と言い続けて、

納得しない一面も、Aちゃんの思考力を鍛えています。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何個かあるお菓子を3人で分けたら、それぞれの子のお菓子の数と

あまったお菓子の数が同じになりました。

最も数が多い場合、お菓子はいくつでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という問題で、最初Aちゃんは、

「こんなの問題がおかしい。だってそれぞれの子のお菓子とあまったお菓子が

10個だって、28個だっていいってことでしょう。多い場合だから。

だったら、答えは無量大数だもん」と言っていました。

そこで、お皿に小物を分けさせて、1個ずつの場合、2個ずつの場合……と

試していき、3個ずつ分けて、あまりも3個にしたところで、

「これだと、あまりじゃないよ。3個あるならみんなに分けてよって苦情がでるわね」

と話すと、「あーわかった!あーわかった、わかった!」と飛び上がって喜んで、

それでも納得がいかない友だちのBちゃんに説明しはじめました。

 

 

「何個かあるあめを7人の子で平等に分ける時、

それぞれの子が持っているあめとあまりが同じ場合どうなるか」という

Aちゃんの解説。

他の子らが理解した後も、Aちゃんは誰かにこれが説明したくて、

「先生、じゃあ、10人の子の場合で、先生に説明してもいいですか?」と

たずねたり、迎えにきたお母さんに教えたりしていました。

 

わたしはほかの子たちに、

「誰かに教えること、説明することで、『わかった』が、『すごくわかった』に

なるし、何度も教えて、何度も説明すると、

『すごくすごくすごくわかった』になるよ」と言いました。

 

それから、「心の中にまだクエッションマークがいっぱいなのに、

わからないって言ったら恥ずかしいから、わかったって言ってしまう時があるよね。

でも、誰かに説明できるくらいわかるまで、

わからない、どうして?って納得しないのは、少しも恥ずかしいことじゃないよ。

本当にわかるまで、わからないって何度でも言えばいいよ」と言いました。


セブンイレブンの自動ドア→シャッター→映写機→トイレの花子さん

2016-07-22 20:54:46 | 工作 ワークショップ

 

夏休みの年中グループの算数レッスンでの出来事。

ひとりの子が教室にあるセブンイレブンのおもちゃで遊びはじめました。

上部にあるボタンを押すを自動ドアが開閉するおもちゃです。

「みんなも、そんな風に自動ドアが開いたり閉じたりするセブンイレブンのお店作ってみたい?」とたずねると、

「作りたい」「作りたい」という声があがりました。

 

そこで工作初心者の子もあっという間に作れる開閉するドアの作り方を見せました。

紙コップ2こを重ねて

ドアの部分を切りとったらできあがり。

重ねたコップをくるくる回すとドアが開閉します。

 

集まった子たちは、たちまち夢中になって作りだしたのですが、

なかには、「難しい」という子もいました。

が、その子は次の瞬間、紙コップをお店にかぶせて、「シャッター」と言いました。

「夜だからシャッターが閉まっている」とのこと。

「そうだよね。シャッター閉めないと!!」

コンビニが24時間営業かどうかはさておき……「でも、このシャッター、屋根の上からカポッてかぶさっているね。」

と言うと、「それなら、上の部分を切ればいい」とのこと。

すてきなシャッターができました。

コップを重ねた時の内側の壁をきれいに色づけている子がいました。

内側のコップを透明のものに変えて、映写機にすることに。

後ろ側に小さな穴を開けて、そこからプッシュライトを照らすと、壁にきれいな画像が映りました。

映写機ができたところで、切りとった部分にドアをつけて、

トイレの花子さんの学校のトイレを作ることになりました。

こちらもライトを当てると、壁に花子さんが映ります。


考える方法 と 行き詰った時の解決法 2

2016-07-22 08:45:29 | 通常レッスン

 

PHP研究所から出させていただいた本を購入してくださった方、購入を検討してくださっている方、

どうもありがとうございます。

本を読んだ方からこんな感想をいただきました。はぴさんありがとうございます。

 

詳細はこちらで見てくださいね。

http://www.php.co.jp/family/detail.php?id=83303

--------------------------------

なおみ先生!本、読みました。

ずっとバッグに入れていて、隙あらば読んでいます。
何度読み返してもいいですね。
久しぶりにいい本でした。
すばらしかったです。
わかりやすいし、参考になります。

しかもイラストが先生の雰囲気そっくり!
イラストレーターさんとお会いされたのでしょうか?
編集者の方も素晴らしいと思いました。

真似できるものはすぐに真似しますよ~。

先生がよく書かれている
ぼんやりする時間、ゆったりする時間から
心がけたいです。

ぜひ第2弾!お待ちしています。

--------------------------------------

ピッケのつくるえほんのワークショップで小2のAくんが

『くりんの木さがし』というすてきな絵本を作りました。

下の写真は、作品の一部です。

 

りすのくりんの家であった木が倒れてしまったため、

新しい家にする木を見つけにいくストーリーです。

 

 

この作品を作る過程で、Aくんは最後のシーンを作った後で、

先に作ったシーンに戻って手を加えました。

「倒れて枯れた木と周辺の環境」と

「新しく探し出した木と周辺の環境」の変化を際立出せるためです。

 

Aくんは、下の「新しい家にすることにした木」のシーンと

上の「倒れた木」のシーンについて、他の子らに説明しました。

 

「(下の)この絵の木は、いろんな実がなっていて、花も咲いていて、

木のまわりもいろいろな草や花があって、どんぐりも落ちている。

初めは、(上の)前の絵にも、どんぐりとか草とかもっと置いていたんだけど、

最後の絵と比べた時に、どんなふうにちがうかわかるように、

きのこのついている切り株と草だけにしたんだよ。

青い倒れている木は枯れているから青いんだ」

 

最後の作業を終えてから、

それまでしたことを振り返って、おかしな部分はないか、もっとよくなる方法はないか、

と考えてみるのはすばらしい知恵ですね。

 

工作をする時も、算数や他の学習をする時も、とても役立つ頭の使い方だと思います。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

年中のBちゃんの頭の使い方は、まるで見ているものに吸い込まれてしまうほど

真剣に物を眺めて、相手の言葉に全身全霊で耳を傾けることから始まります。

 

Bちゃんは、誕生日のプレゼントにシルバニアファミリーのお家を

買ってもらう予定だったそうです。

でも買い物に行った先で、上の写真のような

広げるとお城の中とお庭があらわれるポップアップ絵本を見つけて、

「どうしてもこれがほしい、シルバニアのお家よりもこっちがいい」と

言い張ったのだとか。

Bちゃんは工作が大好きなので、プレゼントにこの絵本をもらうやいなや、

「これと同じものが作りたい」と言いました。 

といってもBちゃんの手に余る大掛かりなポップアップの仕掛けです。

そこで、「虹色教室で作る」という流れになりました

 

Bちゃんといっしょに長い間、うっとりとこのポップアップ絵本を眺めた後で、

「Bちゃん、どの部分が作りたいの?どこがすてきだと思う?」とたずねました。

Bちゃんは庭にある六角形の噴水と植物で作った迷路を指さしました。

 

Bちゃんの指さすそれは、とても魅力的なポップアップの仕掛けでした。

 

「六角形の秘密」とでも名付けたいような

六角形という形を生かした仕掛けなのです。

 

作り方は単純です。

紙を帯状に切って折って、六角形のわっかを作ります。

 

六角形はふたつの向かいあう辺が平行ですよね。

Bちゃんとは、「平行」のことを、手のひらと手のひらの間に少し隙間を開けて

向かいあわせて表現しています。

向かいあわせの平行な辺の上も下も山の形に辺がつながっていますから、

それがぺったんこになったり広がったりするのです。

 

この平行な辺と辺をセロテープでとめて、他はとめません。

すると、とめていない部分の辺が開いたり閉じたりして、

ぺったんこに折りたたまれたり、六角形に広がったりするのです。

 

できた部分はプレゼントとしてもらった絵本に比べると、ほんの一部です。

でも、Bちゃんは、心から満足した様子でした。

真剣に、ポップアップ絵本を覗きこみながら、

「次はこことここを作る」と夢を膨らませていました。

 

 

 


夏休み 年長グループの算数クラブ

2016-07-21 21:47:02 | 算数

 

年長グループの子どもたちと算数の工場を作って遊びました。

最初、10の小豆が入ったボトルがトミカのエスカレーターを上っていきます。

ボトルが落ちた先のダンボールには

モーターでぶるぶる振動するしかけをつけています。

振動でボトルは穴の中へ。

穴の中には、ブロックの車が待機しています。

ボトルを乗せて、レールを走ります。

 

工場遊びをしながら、算数の当てものクイズ。

 

コップの3分の1ほどどんぐりを入れると、15個でした。

「20?」「30?」「40?」と推理する子ら。

「40?」と言った子は、最初に入っている量が15で、

それが2倍になっても、まだ入りそうだからという理由で40としたそうです。

手に5ずつどんぐりを持って入れながら、

「20、25、30……」と入れていってだいたい40くらいのところで満杯。

当たった子は、心から満足そうでした。

 

回転させながらボトルを落としていく道具でも算数の当てものクイズ。

最初にボトルを置く時、10個入りボトルが4つ置けます。

2回回転させると、何十個落ちていくでしょう?という問題は、

全員、正しい答えが言えていました。

 

大人気だったコードマスターという論理パズル。

 

コヨーテというゲームの答え合わせ場面。

全部たしたりひいたりするといくらになるか、

子どもたちに計算してもらっています。

 

 深海魚のゲームで計算と記憶の遊びをしました。

最後に各カードのレア度の★を10として得点を計算しました。