虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

好きの範囲が広がって <大科学実験がしたい!>

2016-05-25 09:19:29 | 理科 科学クラブ

ビー玉転がしのような男の子っぽい遊びが好きな年長のAちゃん。

ままごとや人形遊びにだけ興味を示していた状態から、

工作に夢中になる時期を経て、最近になって、

「実験!実験がしたい!」と言うようになった年中のBちゃんのレッスンで。

 

教室に着くなりAちゃんが、「大科学実験みたいなのがしたい!」と言いました。

大科学実験は、Aちゃんが大好きなテレビ番組です。

そこで、Aちゃんのいう「大科学実験」とはどんなものなのか詳しくたずねてみると、

「高いところから、○○が、バーンって落ちて~!!」とぶっそうな内容でした。

 

「Aちゃん。その大科学実験、面白そうだけど、危なくないようにやらないとね。

落ちても壊れないものを使って、教室も壊れなくて、怪我もしないようにやらないと!」

と言うと、AちゃんもBちゃんも「うん」「うん」といい返事。

 

 そこで「なんちゃって大科学実験」。

「紙で作った入れ物にスーパーボールとビニールのひよこ人形をそれぞれ入れて

2メートルの高さから落とすとどうなるか」というもの。

容器を紙にしたのは、たとえ紙箱でも、ある程度の高さから落とすとなると、

衝撃で床に傷がつくんじゃないかと心配だったからですが……

AちゃんもBちゃんも紙の容器の作り方に強い興味を示していました。

切り込みを入れるだけで平面が立体になる様は子どもたちにとって

魅力があるようです。

 

まず、重さの測定。

でも、どうもうまく量れていないような……。

 

そこで、別の容器に入れて量りなおし。やはり値が違いました。

さっきは底部分がはみ出して、左右の床についていたんですね。

他にも、重さが限度を超えてしまって正しく量れない時もあります。

こんな風にうまくいかない場合も、発見の連続です。

 

 

「よいしょ」と引きあげて、2メートル地点で

ひもから手を離します。

あひるだと、パラパラと5,6羽、飛び出す感じ。

スーパーボールは……というと、

 

部屋一面にスーパーボールが飛び散る大惨事。

 

でも、それより何より、あまりに喜んで、テンション最高潮で

はしゃぎまわるAちゃんとBちゃんの声が響きすぎて、

近所迷惑になっていないか……とヒヤヒヤしてしまいました。


巨大迷路作りをひとりで黙々……

2016-05-25 09:03:31 | 工作 ワークショップ

 

小学2年生の☆ちゃん。

何かを作り始めると、周囲を圧倒するようなエネルギーで、黙々と作り続けます。

ブロック講座ではハムスターのおせち?を作り、

教室内にハムスター敷き詰め遊びを流行らせました。

 

今回、「迷路が作りたい」と言うので、色の木の棒や色板を用意してあげると、

細部に工夫をこらしながら

休むことなく巨大な迷路を作り続けました。

  

1時間あまり迷路作りに没頭した後で算数の学習。

 

できあがった迷路にハムスターを敷き詰めて、

迷路を走っているところを作りたかったそうで、

長文の文章題も大急ぎで解き終えました。

ところが丸つけをしたところで帰宅時間に……。

「ハムスターが……置きたかった!!」と残念がりながらも、

自分の作った作品に満足気な笑顔を向けながら帰りました。


基礎的な発見 16 <すでに身につけている技術を別の場面で利用する>

2016-05-24 18:33:43 | 子どもたちの発見

工作をするにしろ、算数やパズルの問題を解くにしろ、

すでに身につけている技術を別の場面で利用するようになると

急速に上達しはじめます。

 

1年生のAくんは、ブロック遊びや工作に熱中するうちに、

一度、何かを学んで身につけると、あらゆる場面で使ってみるようになりました。

 

この日、牛乳パックで作った車を教室に持ってきたAくん。

自分の作品をうれしそうに披露しながら、「本当に乗れる車が作りたいよ。

エンジンとか機械のところがちゃんとついているのを!」と言いました。

 

なんとか箱をつぎたして、自分が乗り込める車を作った後で、

「前のところをパカッと開けるとエンジンとか機械とかがあるようにしたい」

と言いました。

Aくんがエンジン作りを始めたので、他のグループの子が思いついた

トイレットペーパーの芯に切り込みを入れて折る方法を教えたところ、

さっそくその方法を駆使してエンジン部分を作り始めました。

 

感心したのは、トイレットペーパーの芯に切り込みを入れるという方法を

紙コップや丸めた紙など、筒状の形があるところでどんどん使っていたところです。

 

また、これまで高架の上の線路や道路などを作ってきた時の方法を採用して

筒と筒を紙でつないで、機械と機械がつながりあっているところを再現していました。

 

ボンネットを開けるとこの通り。

 

「車のドアが開いたり閉ったりするようにしたい」と切り込みを入れ、

「ちゃんとカギがかかるようにしたい」と、箱についていた取っ手を使って

カギがかかるようにしました。このあたりの問題解決はわたしがお手伝いしたのですが、

「車の後ろの壁がちゃんと立つようにしたい」とか、

「小さく折りたたんで、お家に持って帰れるようにしたい」

というアイデアは、友だちが口ぐちにアドバイスをしていました。

 

「壁が倒れないように、箱を貼ればいい」というBくん。

「倒れない」という点ではいいアイデア。でも見た目が……。

 

乗れる車をこんなに小さく折りたためるようにしたのですが、

お迎えにきたお父さんに、「大きすぎるから持って帰れないよ」と言われ、

目に涙を溜めながら、エンジン部分だけ持って帰ることに納得したAくん。

作ったものは、泣く泣く手放すことになったけれど、

次の作品作りに活かすことができる技術や思考法はたくさん手に入れたはずです。

 


算数が得意?苦手?の分かれ目 1 <苦手派から得意派に変わるきっかけ>

2016-05-23 18:07:51 | 算数が得意?苦手?の分かれ目

自分に自信がない、自己肯定感が低い子4の続きは、

時間がある時に書かせていただきますね。

 

教室で、算数苦手派だった子が、ある日を境に算数得意派に変わることがあります。

 

きっかけとなりえるのは、「いい点取った」とか、「他の子よりはやく解けた」とか

「褒められた」といものではなく、

問題を考えるプロセスでワクワクする面白さを味わったことがあるかにつきます。

褒められるのも、解いている時にワクワクするのも、

どちらも快感にちがいありません。

でも、褒められるだけでは、だんだん成績が落ちていくことや次の失敗が怖くなるけど、

後者の「解いている時のワクワク」は、

考えるための筋道やコツがつかめるからです。数学の世界の感性も高まります。

 

写真は4年生の子たちが虫食い算にチャレンジしている様子です。

ラミィキューブの数札を手に4人の子たちが、「ここは、絶対2よ。

だって、3×4=12だから」「こっちは、7がそのまま下りてくるから7よね」

とわいわい言いながら解いています。

 

算数が好きなAちゃんが、ここは繰り上がらいから、3以下の数しかありえない。

だって、3×4=12だから、1のところのケタが必要になるから」

といった推理をするなか、「7があまりってことは、ここはゼロよね」とBちゃん。

Bちゃんは、算数に苦手意識を持っていた子です。

完璧主義でできるできないが気にかかるタイプのため、すぐに答えが出せないと、

「わからない。できない」と考えるのをやめてしまっていたのです。

 

でも、4人で協力しあって

難しい問題にチャレンジする時は、自分の正解不正解を気にしなくていいためか、

「こうじゃない?」「ああじゃない?」と面白そうに参加していました。

そうするうちに、「ああ、こういうところに注目すると、答えがわかるんだな」とか、

「こういう数があるってことは、あの場合とこの場合が考えられるな」

といった推理自体が楽しくなってきました。

この日、Bちゃんが、「算数面白い」と感じた理由はもうひとつあります。

子どもたちが協力しあって解いた算数問題を

後でお母さん方にも協力しあって解いてもらう時間を設けて、

お母さんたちが考えに行き詰って困っている時に、

子どもたちが考え方のヒントをあげるようにしたのです。

 

お母さんたちが悩む姿を見ると、子どもたちは、

もっと難しい問題にチャレンジして先に解いておいて、

さらにお母さんを困らせてちゃえ!っとばかりに盛り上がります。

 

ほとんどヒントの数がない虫食い算(写真の左)にチャレンジ。

子どもたち、しっかり解けていました。

 

この日、円の面積クイズが大盛況でした。

みんな初めて円周や円の面積を学んだ子たちですが、

かなり凝った難しい問題の答えも出そうとはりきっていました。 

 


ハクトウワシへのあこがれ と 「75センチはどれくらい?」

2016-05-22 19:53:24 | 通常レッスン

小1の男の子たちのレッスンの様子です。

どの子もすばらしい作品を作っていたのですが、他の子の作品は別の日に紹介しますね。

ハクトウワシに憧れているAくん。

ハクトウワシへの憧れが強すぎて、爪をワシのように伸ばしたがっているそうです。

前回のレッスンでハクトウワシを作った際、

「もっと大きくて、本物と同じサイズのハクトウワシが作りたい」と

言い続けていました。そして、今回。

教室に着くなり、「本物のハクトウワシを作りたい。身体の長さは75センチで、

羽根を広げた時の幅は、225㎝だから。絶対おんなじに作りたい!」と言って、

黒と白と黄色の色画用紙を教室中から集めていました。

Aくんがハクトウワシについてあまり熱弁するので、他の子らも興味を持ちだしました。

そこで、オランダ警察でドローンを撃退して働いているハクトウワシの姿を

動画で見せてあげると、みんな大喜びしていました。

(動画はコチラ→  http://wired.jp/2016/02/02/eagle-vs-drone/)

 

75センチの胴体はどれくらいの長さか、

50センチや15センチのものさしを継ぎたして調べた後で、

トラを置き、自分も寝転がって、どのくらい長いか、実感しています。

Aくんが測ったところ、トラの首からしっぽの付け根までの長さと同じでした。

 

黒い画用紙が見つからなくて、誰かが黒い色画用紙を貼り合わせていたものを

再利用することになりました。

1枚の色画用紙の縦の長さを測ったところ、なんと25センチ!!でした。

偶然ですが、3枚連なっているので、25×3=75です。

 

とにかくでかいです。

仲良しのCくんの18番。「舟の作り方」を基本にして

ワシの胴体を作っています。

舟は紙を半分に折り、両端を曲線に切ってテープで貼り合わせ、

開きます。ワシの場合、上部にフタするように紙をつけ、

中にいらない新聞紙を詰めています。

 

黄色い脚に切り込みを入れた後、見た目をよくするためにセロテープで巻いていたら、

はみだしたセロテープが爪のように見えました。

「見て!!爪が作れたよ!」と大興奮するAくん。

それからがテープをぐるぐる巻きにして長い爪を作っていきました。

 

黒いももひきのような脚の部分は、

教室では定番のアイスクリームのコーンを作る方法で。

 

実物大のハクトウワシを抱えたAくん。すごく満足そうです。

算数は、2年生向けの足し算(いくつかの数を足して、500円にする計算)や

文章題(表の得点表を見ながらじゃんけんゲームの得点を計算する)をしました。

子どもたち全員、とてもよくできていました。

気候がいいためでしょうか、どのグループも意欲満々に学習に取り組む姿があります。


基礎的な発見15 <自分が発見したことを報告する>

2016-05-21 21:47:06 | 子どもたちの発見

小学2年生の男の子たち(1年生もひとり参加)のレッスンでの出来事。

『風林火山』という戦国国取りボードゲームで土地の奪い合いに、

「トントン相撲」で戦うルールを採用しています。

みなが転ぶか転ばないかは、人形の体型の違いによると思いこんでいた時、

Aくんが、人形をひっくり返して、「裏が少しでこぼこしているのと

つるっとしているのがあるよ。つるっとしている方が勝つよ。

それと、裏が大きい(広い)方が強い」と言いました。

「Aくん、すごい発見ね」と感心して、子どもたちを集めて、

Aくんの大発見を披露したところ、Aくんの笑顔がはじけました。

 

これまでAくんが自分から話かけることはあまりなかったのですが、

それからはどんなに小さな気づきでもわたしのところまで

報告しにきてくれるようになりました。

 

 

ボードゲーム後、スーパーボールすくいの道具を作りました。

この道具は、適当に切ったトイレットペーパーの芯にストローを1本貼りつけて

作るのですが、Aくんは2本貼りつけて、

「先生、1本だと、スーパーボールをすくう時にぐらぐらして取りにくいんだよ。

2本にしたら、勝手に動かないから取りやすくなったよ」と説明してくれました。

それを聞いたBくんが、「ぼくは3本ストローを貼ったよ」と言いました。

Bくんは、学校での学習につまずいて

すっかり自分に自信がなくなってしまった状態で教室に来はじめた子で、

自分の意見を言うことはほとんどありませんでした。

でも、「ぼくは3本ストローを貼ったよ」と言った後で、

「もっともっと伝えたい」「もっともっと自分が発見したことを言いたい」

という気持ちが溢れるような様子で、

「それから、このじゃばらのところにね、緑のテープを貼っておくんだ。

どうしてかというと、じゃばらのところが、ぐらぐらするんだよ。

ここを貼ったら動かないから、スーパーボールが動かないんだ」と言い添えました。

 

すくっては量ることを繰り返していた時、ちょうど500グラムすくった子がいました。

「コップ3ばい分で500グラムということは、

コップ1ぱいだとだいたい何グラムくらいかしら?」とたずねたところ、

2年生のAくん、Bくん、Cくん、1年生のDくんの4人が

真剣に考えて意見を言い合う姿に感動してしまいました。

「250グラムかな?でもちがうね。それだと、コップ2つの場合だもん。

500割る2は250でしょ?」

「じゃあ、200グラムずつだとしたら、200、200、

200だから600だから多いから150グラムずつにしたら、

150たす150は300で……」

「じゃあ、それだと、450グラムだから、まだ足りないから、

だいたい175グラムくらいじゃない?」とのこと。

この真剣さが生まれたのは、大人にしたらどうでもいいように映る

トントン相撲での人形の足の裏についての発見やストローの本数を

変えることについての発見を報告したことによるようでした。

自分の内面から生まれる言葉を口にして認められると、自信を持って

自分の言葉を口にするようになりますから。

 

 

Bくんが発見したすくう道具の角度が

どんな場合もスーパーボールが落ちない切り込みの入れ方。

 

↑Bくんの発見。

 

 Aくん作。最強無敵のスーパーボールすくい。

 

 

Cくんがはかりのめもりが指しているところを

大きく書きなおしためもりの紙で示してくれています。

「Cくん、ひとめもりは何グラムなの?」とたずねると、「5グラムだよ」との返事。

「めもりは、5グラムの半分ね」と言って手の平をさしだして、5を2つに分けると

だいたいいくつといくつだと思う?」と聞くと、

「だいたいじゃないように言いたい、うーん、2.5でしょ?」と答えました。

「わかった152.5グラムだ」とのこと。Cくん、ナイスです。

小数点は習ったことがないのですが、普段の生活で見聞きしていることから

わかったようです。

すると、Dくんが、「それ知らない。どういうこと?」と寄ってきました。

ものさしを見せて、1を10個に分けたうちの1つが0.1と説明すると、

「それなら、ここが1.1でここが1.2」と一生懸命読もうとしていました。

 

芯を長いサイズにして、「たくさんスーパ^ボールをすくえるのを作ったよ」と

報告するAくん。

 

興味を持っていたBくんに上のような絵をかいて

円の半径がいくらになるのかたずねると、

「10,10、10,10だから、5でしょ?」としっかり答えていました。

 

 算数タイムは、いつになく大盛りあがり。

「計算させて」「ぼくが解きたい」と意欲にあふれていました。


工作での材料の使いすぎにどう対応したらいいでしょう?

2016-05-20 14:46:07 | 工作 ワークショップ

2歳児さんの工作 <「できること」「やりたいこと」から 創作へ>

の記事にこんな質問をいただいていました。

ずいぶん返事が遅くなってしまったのですが、

ちょうど材料の無駄遣い道まっ盛りの2歳児さんが

教室に来ていたので、レッスンの様子の紹介がてら、お返事を書こうと思います。

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工作中に一心不乱に何かに取り組んでいる時の声掛けについて。

以前先生が打ち込んでいる時は見守り、あとから一言添える事がいいとかかれていた

記事があった覚えがあります。大人からみると使いすぎに見える行為について

私はつい使いすぎだからとか今日は1つにしようと娘に声をかけてしまいそうになります。

今回の切る行為については

本人の納得するまでやりたいようにやらせてあげたと思うんですが、

その時に行為を制限するような声はかけない方がいいのでしょうか(;^_^A?

大人としては無駄遣いに拍車がかかるのでは!!と思ってしまいます。

又、工作中に雑に色を塗っている娘(私から見ると)に声を掛ける必要があるのか

教えてください。例えば、ここは色がないよー。

たくさんの色を使おう!といったものです。

大人の声かけの内容としては、作ったもので一緒に遊ぶ、ブロックや人形遊び、

ほかの工作と組み合わせて発展させるくらいで、見た目をよくするような声掛けは

控えた方がいいのでしょうか?

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使い過ぎについてひとこと添えるかどうかは時と場合によりけりでしょうが、

ちょうど

自分に自信がない、自己肯定感が低い子 3

の記事で書いたように、

子どもに何を伝えるにしろ、(見守るにしろ、断念させるにしろ)

子どもの体験を大人の目線だけで眺めないように気をつける必要があると思っています。

 

 

2歳くらいの敏感期の子は、セロテープなんかも1時間に1本使いきるペースで

無駄な使い方するので、

たいていの親御さんが注意してやめさせるべきか、見守るべきかと悩むようです。

基本的にわたしは子どもが一心不乱に取り組んでいる場合、材料の無駄遣いがあっても

本人が限界までやりきったと感じるまでつかわせています。

 

敏感期ではない子の無駄遣いは、満たされなさや気分の高揚を解消しようとする

場合もあるので、別の対応が必要なこともあります。

 

 今回は、2、3歳の敏感期の子についての話です。

2歳のAちゃんは、「テープを引っぱって、はさみで切って、ペタリと貼る」という

一連の行為が楽しくてたまらない様子でした。

4歳のお兄ちゃんがスーパーボールすくいの道具を作るのを真似て

自分もストローをトイレットペーパーの芯に養生テープで貼っていたのですが、

すっかり「テープを引っぱって、はさみで切って、ペタリと貼る」ところが

気に入ってしまって、何度も何度もそれを繰り返していました。

 

存分にやらせてあげたいものの、さすがに養生テープはもったいなくて、

5重がさねのテープの山ができていたところで、セロテープをと交換しました。

するとAちゃんはセロテープをどんどん引っぱりはじめました。

テープを引っぱると、どんどん長いテープが現れることに心を奪われたようです。

 

これも、とことん引っぱらせてあげたいけれど、

セロテープではさすがにもったいないので

Aちゃんといっしょに工作で「セロテープ」を作ることにしました。


キッチンペーパーの芯に紙テープを貼って作ったセロテープ。

紙テープの代わりにいらない広告紙などを切ったものでも十分です。

レシートなどを貼るのも喜びます。

Aちゃんはくるくる巻きこむ作業が気に入って、この工作に魅了されていました。


子どもの「もっともっとやりたい」というエネルギー

何度も何度も繰り返して技能を習得していくプロセス

何にもまして大切なものと感じています。

本来なら、そうした子どもの旺盛は創作への熱意は、

自然にある砂や葉っぱや木の実などで満たされるべきなんでしょうけど、

それができない状態なら、次のような「材料の無駄遣いへの付きあい方」を

試してみては?と思いました。


① 無駄遣いを始めたところで、無駄に使ってもいいものと交換する

折り紙を無駄遣いするようなら、いらない新聞や広告の紙を与えるなど。


②リサイクル可能な状態で要求を満たす

切り刻んだものを集めて、別の工作で使ったり、今回のように

行為を満喫できるものを工作するなど。


③2、3歳の敏感期の子が無駄遣いする場合、

「セロテープ3本分くらいは無駄にさせてあげよう」

「折り紙2セットくらいは無駄にさせてあげよう」

「100円ショップの紙コップを3回使い切るくらいは、使わせてあげよう」と

大きく構えていても、けっして物を無駄遣いに拍車がかかったりはしません

繰り返しやりきった後は、次のより高度な活動へと移っていきます。

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もうひとつの質問の色塗りのアドバイスは、全く不要だと思いました。


自分に自信がない、自己肯定感が低い子 4

2016-05-19 15:28:22 | 自己肯定感を育む

 

前回の記事にこんなコメントをいただきました。(もとのコメントは非公開にしているものですが、子どもの名前の部分以外は公開することを許していただいているので紹介します)

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以前保育園の保護者の方の様子を見て、子供の要求と保護者の希望を混同している

保護者が多かったこと、さらには大人の希望のみで子供の要求に

気付いていない保護者が増えてきたと感じているとコメントでも書いたことがありましたが、

どうしてそんなことを感じたかと言うと、自分の軌跡だと気付いたからだと思うのです。
同様に、この一連の“自分に自信がない、自己肯定感が低い子”の記事を見て、

このAくんもお母さんも両方とも私であると感じました。

最近も、自分と他人との境界について考えることがありますが、

私は子供の頃、他人の気持ちに敏感であるために、自分の

考えがわからなくなっていたのかなと考えています。そのまま成長し

、合理的な考えでしか判断できない大人になっていたのだと考えています。

大人になるにつれて他者の気持ちを優先しなくても良いようになったから

楽になったようでいて、自分のこともわからないままだったため、

なにか軸のようなものを見失ったまま、生きている実感がないような感じでした。
自分の子供がうまれたとき、久しぶりに他者の気持ちと通じる必要が出てきたけど、

すっかりその他者と通じる感覚を忘れていました。

もちろん自分というものも見失ったままだったので、子供がもっと小さい頃は、

合理的な考えや浅い部分で感じる自分の欲求と子供との関係をバランス

ゲームのように築こうとしていたのかなと考えています。子供がそれで問題なく育てば良いけど、

うちの子供たちは、敏感さをもつ、他者との境界があまりはっきりしない子供たちだったから、

押し付けがましい周囲の考えはどんどん子供たちの内面に流れていくけれど、

子供自身は自分の欲求と折り合いをつけないといけなかったから

だったからしんどかったでしょうね。それで色々問題が起きたのかなと

考えています。そこではじめて、子供がなにを考えているか、問題がどうしておこるのか、子

供のことを知りたいなと考えるようになりました。

ひたすら育児書などをみたけど私の知りたい答えは見つかりませんでした。
結局子供を知る、感じることができるようになってきたきっかけは、

自分をみつめたことでした。自分の感情に相反するものが存在すること(両義性)と、

子供の頃の自分にあったもの(先生の娘さんたちが起こした会社の面接など)

を見つけたことでした。子供との関係で、自分のなかに絶対的な善悪や基準など

の境界がなくても良くて、色々な状況に応じてフレキシブルに動きうる、ファジーさ

を残した境界があれば良いのだと実感したことと、子供のころの自分と

目の前の自分の子供が同じであり、子供という存在の普遍性を感じたことによって、

子供と自分にバランスのよい境界をつくっていこうと考えることができたのだと思います。
子供たちのお陰で、これからも子供の頃に失ったままだった自分を

見つけられるのではないかと思っています。もしかしたら、

子供の頃に見失ったからこそ、見つけられるものがあるのではないかなと予感しています。

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何度か紹介させていただいている『マイコー雑記』というブログで

一次体験を堪能しておくと二次・三次情報に触れても 好奇心の勢いや理解の深さが違う

 という記事を読みました。

この数年、密かに抱えていた悩みを解決する糸口を見いださせて

いただいく内容でした。

悩みというのは、こうしたことです。

わたし自身は教室で子どもたちと驚いたり感動したり

わくわくする気持ちを探究したり真剣に考えをめぐらせたりして、この記事にある一次体験というものを

どっぷり堪能した後で、そこから生まれた気づきや知恵やアイデアを言葉にして伝えています。

でも、そうして一次体験の先にあるものを目にすることで、受け取る親御さんのなかには、

マイコーさんの記事にあるように、体験を子どもが味わう間もなく、「これを機会に学ぼうモード」に

なってしまう方がいらっしゃるのです。

それはまだいい方で、ちまたでは、一次体験をすっとばして、二次・三次情報だけで

子どもの環境を作ってしまおうとする動きもあります。

ブログを読みやすくする意味で、「○○する方法」というタイトルで記事を書くことも

あるのですが、本当は、子どもが生きていることを実感できるような一次体験が土台にあって、

その体験をより豊かな実りあるものにするための工夫を言葉にするつもりが、

読み手に伝わる時には、本末転倒して、「○○を習得させるという目的のために、子どもに

こういう体験をさせる」という形に変形してしまうことも多々あるのです。

 

前回までの記事で、大人の目線で子どもの体験を眺めることについて書いてきましたが、

それは言い換えると、「子どもが一次体験を堪能する」ことの軽視とも言えます。

また、コメント主さんのおっしゃる

「子供の要求と保護者の希望が混同されること」や「大人の希望のみで子供の要求に

気付いていないこと」とも言えるのかもしれません。

 

親のみならず子どもに関わる専門職の方や、

子ども思いの気持ちの優しい親であっても、自分がしらずしらずそのようにふるまっていることに

気づかないほど、そうした関わり方が多数派になりつつあるのを感じています。


自分に自信がない、自己肯定感が低い子 3

2016-05-18 21:01:56 | 自己肯定感を育む

常識的な配慮だと思いながらも、

Aくんとお母さんのやり取りが心に引っかかったのは、お母さんはどこまでも

大人の目線でAくんの体験を眺めていたところなのかもしれません。

少しの間でもAくんの目線まで降りてみたら、やりたいことがあれもこれもあって、

やってみたらうまくできた喜びに満たされて、

もっとすごいことができそうだと予感して

いいものも見つけたし、やってみたいアイデアもあるし

ちょっとアクセルを踏み過ぎちゃったほど心が自信で膨らんでいたのだということに

気づいたかもしれません。

ですからら、たとえ、今回、「それは教室の大事なものだから持って帰れないよ」と

伝える状況だったところで、

まず、「いいもの見つけたね~」「それで作るもの思いついたの?どんなもの?」と

興味を抱いてたずねたり、自信がついてあれこれやってみたくなっている心を

励ますような代替え案を用意したりできたはずなのです。

 

先の記事で、Aくんは、

「誘う→

いやいや参加する→

すぐに飽きて別のことを始める→

しばらくすると戻ってきて、最初の活動(特に工作)がやりたいという→

自分なりのアイデアや「こういう風に作りたい」「これが作りたい」という→

そうして自分発でやりたがったことは最後まで熱心にやり抜く→

「もうひとつ作りたい」「これもやってみたい」と次にやりたいことに思いが膨らむ」

という参加の仕方をしていたという話を書きました。

 

こうした姿を大人の目線だけで捉えていると、

大人側が意図している活動への誘いにスムーズに乗るかどうか、

それに一定時間、取り組めるかどうか、のみに注意が向きがちです。

カリキュラムがかっちり決まっている園でも、

集団で同じ課題に取り組ませる時の反応だけ見て、子どもの意欲や集中力のあるなしを

判断してしまうのかも……と感じています。

 

話が途中ですが、次回に続きます。


『くるくる棒』と算数遊び

2016-05-18 09:11:12 | 算数が得意?苦手?の分かれ目

折り紙の本に載っていたキャンディーのような棒の作り方を紹介します。

折り紙2枚を上の写真のように少しずらして重ねます。

端からくるくる巻いていって巻き終えたらテープでとめます。

 

危険なほど固くないけど、簡単に折れたりしない強度があって

とても美しいこの棒。

幼い子も学習で図形を学んでいる子も夢中になって遊んでいます。

 

写真は2歳児さんたちの遊びの様子です。

形を作って動物たちを入れています。

先月、『3の本』という数の手作り本をいっしょに作ってから、

「3」が大好きな数になったというAちゃん。

さいころを振りながら、3の目が出ると大喜びしていました。

 

少し大きな子たちには、

「棒をふたつ動かすと、お家がたおれちゃうよ。どうすればいいかな?」と

マッチ棒パズルのような遊び方をしています。