虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

年長さんたちは考えることが大好き ♪

2014-05-25 17:34:51 | 通常レッスン

 

年中のAちゃん、年長のBちゃん、Cちゃん、Dちゃんのレッスンの様子です。

 

『アナと雪の女王』 大人気ですね。

先日も2年生の女の子が、「普通の『アナと雪の女王』の映画と

3Dの『アナと雪の女王』の映画の両方見に行ったよ。今度は、英語の『アナと雪の

女王』の映画を見に行きたいの!」と言うのを聞いて驚いたばかり。

さすがに映画館に何度も足を運ぶという子はそれほどいなくても、

教室に来る女の子の大半が『アナと雪の女王』のファンで主題歌を口ずさんでいます。

このグループの子たちも『アナと雪の女王』の公式ファンブックや絵本を持参してきて

映画の話で持ち切りでした。

今日、どんなことがしたいのか話合うときも、全員、一も二もなく

「アナと雪の女王!」でした。

 

時折、登場する蚊帳です。雪の世界らしくする必要があるというので、

特別に出してきました。みんな大はしゃぎで手芸用の綿を雪に見立てて

雪合戦をしていました。

その後、色画用紙でアナと雪の女王の世界を作ることになりました。

 

いつも感じるのですが、年長になると

考える活動が楽しくなってくる子がとても多いです。

年中さんくらいまでは、「とにかくやってみたい」という身体の要求が先で、

動いて初めて「わかる」「考えるのが面白くなってきた」という子がほとんどです。

でも、年長になると、「考えること」を求めて遊び始める子も多いし、

考えていく持久力のようなものもついてきて、

失敗が続いたり、面白くない展開になったりしても、すぐに投げ出さずに、

「もうちょっと考えてみる」「まだやめたくない」と言ってふんばる子も増えてきます。

 

算数タイムに数字当てクイズをしました。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1から8までの数カードが1枚ずつ用意しています。

子どもたちが目を閉じている間に、4枚のカードを裏返し、

そのうちの3枚は左から小さい順に並べます。

残りの1枚は、わたしが手にしています。

 

数を当てるのは、小さい順に並べている3枚です。


数を当てる役の子は、まずわたしの持っているカードについて、

ひとつだけ質問をすることができます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カードを持っている人(わたし)に

どんな質問をするかで、カードが当たる確率が変わります。

たとえば、下の写真のような状況でしたら、

わたしに、「そのカードは2ですか?」と質問すれば、

わたしが「はい」と言えば、一番左のカードは4ということになりますし、

「いいえ」と言えば、2だとわかります。

場合によっては、「そのカードは3より大きいですか?」とか「4より小さいですか?」

といった質問をした方が有利な時もありますね。

年長さんたちは、まだどの質問が一番有利かということはわからないまでも、

質問をすることによって、正しい推理を働かすことがとても楽しそうでした。

みんなしっかり解けました。

 

 『イロトリドリ』という数独風のパズルをしました。

最初に問題を見ながら、色のついた人形を置いていってます。

その後、縦一列、横一列、3×3のマスが全て異なる色になるように

人形を置いていきます。

数独風のパズルは初めての子らですが、ルールをすぐに呑みこんで、正しい推理が

できていました。考える時間が長くなってきたので「そろそろ終わりにしようか?」

と声をかけたのですが、一斉に「まだ、する!」と言っていました。

お母さん方からは「家でも、年長になってから、折り紙で折鶴を何度も折りたがったり、

あやとりを長く続けたがったりするなど、根気の必要な遊びを好むようになった」

という報告をいただきました。

 


ツタンカーメンの秘宝作り

2014-05-24 21:37:44 | 通常レッスン

小4のAちゃん。今日はグループのほかの子らがお休みだったので

年長の妹さんと一緒にレッスンを受けることになりました。

Aちゃんは最初、教室に飾ってあった「埴輪」を作りたがっていたのですが、

粘土が切れていたので、ツタンカーメンの秘宝を作ることになりました。

ツタンカーメン展の冊子をカラーコピーしたものに、プラバンの板をかぶせて

作っています。スパンコールやビーズやきれいな小石などを貼って作成中。

 

妹さんも上手に飾りつけています。

 

妹さんの作品。かばんになりました。


ドラゴン と 混じりあわない液体

2014-05-24 20:49:22 | 通常レッスン

小3のAくんと小4のBくん。

Aくんは大のドラゴン好き。こんな素敵なドラゴンを作っていました。

 

わたしもAくんを真似てドラゴンを作ってみました。

お腹につけたゴムを引っぱると、自然にパタパタと羽ばたきます。

 

Bくんが、混じりあわない液体に興味を持って「どうして?」と何度も聞いていたので、

一緒に混じり合わない液体を入れたボトルを作ることにしました。

 

下の写真はペットボトルに、食用色素を溶かした水と油を入れたものです。

ついでに発泡スチロールの玉も入れています。

振ると全体が同じ色になるのですが、時間が経つと写真のような状態に戻ります。

 

算数タイムにAくんもBくんもいろいろな割り算の応用問題を解きました。

悩みながらも、わかったとき、うれしそうにしていたのはこんな問題です。

(最レベ問題集 3年生より)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちょ金箱の中には5295円あります。そのうち、10円玉は398まいで、のこりは全部

5円玉です。5円玉は、何まいありますか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

みどりさんは1500円の本を買うために、今年の4月1日から毎日7円ずつ

ちょ金することにしました。

みどりさんは、ちょ金をはじめてから何日目に本を買うことができますか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


自閉っ子が成長するとき

2014-05-23 12:56:08 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉っ子のAくんのお母さんからこんなコメントをいただきました。

ついでに先日のAくんのレッスンの様子を紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先日のレッスンで、懐中時計や掛け時計を作った、自閉っ子の母です。

あの日のレッスン以来、息子の遅延エコラリアと場にあっていない発言が激減しました。

もちろん、全くなくなったわけではありませんが、

家での様子が、以前が10だとすると、今は2~3くらいです。

外で不安を感じているときには増えますが、家で私とふたりのときは大変落ち着いて、

ゆったりと遊んでいます。自閉のため、親の私にも、一体どんな子なのかわかりづらい

ところがあったのですが、本来はこんな子だったんだなあと感じています。

ひとつの物をじっと見る時間が増えたためか、やたらに部屋を散らかすことも少なく

なりました。

先日のレッスン中も、レッスン途中に眠くなっていましたが、あれ以来、以前より早い

時間に寝るようになり、睡眠時間が増えました(以前から睡眠不足だったわけではありま

せんが夕方には眠そうにしています)。

脳のシナプスが繋がって、いま色んなことを吸収しているから疲れるんだろうかと夫と

話していたのですがあながち、間違いではないような気がします。

レッスンで、自分のイメージぴったりの時計を、自分の力で作ることができて突然、

現実とつながったのでしょうか。関わり方で子どもがここまで変わることに、

正直、驚いています。

まだまだ集団では問題も多いですし、指示に従うことも苦手な子ですが

長い停滞期(に、私にはみえた…)が、ようやく終わり、光が差し込んだ気分です。

何より、息子のこれからの成長を心から信じ、希望を持つことができました。

なおみ先生、本当にありがとうございます。

次回のレッスンも、親子で楽しみにしています!長文、失礼いたしました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3ヶ月前の2月のAくんの様子は

自閉症の子との会話を継続させる工夫 1

自閉症の子との会話を継続させる工夫 2

で記事にしています。

 

この時点では、それまでのこだわりに基づいた「時計盤の針をぐるぐる回す」遊びと

「エアコン等のリモコンのボタンを押し続ける」という遊びから、

物を床にぶちまけたり、ブロック作品をバラバラに壊してしまったりする行為が、

Aくんのおもな遊びになっていました。

叱ったりやめさせたりするのではなく、何がよくないのか教えながら、

散らかしたり壊したりするたびに「作る」姿を見せていました。

すると「散らかす」「壊す」のあとで、自分でも作ってみようとする姿が、

時折ありました。

 

今回、Aくんは教室に着くなり、「時計、時計」と言いながら、

教具にしている時計盤を探していました。一緒に探したのですが見当たらないので、

Aくんと作ることにしました。

 

Aくんの物事への関心の持ち方にはかなり偏りがあります。

子ども向けのおもちゃには無関心で、

「時計」と「コンセント」と「電化製品のリモコン」に強いこだわりがあります。

 

丸いトレイにストローをとめただけ……という簡単な時計を作ってあげると、

Aくんはとても喜んで、しばらく針に触ってから、「ボーン、ボーン」と言いながら、

時計の下で揺れる振り子の手真似をしました。

「Aくん、ボーン、ボーンって揺れる振り子もつけようか?」と言って

ストローと先につけるビー玉を差し出すと、

Aくんは自分でそれを振り子のある位置に貼りつけました。

 

これまでAくんがコンセントなどに興味を示すたびに、Aくんにも作ることができる

レベルの工作見本を作って見せていたのですが、お母さんに勧められるままに

セロテープを貼ったり、はさみで切ったりするだけで、Aくんが自分から積極的に

物作りに参加することはありませんでした(前回のレッスンで、ブロックでは

自分から作ろうとする姿がありました)。

それが、このときは自分で振り子のことを言いだしたためか、

一生懸命、自分で貼り付けようとしていました。

 

Aくんが、「……ちゅう時計……いちゅう時計」とつぶやきました。

お母さんが、「懐中時計のことだと思います。Aは時計にこだわりがあるので、

時計の名前をよく知っているんです」と解説しました。

 

紙コップの底を2つ切って目盛りを書いてから、

「Aくん、懐中時計って、こんな風?」とたずねると、

Aくんはストローを切って、毛糸といっしょに貼りつけました。

 

自分の思いついた「ボ-ン、ボーン」や「懐中時計」という言葉で作品作りを

したことがよほど心に響いたのか、

一つのことに意識を向けているのが難しく、ひとりごとを言いながら

ふらふら歩きまわっていることが多いAくんが、

この日は工作にずっと集中していました。

懐中時計ができあがると、Aくんは「柱時計」を作りたがり、

その後、目が左右に動く「ふくろう時計」も作りたがりました。

その間、遅滞エコラリアがほとんどありませんでした。

 

次回に続きます。

 


自分で思いついたアイデアはとてもうれしい♪ 

2014-05-22 21:44:54 | 通常レッスン

2歳11ヶ月のAくん。工作中、曲げたストローを釣り針のようにして

ティッシュペーパー箱の取り出し口を引っかけて遊んでいました。

子どもはとにかく自分が見つけたアイデアで何かするのが大好きです。

曲げたストローをモールで強化し、ロボット人形に引っかけて、天井まで引き上げることにしました。

人形がストローに引っかかって上へ上へとあがっていく様子に大興奮しているAくん。

 

前回のレッスンで、タコ糸の先にミニカーを付けて、巻き上げながら坂を上らせる遊びを

喜んでいたので、

今回の吊り上げる遊びにも、「巻き上げる」仕組みを加えてみました。

ホイルの芯にひもの先をとめただけですが、Aくんは上手にくるくる巻きあげて

うれしそうでした。

ついでに教室の人気者のまぐろも吊り上げることにしましたが、

まぐろの重さでストローの釣り針の方が切れてしまいました。

先の文章でも書いたのですが、子どもは自分発のアイデアで

何かするのが大好きです。

大人の目からするとどんなに素敵に思える体験もおもちゃも

子ども自身の思いつきには勝てないようです。

この日もこんなことがありました。

Aくんが『危険生物大百科』というミニ図鑑を見て、スカンクと口の中が黒い白へびに

関心を抱いていたので、色画用紙で作ってあげました。

白へびの黒い口を開けて、「食べちゃうぞ~」とばかりに脅かすと、

Aくんはびくびくしながら咄嗟にスカンクを後ろ向きにして、オナラで攻撃する振りをしました。

「あーやられたー」とヘビをひっくりかえすと、

Aくんは大喜び。それからは、他のグループの年長さんが仕掛けて帰った

危険生物のサソリもスカンクのオナラでやっつけて、得意そうでした。

Aくん、動物たちが自分の身を守るために

毒を持っていたり、牙があったりする理由が少しわかったようでした。

3歳のBちゃん。

下水道科学館に教室のみんなと出かけて以来、家の近くの科学館に

何度も行きたがるようになったそうです。お母さんが興味の持ち方が深くなったと

喜んでおられました。

イロトリドリというパズルを出してあげると、

熱心に色ごとに並べていきました。

最後までひとりで並べきりました。

 


めもりクイズ

2014-05-22 21:18:04 | 算数

めもりを読む問題が苦手な子は多いです。

子どもたちがつまずきやすい問題を書きうつしてクイズにすると、

友だち同士で解きあって楽しんでいます。

150と200の間に10個のめもりがあるということは、

ひとめもりはいくつ?

 

ヒントにめもりの数だけ青い玉を用意しています。

 

めもりを読むのがとても苦手なAちゃん。

青い玉を5つ並べてから、

10円を5に分けると、いくらずつになるか?

100円を5に分けると?

1000円を5に分けると?

500円を5に分けると?

といった問題を練習すると、めもりが読めるようになってきました。

 

 


年長さんの算数の問題 と レッスンの様子です♪

2014-05-21 20:08:12 | 算数

 年長さんのAくんとBくんの算数タイムの様子です。

人形劇を演じるのが大好きなふたり。算数の学習を人形を使ってすると告げると

大喜びしていました。難しい問題も出しましたが、

AくんもBくんも全問正解でした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<1問目>AくんとBくん当てクイズ。

警官のおじさんが、子どもたちを並ばせています。

Bくんは女の子と女の子にはさまれています。

AくんとBくんは、それぞれどの子とどの子でしょう?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<2問目>Bくんの弟はどの子クイズ。

弟は、緑のヘルメットの子の斜め前ではありません。

弟は、緑のヘルメットの子の正面ではありません。

弟はどの子でしょう?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<3問目> 緑のヘルメットの子は10歳です。

赤い帽子の子は緑のヘルメットの子より10歳年上です。

白い帽子のおじさんは赤い帽子の子より20歳年上です。

白い帽子のおじさんは何歳でしょう?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Aくんが正解してうれしそうでした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<4問目>どろぼうさんはどの子クイズ

(「どろぼうの人形がどろぼうとは限らないよ」と注意をうながしてから)

どろぼうさんのとなりは女の子ではありません。

どろぼうさんは頭に何もかぶっていません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


4問目は、下の写真のように、となりが女の子ではない人形を寝かせていきながら

考えました。

本人が女の子でとなりが女の子ではない子を除外するのが、少し難しかった様子。

でも、わかったとき、とてもうれしそうでした。

結果が、やっぱりこの「どろぼうさん」だったとき、AくんもBくんも

大はしゃぎでした。

 

『世界の切手コレクション』という雑誌をいただいたので、

切手を眺めながら大きな数の読み方を学びました。

 

カラスのゲーム。

得点表を作って遊びました。

 

数玉そろばんで得点を計算しています。

 

 ショッピングカートのゲームをしました。

リストを見ながら買い物を集めていくもともとのルールに

新しいルールを少し加えて遊びました。

カードをめくる枚数を、一回ごとに1枚ずつ増やしていくのです。

ゲームの展開が速くなる上、

「それまでめくった数を覚えておいて、それに1を加える」という算数の要素が

ちょうどいい頭の体操になります。

 

たいくんとさんまくんが逆立ちしているお話。

 

上手に魚たちに会話をさせながら、劇を演じています。

 

今、AくんとBくんのブームは危険生物と忍者です。

ブロックで忍者屋敷を作って遊ぶことになりました。

 

Bくんが考えたはしごが吹き矢で天井から降りてくるという仕組み。 

 

Aくんが作っていた怖い隠し部屋。落ちると竹がささるようになっています。

 

回転とびら。

 

壁にぶつかると方向転換する、電動式のネズミのおもちゃ。 


ツバメの巣、蜘蛛の巣。忍者の巻物、吹き矢。飛行機の発射台。

2014-05-20 19:12:30 | 工作 ワークショップ

年中さんと年長さんのレッスンで。

Aくんが折り紙でツバメの巣を作ってきてくれたので、みんなで設置することに。

ついでに小学生のお姉ちゃんが作った蜘蛛の巣も飾りました。

「蟻はどんな巣に住んでいるのかな?」「ちょうちょの巣はあるの?」

「クマの巣はほら穴?」など動物たちの巣について、子どもたちといろいろな話を

しました。

 

Aくんは忍者にはまっているそうで「折り紙で手裏剣作れるよ!」と言っていました。

Aくんのお母さんが100円ショップで見つけたという長い半紙を持ってきてくれた

ので、両端にストローを貼って「巻物」作りをすることにしました。

 

墨汁を水で溶いて使っています。どの子も大張りきりでした。

 

巻物で使った墨汁を使って、「カルマンの渦」を作る実験をしました。

 

折り紙とストローで吹き矢作り。

円錐形に紙を巻いていくのは、子どもたちにとってとても難しい作業のようです。

 

吹き矢は空気の力で物を遠くに飛ばすね。物を飛ばすには、ほかにどんな力を

使うといいかな?」とたずねると、「ゴム」という意見が出ました。

そこで、飛行機の発射台を作ることにしました。

 

ストローに少しだけ切り込みを入れて、ゴムを貼り付けただけの発射台。

紙飛行機にどんな切り込みを入れると引っかけやすいか、試してみてくださいね。

 

算数タイムにゲームや算数の文章題に楽しく取り組めました。


それぞれ作るものはこんなに違うけど、最初に見た見本は同じです 2

2014-05-20 16:28:30 | 工作 ワークショップ

それぞれ作るものはこんなに違うけど、最初に見た見本は同じです 1

と同様の、切り込みを入れて組み立てる見本を見た小2の★くんと☆ちゃん。

二人はお手本のアイデアを生かして遊園地を作っていました。

 

切り込むだけでできる動く歩道。

 

クリップで上下するエレベーター。エレベーターは直方体のたれ入れの容器で

作っています。

 


早期教育の弊害 と 早期教育の大切さ 8

2014-05-19 18:07:16 | 教育論 読者の方からのQ&A

早期教育の弊害と早期の教育の大切さ 7の記事にこんなコメントをいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ニキーチンは「できる」を求めすぎた


我が家には母がニキーチンの本をもっており、それらを参考にした教育を

僕は受けました。そのような教育を受けてきて、いま親となり、息子のために多くの

認知科学や教育学の論文を読んで考えた結果、ニキーチンの本は間違っていたという

結論に達しました。

ここで間違っていたという部分は、ニキーチンの本から受け取れる教育論であって、

ニキーチン親子が実際に過ごした環境のことではありません。

実際のところニキーチン一家がどのような教育をしていたのかは分かりません。

しかし、彼らが幼少の頃は非常に「できる」子供であっても、大人になってからそれに

見合った業績を残していないことをかんがみると、彼らは「できる」ではあったが、

「わかる」を経ずに「できた」ように感じたのです。

ニキーチン本から僕が受け取った印象は、

ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)のうちの、chaiklinが客観的ZPDと指摘した

部分だけなのです。アイデンティティの成長(自我の成長)という主観的ZPDに焦点が

当てられていませんでした。そして、僕が母親から受けた教育も客観的ZPDのみに

焦点があたり、主観的ZPDは無視されていました。

ですから、ニキーチンは参考にすべきも、その弊害を忘れてはならないと思うのです。

スポーツにしろ勉強にしろ、中学生までは「できる」子が優秀な子供です。しかし、

全体の意味が理解できるようになる17歳の頃から「わかってからできる」子が、

それまで「できる」だった子供を凌駕するようになります。

海外で活躍するプロのサッカー選手にしろ、プロ野球選手にしろ、トップレベルは

17歳頃から大きく伸びた人が多いと思います。

佐伯先生が主観的zpdと正統的周辺参加論を絡めて指摘されてます。

http://wsd.irc.aoyama.ac.jp/hiblog/?p=88

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ニキーチンの教育論は、客観的なZPD(最近接発達領域)にのみに焦点が当たり、

主観的なZPDは無視されている」

「ニキーチンは参考にすべきも、その弊害を忘れてはならない」という指摘、

わたしも同じ思いを抱いています。

ニキーチン家では、子どもとの哲学的な会話や科学的な好奇心を満たす活動や

想像力を膨らませる遊びや演劇などの鑑賞や独創的な創作活動は、大事にされて

いなかったようですから、頭脳のスポーツとしての教育という印象があります。

 

「ニキーチンの教育論は、客観的なZPD(最近接発達領域)にのみに焦点が当たり、

主観的なZPDは無視されている」ことは、

ニキーチンの教育に限ったものではなく、○○式とか○○メソッドと名のつく

あらゆる系統学習や小学校受験や中学入試のための学習から、

療育の世界や脳科学をベースにした赤ちゃんへの働きかけにまで、

現在、教育を意識してなされていることのほとんどが、

コメント主さんの視点で、再検討される必要があるな、とも感じています。

 

世の中の風潮が「できる」を求めすぎることの弊害 に、

あまりに無頓着ですから。

 

ただ、わたしがそうしたことを気にかけながらも、ニキーチンの教育を好意的に捉えて

いるのは、手で操作しながら、自分の力で試行錯誤していく頭脳パズルの種類が豊富で

魅力的だからです。

「組み立て設計局」のように機械の設計への興味につながるものもあります。

 

ニキーチン教育は外側から与えられる答えのある課題に応じていくものが主とはいえ、

 「子どもに必ず大きな自由を与えることです。

何をするか、いつするか、どうやってするか、は子どもの自由にさせてはじめて、

最大限の力を引き出すことができる」と繰り返していたことは、
 
子どもの時間や行動を管理することが当たり前となっている今日、
 
心にとめておきたい言葉の一つです。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
話を少し戻して、「できる」を求めすぎることって、
 
いったいどんな問題があるのでしょう?

学びは、生まれたそのときから子どもの中にプログラミングされている
 
本能的なものですし、環境や他者との関わりの中で自発的に行うものです。

一方、子どもに「できる」を求めすぎる時というのは、評価したいものを
 
大人が設定し、与えていく形を取ります。
 
すると、「わかる」ということの非常に本質的な部分を掴みそこねたまま、
 
「わかっていない」状態で学ぶ習慣がつくか深い意味でわかることを放棄し、
 
表面的な「わかる」(問題の答えがわかる)で先に進んでいくことに
 
なるのかもしれません。

コメント主さんが紹介してくださっている佐伯 胖(さえき ゆたか)先生の
 
『「わかる」ということの意味/岩波書店』という著書に、
 
こんな言葉があります。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
「わかっている人」というのは、
 
与えられた課題を与えられたものとみなさないで、
 
自分自身で『わかるべきこと』を設定しなおすことができるのです。
 
自分自身で設定しなおした目標を達成していく過程で、当面の課題状況に
 
含まれる制約条件、生じうる可能性、因果関係、目標手段関係などに
 
注意を向けるのです。
 
その結果、「わかる」のは、単に問題文で問われていることの答えだけでは
 
ありません。(P23)
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

佐伯胖先生の「わかろうとすること」とは、「表面的な問いを超えて、
 
その世界では自分が何ができるのか、どういうことがわかりうるのかを
 
探し求める気持ちで読みとり、世界に操作を加え、はたらきかけ、変化させて、
 
何か既知のものから未知のものをさがし求めてみようとする」ことなのです。
 
佐伯先生がおっしゃる「わかろうとすること」は、
 
非常に幼い幼児の遊びや創作活動の中で自然に見られる姿です。
 
幼い子たちは、知識は少なく、論理的な考えていく能力はつたなくても、
 
「わかろうとする」ための世界に対する構えをもともと持っているのです。
 
しかし、それは、子どもの日常の体験や個性が生み出す興味、
 
環境によって引き出される好奇心、
 
自由に能動的に関わることで体得する学び、
 
遊びで養われる自分で課題を設定する力、
 
周囲との関わりの中で深まる理解などを大切にせずに、
 
大人が、そうしたものから切り離された知育課題を次から次へと与えて
 
「できる」ことを求めすぎるとき、
 
子どもは、おそらく、「わかり方」がわからなくなってしまうことでしょう。
 
本当の意味で「わかろうとする」ことができなくなり、
 
大人の評価を求めて、表面的な「わかる」を追い続けるのでしょう。