問題を見たら解き方がピンとくる算数が得意な子と
問題を見ただけで頭がフリーズしてしまう算数が苦手な子っていますよね。
計算だけなら、努力の分だけむくわれる面もあるけれど、
文章題の応用問題となると、そうはいかないようです。
教室でも、頭脳パズルやボードゲームが好きな子が、
「あーそういうことか!」「こうでしょ?」とパッと見ただけでわかる算数の問題に、
まじめでがんばり屋の子が「わからない、わからない」と頭を抱え込むことがあります。
困ったことに、知力はしっかりした子なのにも関わらず、
手を変え品を変えヒントを与えても、
どんなにかみくだいて説明しても、理解に至らないのもよくあることです。
そうした差は頭の良し悪しとか算数のセンスがあるかないかによるものと思われがち。
本人も親御さんも固くそう信じ込んでいる場合があります。
でも、本当にそうなのかなぁ?ともやもやしています。
良し悪しあるなしが一番の原因ではなく
好き嫌い面白いつまらないという感じ方の影響が大きいのではないか……と。
(でも、ちょっと注意が必要なのは、計算訓練等で、低学年の間に
「みんなよりできるから好き」「いい点が取れるから面白い」という気持ちを
作ってしまうことです。これは、他の子よりできなくなったとたん、やる気を失ったり、
いい点が取れなくなったとたん算数きらいになったりしますから)
そこで、基礎的な発見のカテゴリーに続き、
『算数が得意?苦手?の分かれ目』というカテゴリーを作って、
教室でよく見かける算数が得意な子の「あるある」や
算数苦手っ子の「あるある」を、紹介していこうと思います。
こうした「あるある」話で、子どもをコッチの子アッチの子と区別するのではなく、
算数の苦手感を克服するヒントにしていただけたらと考えています。
前置きはこれくらいにして、
<「大きな数」と出会ったった時の反応>の話題に入りますね。
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6日から11日までは何日あるでしょう?
という問題。
カレンダーに赤いチップを置いてみます。
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数えてみると、答えは、「6」。
でもね、「6日から11日までだよね。11ー6=5なのに、
どうして6なんだろう?」と言うと、
たいていの子は、「1多くなるから」と、自分で規則に気づきます。
そこまでは、算数が得意な子も苦手な子も同じ。
でも、算数が得意な子は、
「だったら、5から12までの場合、12ひく5したら7になるから、それに1たして
8だよね。だったら、3から20までの場合……。」と
いった話題を続けるのが好きです。
別に難しいことを言っているわけではなく、「わかりきったことの繰り返しだけど……」
ということを確かめてみるのが好きです。
教室で実験をすると、
水に塩を入れる実験をしたら、「じゃあ、砂糖入れたらどうなるの?」
「じゃあ、もっといっぱい塩を入れたら?」「じゃあ……?」と、
次々やりたがる子たちにも共通する感性です。
その点、算数の苦手な子は、
そうした無駄ともみえる好奇心をあまり抱かないことが多いです。
こうして、
「6日から11日までは、大きい数から小さい数を引いたのより1多くなるよね」
ということに気づいた時、
「それなら、145から266までの数が順番に書いてある旗があります。
旗は何本でしょう」という問題を出すと、算数が得意な子は数字が大きくなっても
さっき気づいたルールで解けばいいんだな」と、問題を面白がるけれど、
算数が苦手な子は、こんな風に「大きな数」が出てきた時点で、
完全に心が拒絶してしまうようです。考えようともせずに、
「できない、わからない、いやだ、できるはずがない」と騒ぐことしきり。
そういえば、後から算数が得意になってくる子のなかに、
幼児期にやたら大きい数を言ってみたがる子たちがいるのが思い当たりました。
わかってなくても、「えっ100万?」とか「1兆?」「無限?」など。
大きな数のままごと用のお札を作ってみたり、
好きな動物について体重や走る速さのような
数に関わることを図鑑で見たりして、日頃から大きな数と友だちになっておくことが、
算数が得意になるための近道かもしれません。