虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

3、4 歳児のグループレッスン  個性に合わせた働きかけ 3

2011-05-21 19:20:24 | 日々思うこと 雑感
☆ちゃんと、○ちゃんは直観が優れている子たちです。

それでふたり同時に、新しいものに目ざとく飛びつくので、
「私がする~」「私がする~」と奪いあっていたかと思うと、
あっという間に次の何かに興味が移っていました。

ふたりとも頭の回転が速くて、考える力も高いし、
物作りも大好きなのですが、
じっくり取り組まないので、
作業に根気よく取り組んだり、
器用にていねいな作品を作ったりするのは苦手です。

そんな姿を見て、親御さんたちは、
「どんな風に接したらいいでしょうか?」
「いつもお姉ちゃんのために準備したことをいっしょにするだけで、
この子のためにだけに何の働きかけもしていないのですが、いいでしょうか?」
と少し気がかりな様子でした。

☆ちゃんも、○ちゃんも、大人が何かさせようとすると、
たちまち自分たちで考え出した創造的なアイデアをミックスさせて
別の遊びに変えてしまいます。

そのため感覚の優れた子たちといっしょに過していると、
できることに大きな差が生じていくようにも見えます。

でも、このタイプの子たちは、一瞬しか興味を示さなかったものからも
とても本質的な何かを嗅ぎつけて、
驚異的なスピードで学び取っているので、
ちょっとした質問を投げかけると、
その賢さに舌を巻くことも、とても多いのです。


今回、私は「右」と「左」について学ぶために、
自分の右手を上げたり、お友だちの右足をくすぐったりといった
左右を体感するための遊びをしていました。

そして○ちゃんと、☆ちゃんを向き合って立たせて、
「右はどっちかな?」と○ちゃんにたずねました。
すると自分の右手を挙げます。
そこで、「☆ちゃんの右手はどっちかな?」と○ちゃんにたずねると、
「こっちだよ」と自分の手の側とは反対の☆ちゃんの右手を指します。

そこで、
「なら、もし、☆ちゃんの立っているところに鏡を置いたとして、
鏡に映っている○ちゃんの右手はどっち側になるのかな?」
これまでしたことのない意地悪な質問をしてみました。
まさか正解すると思っていなかったのですが、
鏡をのぞいているシーンを想像しているような身振りをしてから、
「こっちだよ」と正しい方を指差しました。

ちょっとやってみて、どんなものだか理解したとたん、すぐに飽きてしまいがちで、
小学校に行くようになると、
「どうしてもう覚えている漢字を何度も練習しなくちゃならないの?」とむくれたりして……
ちょっと困ったちゃんの一面もあるこのタイプの子ら。

けれども、
「わかれば次」「わかれば次」と好奇心のままに探索しまくる態度は、
洞察力や理解力を高めるのに役立っているようです。

そんな風に勝手に頭を使って、勝手に賢くなっていくので、
放っておいたらいいのか……というと、
それはちょっと問題があると思っています。

とにかく次々と興味が移るので、放っておくと、
いろいろやりつくしたけど、何もその子の手の中に残っていない(確かな力がついていない)……
という状態にもなりやすいのです。

私はこうしたタイプの子には、
広がりすぎる興味をひとつのフィールド上に
統合させてアウトプットすることができるようにしていくことが
大切だと感じています。

次々、新しい好奇心に突き動かされて動くことはこの子たちの
生まれ持った気質ですから、
それはそれとして大事にしながら、
新しい興味を、いつも紙工作で表現するとか、
ブロック制作で表現するとか、
興味をもつ範囲はどんどん広げても、アウトプットする手段に枠組みを設けるのです。
子どもによってはビデオで録画する活動や電子工作などが向いている子もいます。

すると、新しいことに目を奪われて興奮した頭を
手を使った作業の中で整理して、
それまで学んだ他のこともその中で復習しながら、組み合わせて、
継続的に技術を蓄積していくことができるようになりますから。
うちも息子が直観が優れているタイプだったので、
さまざまなことに関心を広げていました、
雑然となりそうな多種多様の知識は、
一枚の紙で工作してみて表現するという活動に集約されていました。

私も直観が優勢なタイプなので、とにかく次々と興味が広がりやすいのですが、「ブログ」というシンプルなアウトプット法の中で整理する習慣がついてから、
「とめどなく関心が散ってお終い……」という以前の悪い癖が減りましたよ。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2011-05-22 04:46:19
うちの子供は二人とも直感のような気がします。

新しいことに興味を示し、同じ作業をするのが苦手です。

最近、気にしていることが、先生のプログに書かれていた
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とにかく次々と興味が移るので、放っておくと、いろいろやりつくしたけど、何もその子の手の中に残っていない(確かな力がついていない)……
という状態にもなりやすいのです。
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アウトプットする手段に枠組みを設けるのです。
------------------------------------------
と書いてありますが、どのようにすればいいのか、もう少し詳しく教えてください。

ブロックも紙工作も好きではあるのですが、続かないのです。
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