虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

2歳児とお母さんのコミュニケーションにずれがある場合

2016-07-29 06:52:59 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2歳児とお母さんのコミュニケーションのあり方に

「あれっ?」と気になるズレのようなものがある時、

ちょっと気が引けるのですが、

お母さんに何度かダメ出しをして

関わり方を調整していただくようにしています。

 

おしゃべりが得意で、できることも多く

かんしゃくや感覚過敏がない子の場合、

いったい何に問題があるのか、

どうして関係を改善しなくてはならないのか

ピンとこないかもしれません。

 

子ども同士の能力を見比べるという目で眺めると

何も気になるところがないか、

とてもしっかりしているように見える子だけれど、

お母さんとその子の関わり方を見ていると

コミュニュケーションの取り方が、

ずいぶん気になるというケースがあるのです。

 

放っておくと集団生活が始まる頃か、

子どもが抽象概念の理解を必要とする時期に

問題が表面化しやすいように感じます。

 

わたしが気にかけているのは次のような点です。

 

★ 子どもに声をかけても、振り返らないか、

大人の声を不快に感じているように見えることが多い。

 

(お母さんが声をかけている時も、他の大人が声をかけている時も)

 「ダメよ」と言われそうなことをする前に、

チラッと親の方を振り返るような動作をしない。

 

 

★ お母さんの興味が、

子どもの表情や感情の動きにほとんど向けられておらず、

子どもが自分の指示に従うかや、

何ができるかや何かをできるようにさせることや

たくさん言葉をかけることに焦点があたっている。

 

★ 非言語のやり取り、目と目を合わせて笑いあったり、

お互いにうなずきあったりするような場面がほとんどなく、

子ども側が笑いかけてきてもお母さんが

スルーしてしまうことが多いわりに、

子どもが何かしようとするたびに不必要なほど声をかける。

 

★ 身体を通して、

リズムで子どもにどのような行動をしたらいいのか伝えるのではなく、

言葉で指示したり、説明したりする。

(2歳児の場合、言葉だけでは伝わらないことほとんどです)

 

★ コミュニュケーション自体に相互に行きかう心地良さがない。

楽しさや遊びの部分が少ない。

(コミュニュケーション以外の面で、

おもちゃなどではいっしょに楽しんだり遊んだりしている。

だっこされた時などは楽しそうにしているが、

お互いに目を見て関わるコミュニュケーションそのものが

子どもを喜ばすことがほとんどない)

 

先の文章にこんなコメントをいただきました。

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娘がちょうど二歳の頃、

私がしていたことがかかれていて胸をえぐられるようでした。

現在4歳になりますが、集団行動がとれず

発達障害を疑われ受診を待っています。

IQテストの結果を見ても、歪みが少なく、

知的には問題がありません。

心理士さんの指導のもと、少し接し方を変えただけで

問題行動が減っていくのをありがたいと思いながらも、

あまりの反応のよさを見るにつけ、やはり発達障害ではなく、

私の育て方によるものだと戻せない過去を悔やむ日々です。

子供のありのまま受け入れることからはじめていますが、

まだまだしっくりこないことも多く途方にくれることも。

ダメ出しを頂ける機会を夢見つつ、記事を参考にさせていただきます。

続きを楽しみにしてます。

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2歳児とお母さんのコミュニュケーションのあり方に

ズレが感じられ、子どもの発達や態度に気がかりなところ

(呼んでも振り返らない、うわの空で返事をする、感情表現が乏しい、

目と目を合わせてコミュニュケーションを取ろうとしない……など)が

見られる場合、

その理由にはさまざまな原因が複雑に絡み合っていることと思います。

ひとつには、子どもの生得的な特徴に因があって、

程度によっては自閉症スペクトラムが疑われるということも

あるでしょう。

また発達障碍ではなく、愛着障害が原因で

一時的に自閉傾向のある子たちと非常によく似た態度を

示す子らもいます。

 

精神科医で医学博士の岡田尊司先生によると、

セロトニン・トランスポーターという愛着に関係する重要な遺伝子が、

日本人などのアジア人種では3分の2の子が母親の接し方の影響を

受けやすい短いタイプの多型を持っているそうです。

親の影響を受けにくい長いタイプの子は、3分の1だけなのです。

短いタイプの遺伝子多型をもつ人は、トランスポーターを作る能力が低く、

ストレスや不安を感じやすく、うつになりやすく、

攻撃性や食欲の問題が出やすいのだとか。

このタイプの子は、母親の関わり不足などがあると、

不安定型の愛着、ことに混乱型を示しやすい一方で、

よくかまうよい関わり方をした場合、

長いタイプの2倍も安定型愛着を示すそうです。

 

白人の場合、6割が親の影響を受けにくい

長いタイプの有利な遺伝子のタイプで生れるというお話です。

 

岡田尊司先生は、

「親の育て方の影響を受けにくい遺伝子のタイプが多い

アメリカ社会でさえ、愛着障害があふれているというのに、

もっと過敏で愛着が不安定になりやすい日本の子どもに

同じことをすればどれだけ悲惨なことになるか、

現状は実証しつつある」と警告しておられます。

 

愛着障害に関しては過去に

『「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代』

という記事を書いたことがありますので、

少し脱線しますが紹介しますね。

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「公園などで見かける多くの幼児が、
『愛着』の形成がうまくいっていないように見える」

「そうした子の親の関わり方を見ていると、
外からは可愛がっているように見えるし、
ごく普通の親のように見えるけれど、
子どもとの心の交流や非言語でのやりとりが
かなりずれているようだ」

数年前から、幼い子を育てている最中の知人から、
繰り返しそうした指摘を受けていたため、
私もその問題には細心の注意を払ってきました。

愛着とは、特定の人に対して
「この人は自分の欲求や感情や意思を理解してくれる。
この人といれば安心だ」という認識をもつこと。
特定の人に対して特別な情愛を抱くことです。
生後6~8ヵ月頃に、
赤ちゃんの心に大人との関わりを通して形成されます。

愛着がきちんと形成されないと、
次のふたつの態度が生まれます。

世話をしようとしている人に対して、
警戒的で、「素直じゃない」という態度が多くなります。
甘えたいの甘えることができなくて、
優しくしてもらっているのに、怒りだしたり泣いたりします。

一方、初めて会う人にもなれなれしく近づき、ベタベタし、
社交的に見えるものの、警戒心がほとんど見られず、
相手がどんな人か頓着しません。

3歳くらいまでは、
子どもってこんなものかな~と思ってきたけれど、
3歳を過ぎ、成長するにつれ、
気になることが増えてきたという方で、
子どもの愛着形成がきちんとできていないな~と感じるケースと
よく出会います。

「こんな風にしたらうまくいく」と
一言で伝えられる内容ではないのですが、
愛着の形成に集中的にしっかり努めてみると、
母親に1,2歳児のようにベタベタ甘える時期、
親に八つ当たりしたり、
ワガママをぶつける時期を経過したあとで、
状態が飛躍的に良くなる子が多いです。

愛着の形成に問題がある子は、
発達障害を持っている子もいるし、
ごく普通の子もいます。
どちらであっても、
愛着がしっかり形成されていくと
問題のある行動は減ってきます。

2歳3歳の子というのは、愛着に問題がなく、
すくすく育っていても、
何でもかんでも「自分で!」と言い張ったり、
「ダメ」「イヤ」と言わないと、
何もはじまらないのが普通です。
ですから、
子どもが、よく泣いたりごねたりするからといって
過度に心配する必要はありません。

しかし、今、子育て環境の変化から、
専門家の間でも、
「普通の家庭」で育てられている子ども達の間に、
愛着がきちんと形成されていない子がたくさん
見られるようになり、特に、
「人見知りがなく、誰にでもすぐになれなれしく
甘えていく脱抑制型の愛着障害がよく見られる」
という指摘がされているのも事実です。

私自身も、記事の最初に登場した知人も、
子どもの姿を観察しながら、
非常に多くの幼児がこの問題を抱えていることを感じています。
愛着の形成の問題は、安易に見過ごすわけにはいかない、
先の多くの問題(学級崩壊、不登校、反社会的行為、
無気力無関心)のねっこともなるものなんだろうな……と
感じています。

具体的な対応、解決法は
また時間があるときに記事にしていきますね。
 
 
前回の記事に次のようなコメントをいただきました。
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ものすごく今気になっていたことです。
昨日、子育て支援センターに行ったら、
娘と同じ1歳半ぐらいの子を持つ4人の子と母親が来ました。
でも、母親達は端でおしゃべりに夢中。
子どもを全くみてないのですが、
子どもも全く母親を必要としてなくて、
それぞれひとりで大人しく遊んでいるんです。
それぞれの性格もあるし~とは、思っていてましたが、
あまりにもかまうことがなく、かまったと思ったら、
遊んでるおもちゃを停止させてカメラ撮影に必死。
一人は6ヵ月ぐらいの二人目の赤ちゃんもいてましたが、
母親から離れたベビーベッドに置かれ、
2時間の間にいちど授乳をしただけで、
ずっと置いておかれたままでした。
視界にも入っていない感じでした。
1歳半ぐらいのこどもたちは、初めて会う私にも全く警戒なく、
ボールで遊ぼうと誘ってきたり、べったり付いてくる感じ。
人懐っこい感じはするけど、なんかとても違和感を感じました。

ママ達のおしゃべりも大事だけど、
きっと家でもこんな感じなのかな~って思うと
明らかにコミュニケーションが少なすぎるな~と思いました。
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コメントをいただいたような親子の光景は、
今、児童館でも、公園でも、
ショッピングセンターの遊びの広場でも
保育所や幼稚園の園庭でも子育て支援の場でも
当たり前に見られる姿です。

以前、児童館の館長さんに頼まれて
未就園児の多人数の子育てサークルの遊び方の指導を
したことがあります。

それぞれのお母さんが大人同士のおしゃべりに夢中で、
1時間半ほどのサークルの間、子どもは眼中にもない様子でした。
積極的な子たちは走り回って、他の子のおもちゃを奪い取ったり、
赤ちゃんをつきとばしたり、ただ走り回ったりしていて、
おとなしい子は、騒がしい空間で、
何をするでもなく座ったまま宙を見つめるか、
お母さんたちがしゃべる様子をぼんやり見つめていました。

私が、ぬいぐるみの犬にシャワーをかけて
お風呂に入れる真似を始めると、
子どもたちはいきいきとした表情を浮かべて、
犬を風呂に入れたり、拭いてやったりして遊びだしました。
また、文字積み木で図書館やレンタルビデオ屋さんをはじめると、
喜んで借りにきては、
ビデオを見る真似をしたり、
本を選ぶ振りをしたりして楽しそうに遊びだしました。

すると、その様子を見た親たちが、
しぶい顔をして、子どもをにらみつけたり、
暗い表情で、子どもを呼んで、
「あの子と遊んじゃだめって言ったでしょ」
と耳打ちするのです。
親同士、仲が良いとか悪いとかがあるようなんですね。
仲の悪い親の子どもとは遊ばないようにしつけているようなのです。
それと、
子どもが楽しそうに遊ぶのなんて、まったく無意味で、
先生として参加してくれるのなら、
音楽とか英語とか教えてくれたらよいのに……と
思っているのが伝わってくるのです。

案の定、集団でする体操の時間や鈴やタンバリンを
鳴らす音楽の時間になると、
お母さんたちの視線はわが子に釘付けになって、
あんなに無関心だったことが嘘のように、
今度は一挙一動のミスも、他の子より遅れている部分も
見過ごせないわ~という
雰囲気になっていました。
携帯で写真撮る方も多かったです。

気になったのは、多くの子が、
お母さんとまなざしで会話する姿が見られず、
親を振り返りもせずに、
まるで動物のようにうろつくときと、
親の視線が自分の注がれる場面では、
他の子と比較しているのを察知して
顔をこわばらせたり、目をパチパチさせたり、
親の目を恐怖に見開いた目で見つめ続けたり、
それかまなざしは感じているはずなのに
全く無関心な様子でお遊戯中もイスにのぼったりする姿が
あったことです。

こうした親子の姿は、あまりめずらしいものではありません。
いろんな子育て支援の場に参加しましたが、
どこに出かけても、
「子どもを他の子と比べる場面以外では全く無関心、
子どもは視界の外」という親の姿は、多数派でしたから。

おそらく今の日本の子育ての定番の形なのかな?

とも感じています。

子どもの側もそれに適応していて、
親に無関心か、
自分の要求をかなえる道具として認識しているように見えます。
ですから、子育て支援の場で30組以上の親子が集まると、
殺伐とした空気が流れているんですよ。


今、虹色教室で子どもや親に集まってもらう場合、
親も子もとても良い形で関わることができています。
このブログを読んでくださっている方は、
子育てのスタイルでは少数派なのかもしれませんね。
事前に、子どもへの接し方や子育てで何が大切なのか
といったことを共有しておくことの必要性を感じています。
 
続きの記事を読んでくださる方は次のリンク先に飛んでください。
 
「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 3
「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 4
「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 5
 
 
2歳児とお母さんのコミュニケーションにズレというのは、

「たくさん抱っこしているか」「可愛がっているか」

「愛情をたっぷり注いでいるか」といった

お母さんの態度や気持ちではなく、

「お母さんと子どもの気持ちと気持ちのキャッチボールが

うまくいっているかどうか」に着目して

はじめて見えてくるものです。

 

愛着の形成に気がかりなところのある子のお父さんもお母さんも

目に入れても痛くないほど子どもに愛情を

注いでいるということはよくあります。

 

ただ、

子どもの思いと親の思いがいっしょに響き合う時がなくても、

一方的にかまって可愛がることに夢中で

それに気づいていない場合がよくあります。

 

『NLP子育てコーチング』の著者の

リチャード・ボルスタッドは、次のように述べています。

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親としてあなたが成し遂げたいと願うことは、

NLPが「ラポール」と呼んでいるお子さんとのつながりに

かかっています。

ラポールは、理解の共有や信頼や協力といった心のあり方です。

あなたが見ていないときであっても、

子どもに言いつけを守ってほしいならば、

ラポールがなければうまくいきません。

そして、

子どもの成長や発達をポジティブにサポートしたいならば、

やはりラポールが鍵になります。

子どもがいい選択をし、幸せに生きてほしいならば、

ここでも、ラポールがもっともすぐれた道具になるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ラポールが親子の絆だというのなら、わかるにはわかるけど、

具体的にはどんなものなのかわからないという方は多いでしょうね。

リチャード・ボルスタッドの解説を、簡単に要約して紹介しますね。

ラポールは単なる気持ちいいフィーリングではなく、

親と子の脳を直接的なシンクロナイゼーション、

つまり同調の結果として起きるそうです。

子どもの脳は親の脳とシンクロするスキルを備えて

生まれてくるのだとか。

親はシンクロを引き起こす特定の行動を学ぶことができます。

赤ちゃんの脳は、ミラーニューロンという神経細胞を利用して

さまざまなことを学習します。

ミラーニューロンは、他の人間が創り出す動き、

顔の表情、音に対して特別な注意を払います。

ミラーニューロンは、学習過程全般と、

心理学者がいうところの「絆」作りにとって欠かせません。

適切な場面でほほえむことから、言葉を話すことまで、

複雑な社会的スキルを学ぶ能力はミラーニューロンにかかっています。

理解の共有、他の人との親近感といったフィーリングもまた

ミラーニューロンによります。

ラポールのフィーリングが存在しないとき、それを築くことができます。

息を合わせる、身体の姿勢や動き、声の質を相手に合わせるところから、

心にへだてのない家族関係の要となるフィーリングを築いてゆくことができるのです。

<ラポールを築くためにできる行動>

● 声……声の大きさ、話すスピード、声の調子、声の質 言葉の選び方

● 目の動き……同じところを見つめるなど。

● しぐさと姿勢

● 呼吸

(『NLP子育てコーチング』 チャード・ボルスタッド 春秋社 )

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子どもの発達に気がかりな面があるとき、

親子のラポールに危うさを感じるときがあります。
たとえば、子どもにたくさん言葉をかける親御さんは
まったく無視している親御さんと同じくらい
親子の絆が弱まっているのをよく見かけるのです。
非常に愛情深く常に子どものことを気にかけている親御さんであっても
そうなのです。

子どもにたくさん声をかけると、頭が良くなり、

子どもとの関係が深まるように思っている方が
いらっしゃいます。
確かに子どもにたくさん声をかけることは大切です。

しかし、
子どもと非言語の世界で息が合っていて、
ミラーニューロンを通してコミュニケーションがきちんと取れていないのに
一方的に話しかけてばかりいると、
子どもは自分自身から世界に働きかけるチャンスも、自分の力を試して自信を持つ体験も、
静かにミラーニューロンを使って学ぶチャンスも、
自分で失敗してそこから学ぶ体験も失ってしまいます。
もちろんたっぷり言葉をかけてあげることは大事なのですが、
子どもと息が合っていないなら、
それは共感しながら交わされる会話につながらず、
ただの雑音になってしまうときがあるのです。

まだ赤ちゃんのように見える子も、自分で世界を体験していますから、
それに対する思いを親御さんと共有したいと思っています。

それなのに親が見ている世界を押し付けたり、
親が子どもにさせたいことを言葉で指示する形になってはいけないと思うのです。

子ども自身が見聞きして感じている世界を、
親御さんがそっと受け止めて、しぐさや言葉で共感を示していくのが
大切なのです。



奇妙に聞こえるかもしれませんが、
親御さんが終始穏やかで、笑顔を絶やさないいつも優しいお母さんの場合でも、
子どもの気持ちの動きやしぐさや声の調子と
あまりにかけ離れているとき、
親子のラポールの弱さを感じるときがあります。

子どもが、怒り、喜び、不安、不満、感激、悲しみなどの
さまざまな感情表現をオーバーなほどする場合、
親御さんが、
子どもの気持ちがどの状態のときも、

同じように穏やかににこやかにしているときに、
親子の絆が危うくなっているのを見かけるときがあるのです。

子どもはうれしくてたまらないとき、
刺激的なほど親にもうれしそうにしてもらいたかったり、
感激しているとき、いっしょに手をとって感激してもらいたかったりします。

でも、どんなときも同じように穏やかな優しいお母さんだと、
だんだんネガティブな気持ちにばかりつながりやすくなったり、
ちょっとしたことで激しくキレたりするのです。
もちろん、いつも機嫌が悪いとか、いつも不安そうとか、

いつも無表情とか、いつも起こっている親御さんは、
その何倍も子どもにダメージを与えるはずです。

でもニコニコしていていつも穏やかという母親の鏡のような親御さんでも、
子どもの気質や態度とそれに返す親御さんの反応の質があまりに異なると、
子どもの側に不安や寂しさやイライラが募っていくのを
見かけるときがあるのです。

大人も、時には子どもの呼吸に合わせて、
はしゃいだり、喜びに浸ったり、いたずらで好奇心旺盛な態度をとったり、

ちょっぴりすねたり、甘えたり、「ダメよ」と厳しい表情をしたり、笑い転げたりすることが大事だなと感じています。

もちろん、子どもといる間、親が四六時中、子どものペースに合わせていなくてはならない
ということではありません。
一日、数分でもいいから、しっかりと子どもとの絆を作る時間を持つだけで
子どもは大きな変化を遂げることと思います。

 

次の記事は愛着障害を起していた子ではないのですが、ユースホステルで、母子間のラポール

の調整する大切さを学んでいただいていたレッスンの様子です。

よかったら読んでくださいね。


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ユースホステルのレッスンにはまだ2歳になったばかりの□くんも参加していました。
語彙の数も多いし、運動能力も発達している笑顔のかわいい子です。
□くんのお母さんは、□くんをそれはかわいがっていて、たくさん声かけをしています。
□くんも、2歳になったばかりなのに、「こんな言葉を知っているの?」と思うほど
よくしゃべります。

ただ、背後からお母さんに話かけられて、□くんはいつも前を向いたまま
お母さんの方を振り返らずにお返事していたり、
終始ご機嫌はいいものの、
□くんの感情の動きが読み取りにくかったりするところがありました。

「どうしてかな?」と思いつつ様子をうかがっていると、
2歳の□くんがお母さんのお守りをするような形で、
お母さんの声かけに自分を合わせてあげていて、
自分の考えや気持ちは引っ込めているように見えました。

そこで、□くんのお母さんに少しの間、控えておいていただいて、
色画用紙で作ったピンクの豚を□くんの方へ差し出しました。
すると、□くんは、それをトコトコと歩かせるようにして
遊び出しました。
私ももう一体ピンクの豚を手にして、
静かに□くんを真似て豚を歩かせる真似をしました。

ここで私が、「ぶぅぶぅぶぅ~」と言いながら
□くんの方に自分の豚で働きかけたりしなかったのは、
□くんがゆったりとしたペースの子で、
真剣に周囲を観察しながらいろんなことに気づいたり考えたりしている
ようだったからです。

□くんの中からアイデアや気持ちが生まれてくるまで、
こちらは少しの間、静かに待ってあげなくてはならないと感じたのです。

すると、□くんは、急に考え深い表情になって
自分の紙の豚をさかさまにしてお腹を開いて、こんな風になっているのかと驚いたような顔をして、
次に私も同じようにそれを見ているか確かめるようにこちらを見て
パァッーと花が咲いたような明るい笑顔を浮かべました。
それから、自分から「はい」と私に自分の豚を渡して、
「交換しよう」とうながすそぶりで、私の豚を手にとって、うれしそうに笑いました。

□くんは、お母さん以外の人や子どもを見ると、フリーズしたように固まって
茫然と見続けるだけでした。
まだ2歳になったばかりですから、成長としては
それでも十分なのですが、
「怖がっているわけではないのに、どうやって働きかけたらいいのかわからないんだな。今まで
いろいろな人との関わり方のパターンを見たり体験したりしたことが
ないんだろうな」とも感じていました。

この豚の交換のアイデアは、この少し前に、
★ちゃんと○ちゃんがお手紙交換しているのを目にしていたので、
それをさっそく豚でためしてみたのかもしれません。
□くん、なかなか利発な子のようです。

□くんは、□くんのペースを待って、□くんの気付いたことに共感するようにすると、
物と物の隙間の広い狭い、おもちゃとおもちゃの隙間の長い短い、段差の高い低い、
くんできた水の冷たい、ぬるいなどに非常に敏感で、
その微細な差を比べてこちらに伝えようとし、
こちらが□くんの面白いと思うものに共感すると、心から満足そうな様子になりました。

それまで、□くんの非言語のやりとりが少ないことがちょっと気になっていました。
お母さんとたくさんおしゃべりしているわりには、
心のこもらない調子で、質問テストに答案を書きこむような調子で、お母さんの方は向かずに、
よそ見しながら、
お返事している姿が多かったのです。
「見て!聞いて!伝えたいことがあるの!」という□くんから発信するものが
あまり感じられなかったのです。
それが、□くんのペースを待って、□くんの思いをきちんと受け止めるような
接し方をすると、
□くんは自分側から周囲に向かって伝えたいさまざまな思いを抱いていることがわかりました。
大人以上に微細なものまで感じ取り、いろいろなことを考えてもいたのです。

 

 

 

詳細はこちらで見てくださいね。

http://www.php.co.jp/family/detail.php?id=83303


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