虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

幼児が「よく考える」ようになるためのステップ 4 <聞いた後で>

2021-10-09 23:07:17 | 思考力

「聞く」にもいろんな技術があります。

記憶力が良く、語彙が多く、園や学校生活をいきいきと楽しんでいる子というのは、この聞く力が発達した子が多いです。

「語りかけ育児」や、「アウトプットを求めずにシャワーのように子どもに言葉をかけましょう~」と最初に発言した方は、おそらく、子どもと大人の間に自然なコミュニケーションの形があることを前提として、そうした方法を紹介したのだと思います。

絵本の読み聞かせにしてもそうです。

まだ言葉がしゃべれない赤ちゃんであっても、非言語の状態で、大人と子どもの間に、身振りや表情や目の動きや、なん語によって、「思い」がいったりきたりする関係があって、それを補うように「語りかけ」や「読み聞かせ」があるのなら、それは子どもにとって貴重な体験となるはずなのです。

が、この「語りかけ」や「読み聞かせ」が、子どもの「聞く」力を鈍らせ、大人に素直に心を開かない状態を作ることもあるのに注意していただきたいのです。

どういう声かけがよくないか……というと、日本人がテレビ画面に向かって、「あほやな~こうしたらいいのに、ぶつくさ~」と独り言を言うことよくありますよね。
テレビから返事があるとは思ってないので、自分が見たまま、そこで感じたことを外に吐き出してそのまま~という言葉です。

また、テレビゲームをしていて、「もっと右右!」「だめだめ、そうじゃなくて、あっちに行かなきゃ。はやく取りに行って!」とゲーム画面の主人公に向かって、声に出さないとしても、独り言を言い続けるときがありますよね。
これも、テレビから返事があるとは思っていないので、言いっぱなしです。

カセットテープに絵本を音読して録音するとき、ひたすら読むことに集中しますよね。
これもカセットテープが何を考えてるかなんて考えず、言いっぱなしです。

この機械に向かって「言いっぱなし」の習慣が、そのまま乳幼児に向けての言葉かけでも使われているケースを見かけることがよくあります。

そうした機械に対するような言葉かけは、どこで集中して、どこで受け答えすればよいのかコツがつかみにくい上、子どもの内面から伝えたい、しゃべりたい、会話のキャッチボールがしたいという気持ちを引き出しにくいです。

「伝えたい、しゃべりたい、会話のキャッチボールをしたい」という気持ちを育てるには、大人の側に、子どもの言葉を聞きたいという姿勢があって、子どもの言葉に共感する言葉と、それを膨らまして子どもの気持ちを引き立てる言葉を返すことが大事だからです。

つまり、「語りかけ」が上手になるということは、まず大人が「聞く」のが上手で、
「うなずく」のが上手で、子どもの言葉をうまく膨らますという点で「語りかける会話が豊富」という意味だからです。

そんな風に大人が上手に「聞く」姿勢をしめしていれば、子どもは自然に、どうやって人の話を聞けば良いのかマスターします。
「聞く」といった簡単な動作でも、やはりお手本がないと難しいからです。

次の記事→ 幼児が「よく考える」ようになるためのステップ 5 <感じる> に続きます。


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