いったん戸を開けさせて、
おでこを打ったAちゃんにきちんと謝らなければならないこと、
この部屋は他の大勢の利用者のためにあるものだから、
カギをかけてはいけないこと、を注意すると、
当のBくんは靴下を脱いで、自分の足の指を調べながら
押し黙っていました。
どこかでケガをしたのか、足の指先から血が出ていました。
黙っているものの、Bくんの表情からすると、
Aちゃんのおでこにケガをさせてしまったかもしれない状況への
ショックが大き過ぎて、言葉を失っているようでした。
すっかり自分の殻に閉じこもってしまったBくんは、再び
部屋の内側からカギをかけてしまいました。
本来なら、他のお客さんへの迷惑ということを考えて、性急にBくんを部屋から
出させて注意しておしまい、となるところ、
その日のその時間は周囲に人はあまりおらず、
子どもたちのために、空間と時間の隙間を
ちょっと使わせてもらうのならいいかな……そんな風に
感じられる日でした。
カギのかかった部屋の周りに集まって、子どもたちが
Bくんを外に誘いだす相談を始めました。
「まずは、熱中症を避けなくちゃ。
部屋の周りに隙間はないかな?
そこから水筒かペットボトルを入れないと!」と
真顔でつぶやくDくん。
部屋のぐるりを調べてから、「Bくん、ぼくとCくんだけを部屋に
入れてくれない?他は誰も入れないから大丈夫だよ。
ぼくたちふたりだけが入れる狭い隙間を開けてくれたらいいんだ」と説得していました。
途中ですが、次回に続きます。