子どもたちの創造性を解放していると、ひとりひとりの子がびっくりするほどさまざまな発見をします。
最初は、自分たちが何が面白く、何を美しいと感じるか、何をしているとワクワクするのか、といった自分についての発見します。
次には、そうした自分のアンテナに引っかかったものを通して、
身の回りにあるありとあらゆるものに不思議を感じたり、疑問を抱いたり、性質を理解したり、
新しいそれまでなかった好奇心に駆り立てられていきます。
小1~小3生が中心のユースホステルのレッスンで、こんなことがありました。
夕食後、ラミィキューブというゲームをする子らとアクセサリー作りをする子たちの二手に分かれて
遊んでいました。
アクセサリー作りは、子どもたちの間から自然に生じた遊びです。
昼のレッスンの時に、鳥の人形作りをした時、鳥の冠羽にビーズを通しておしゃれをさせていたのが
面白かったらしく、次は自分たちで身に着けるものが作りたくなったようです。
髪飾り、首飾り、腕輪、指輪などを作っては、
まるで昔のお姫様みたいに飾り立てていました。
翌日、ユースホステルのレッスンの後で国立民族学博物館に寄られるという方が何名かいたので、
わたしもちょうど空き時間があったので
同行することにしました。
(この日はたまたま気温が低かったので行ったのですが、夏の間は希望があっても
めったに行くことはありません)
すると、面白いことがありました。
民博の中では地味な展示物であるアクセサリーコーナーに群がっては
写真を撮る子どもたちの姿があったのです。
どのような作りか、どうやったら作れそうか、どんな意味があるのかを探るように、
熱心に観察しては、なかなかその場を離れようとしませんでした。
前日はアクセサリー作りをする女の子たちのそばでラミィーキューブに夢中になっていた子らも、
アクセサリーコーナーに惹きつけられていました。
戦士がつける腕当てや宗教的な意味がある装飾品が
男の子たちの心を捉えていたようです。
ビーズの花嫁衣装。
こんな仏教の展示コーナの前で座禅を組むポーズを取って
お坊さんになりきっている子もいました。
民族博物館の出口近くに展示品に触ってもいいコーナーがあります。
1年生の☆くんが、いきなり顔に真鍮のお面をつけて、「ううっ、取れない、取れない、誰か助けてくれ~!」と
迫真の演技。
幼い子たちは、本当に顔に貼りついてしまったのかと震えあがっていました。
笑い転げている同学年のお友だちも、いざ、「はずしてあげて。でも、自分の顔に貼りついてしまうかまも……」と脅かすと、
「うそうそ~」と笑いながら後ずさりしていました。
この日、子どもたちは、前日のアクセサリー作りで芽生えた興味を通して、初めて訪ねる民族学博物館を
味わっているようでした。
子どもが、何にどのような形で興味を持ち始めるのかは、大人のそれとはずいぶん違います。
↓の写真は、民博内に韓国の料理屋さんです。
店そのものが展示物で中に入ることもできます。
オンドル(朝鮮半島や中国の華北北部・東北部で普及している床下暖房)もついています。
大人は、オンドルやサイズが小さな扉などに目が奪われるのですが、
子どもたちはというと、扉を閉める際の木でできた鍵のようなものが
一番面白かった様子。
民博を出る時、小さな女の子たちまで口をそろえて、「今度、教室で作りたい」と言っていたのは、
熊を捕まえる罠の仕掛けでした。
エサに手をつけようとすると、穴の入口が閉まって閉じ込められるようになる仕掛けが作りたいとのこと。
やっぱり子どもの着眼点と興味の持ち方は大人とはずいぶん違うもんだな……と実感しました。