虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

とてもよい関わりをしているのに、子どもの困った行動が増えてくる時に 2

2017-10-31 19:00:29 | 日々思うこと 雑感

ブログの不具合で、記事がきちんとアップされていなかったので、

前回の続きを書いておくことにします。


(Yくんのお母さん、コメントありがとうございます。)

「Yの困った態度は、わたしの今までの接し方も原因とおっしゃっていましたが、

具体的にどういうことか、聞きそびれてしまって、

今度お聞きしたいと思っている」とあったので、

あくまでわたしの体験を通した視点ですが、

ブログ上でお伝えしたかったことを書いていこうと思います。

 

子どもを育てていると、正しい子育てをしているのに、

子どもの問題行動が増えていく場合があります。

 

それも世間一般では「正しい」と錯角されているけれど、

実際には間違っている接し方をしているのではなく、

正真正銘、子どもの成長にとって大切な関わりをしているのだけど、

子どもとの関係が年々、難しくなっていく

こともあるのです。

 

コメントをくださったYくんのお母さんの

「本人が考えて自制心を持って選択できるようになってほしい」

という思いは間違っていないし、

何をしたいのか自分で選ばせて、それに能動的に関われるように

見守るのは大切なことです。

 

わたしも教室で、子どもたちが自分の意志で決めて

物事に根気よく関われるような

環境を用意しています。

 

ただ、わたしはYくんに対しては、こうした関わり以外に

別のアプローチも必要だと感じました。

 

Yくんはいつも,自分のやりたいことをやりたいようにして

自分がやめたい時にやめて、

好き勝手に振舞うことを

自分の当然の権利だと思っているようでした。

 

それゆえ、家庭では食事時間に呼ぶのもままならない様子ですし、

学校でも頻繁に周囲を困らせるような行動を取っていると

お聞きしました。

 

Yくんは相手の話にきちんと耳を傾ける力があるし、

好きなことならねばり強くやり抜くこともできます。

 年齢相応の知力もある子です。

 なのにどうしてこんなに困った状態にあるのかというと、

おそらく決定権を誤解したまま

「いつ何をするのかを決めるのは自分」という捉え方を

徹底させてしまったようなのです。

 

決定権については前にもしょうかいした

『決定権を誤解する子 理由を言えない子』という

本にくわしく説明されています。

 

決定権を誤解したまま育つと、

「食事だから席に着きなさい」「雨が降りそうだから家に入りなさい」と

いった大人の言葉も、いちいち「意地悪で言っている」

「(自分が)嫌いだから言っている」と悪意に捉えて

本人の中で定着させてしまう可能性があります。

 

『決定権を誤解する子 理由を言えない子』にこんなことが

書かれています。

 

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子どもは、一歳後半から「~ちゃんの!」と主張しだします。

そう主張しながら、自分と他者の違いを意識していくのでしょう。

ところが、「自他の区別」が進まず、所有や役割への認識が

曖昧なままの子がいます。

それが決定権への思いもよらない誤解へと進みます。

その誤解が「わがまま」「自分勝手」

「人の話を聞かない」といった姿へとつながることがあるようです。

なお、子どもの要求はなんでも受け止めるという姿勢。

あるいは説明しても理解できるはずがないという大人の思い込み。

これらが決定権への子どもの誤解を根強いものにする

要素にもなります。


   『決定権を誤解する子 理由を言えない子』

    湯汲英史 小倉尚子 かもがわ出版

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虹色教室では子どもたちが何をやりたいのか自分で決めて

ものごとに能動的に関わる姿勢を育んでいます。

子どもたちにそうした環境を用意する一方で、

所有や役割に対する認識が十分育っていない子が、

決定権を誤解して生きづらさを抱えることがないよう

気をつけてもいます。




 

 

 


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