虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

どんぐりのピタゴラ装置 と 「家でよく工作をするようになりました♪」という報告 1

2015-10-10 16:12:04 | 工作 ワークショップ

年少のAちゃん。

お母さんから、「前回のレッスン後、家でよく工作をするようになりました。

アドバイスいただいたようにAの喜ぶような素材を用意したのがよかったみたいです」

という報告をいただきました。

確かに、今回のレッスンではずいぶん手慣れた仕事っぷりを見せてくれました。

 

Aちゃんは感覚が優れている子のようで、色と形に敏感です。

Aちゃんの工作は、お気に入りの折り紙の柄を選ぶことと、

使いたいサイズの紙コップを選ぶことからはじまりました。

黄色に星が印刷してある折り紙をくるくる丸めると、

ていねいにセロテープを貼っていました。

 

「紙を丸めると筒ができる」といった技術は、あらゆる場面で応用がききます。

子どもたちは、滑り台、望遠鏡、鉄棒やのぼり棒、吹き矢、筒型飛行機、

ガチャポンの内部の仕掛け、巻きずし、ゴミ箱、高層ビル、バトン、体温計、

指揮棒、お箸、掃除道具、ピタゴラ装置の通路、ロケット、直立するお人形等を

紙を丸めて作ります。

 

できるようになったお気に入りの技術で、自分が作りたいものができないか

考えるところから工作をしていく子たちは、頭も手もフルに使いながら

どんどん高度なものに挑戦していきます。

 

写真を撮りそびれたのですが、Aちゃんは高めの紙箱に丸めた筒の一方を貼って、

もう一方を上の写真にある紙コップにペットボトルの先を入れたものに

貼り付けていました。

すると、どんぐりが筒を滑ってペットボトルを通って赤いコップの中に落ちます。

 

感心したことに、Aちゃんは、落ちたどんぐりを取り出せる穴を開けていました。

 Aちゃんは工作をしている間中、どうしてそんなふうに作っているのか

理由を解説し続けています。

Aちゃんは今、ひとつひとつの作業について、なぜそうしているのか

理由を確認することに強い関心があるようです。

 

ピンクと青で塗り重ねた後で、「ねっ、きれいでしょ?」とAちゃん。

「わたしはね、お家では手で持つところがもう少し大きいはさみで切っていたの。

ああ、お家から持ってきたらよかった。

そうしたら、小さいはさみみたいに手がきゅってならないから。

あのはさみみたいなの」とAちゃんはBちゃんの年長のお姉ちゃんのCちゃんが

使っていたはさみを指さしました。

Aちゃんが使っているはさみより持ち手の部分が少し大きいはさみです。

Cちゃんは優しいお姉さんですから、Aちゃんのはさみと自分のを交換してあげました。

 

 Aちゃんの工作する様子はとてもていねいです。

作品同士、テープでひっつける作業を念入りにおこないます。

また、紙コップは内側まで色付けし、紙コップを切って浅いサイズのコップや

縁部分のわっかを作る際に、非常に几帳面に底と並行に切っていました。

 

そんなAちゃんですから、

Bちゃんがリングが壊れた指輪をセロテープでぐるぐる巻きにして修理したのを見て、

びっくり顔で、「あのねぇ、テープがごつごつについているよ。でこぼこしてる」

と指摘していました。

 

年少のBちゃん。

直感が優れている子で、困った事態に陥った時、自分で問題を解決するのが

得意な子です。

Aちゃんの指摘などなんのその、Bちゃんはテープで修理できたことに心から

満足していたようです。見栄えうんぬんより、セロテープを使って自分でできることが

面白くてしょうがない模様。

 

どんぐりの遊園地を作るために地面にする色画用紙を選んでいた時、

こんなことがありました。

 

Bちゃんは姉のCちゃんがクリーム色の画用紙を使っているのを見て、

「クリーム色がいい!」と言っていましたが、ありませんでした。

ほかの色では納得しないBちゃんに、4分の1サイズに色画用紙を見せて、

「こんな小さい画用紙ならクリーム色が何枚か残っているよ」と言うと、

「それなら、テープで貼るから大丈夫」とのこと。かなり雑な仕上がりでは

ありましたが、4枚貼り合わせて、満面の笑みを浮かべていました。

 

Bちゃんは作品そのものより自分ができることに重きを置く子です。

きれいかどうかより、「4枚小さい紙を貼ると、念願の大きなクリーム色の

色画用紙ができあがる」事実に魅力を感じていたようでした。

 

Aちゃんは折り紙で作った筒で滑り台を作っていましたが、Bちゃんには

ストロー2本で滑り台を作る方法を教えました。

 

Aちゃんのこれまでの理解では、セロテープとは物と物をぴったりと

合わせてひっつけるものです。

でも、この滑り台はどんぐりが「転がるけれど落ちない」幅を開けて、

ストローを貼ることになります。

 

「2本がひっつかないように貼る」のは、Aちゃんにとって

技術的にも「どうしてそうするのか」という理解の面でも難しくもあり魅力的でも

あったようです。

ずいぶん時間がかかったけれど、それだけに丸い大きなどんぐりを転がしたり、

細いどんぐりを俵のように寝かして転がしてみたり、

縦にしてうまく滑らないことを確認したりしていました。

 

Bちゃんは滑り台ができるやいなや、「カップに穴をあける。ここらへん」と言って、

Aちゃんのように転がって入ったどんぐりが下から出てくるようにしていました。

 

Cちゃんは工作慣れしている年長さん。ひとりでもりもり作っていきます。

Bちゃんと同じストローの隙間の滑り台やどんぐりのケーブルカーなどを

作っていました。

 

そんな時、Bちゃんが、どんぐりを入れた紙コップに切った紙を貼っている姿が

目に入りました。

「それなあに?」とたずねると、「ふた」という答え。

みんなの注目がBちゃんのふたに集まります。

「Bちゃん、すごいね。ふたがあればこぼれないもんね。

でもさ、どろぼうがきたらどうしよう?それか、ひっくりかえっちゃったら……?」

「鍵をかけておけばいいんじゃない?」とAちゃん。

鍵という言葉を耳にして、Cちゃんの目がきらきら輝きました。

「でも鍵は難しいわ。できないかもしれない」とCちゃん。

 

次回に続きます。

 


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