虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「自分の中心」「自分自身の土台」作りを目指して 3

2015-11-30 21:20:31 | 日々思うこと 雑感

 

「自分の中心」「自分自身の土台」作りを目指して 1

「自分の中心」「自分自身の土台」作りを目指して 2で書いた

ユースホステルでのひとこま。

 

この日、初めて会ったばかりの年長のAちゃんとBちゃんが、

手に手をとって、ひとりで部屋にいたわたしのもとに現れました。

ふたりはお互いに思い詰めたように見つめあったり、

ワクワクする気持ちではちきれそうな表情を浮かべたり、

何やら小声で耳打ちしあったりしながら、しばらくもじもじしていました。

「なぁに?何か話たいことがあるの?」とたずねると、

Aちゃんが決心したようにBちゃんの手をにぎって、

「ねっ、先生にだけは秘密を話しちゃおうか?」とささやきました。

Bちゃんは「うーん」と答えを渋っているにも関わらず、

そのキラキラ輝いている瞳には、こちらに対する信頼感と親愛の気持ちが

揺らいでいるように見えました。

 

「秘密があるの?」と聞くと、

AちゃんもBちゃんも意味ありげに目配せしあいながら、こっくりします。

「先生に秘密を教えてくれるの?」と問うと、

Aちゃんが、「ねっ、話しちゃお」と言ったかと思うと、

わたしの耳に口を近づけて、「あのね……」と話しだしました。

 

それは、ちょっとした冒険でした。

最初に話を聞いた時、わたしが、「えっ、でも、上の階に勝手にふたりだけで行ったり

したら危ないわ。知らない人が声をかけてくるかもしれないし……もし、どうしても

秘密を実行したいなら、先生がそっと後ろからつけていくけどそれでもいい……?」と

言いかけるとふたりはびっくりしすぎて尻もちでもつきそうなほどあわてて、

わたしの勘違いを正しました。

「上の階に行くんじゃないよ。2段ベッドの上のこと……それで……」

 

よく聞いてみると、危険度ゼロのかわいらしい冒険でした。

 

「それは面白いことを思いついたわね。でも、○○は大丈夫なの?」

「うん、ちゃんと○○して○○するから絶対大丈夫」とのこと。

新しい秘密の共有者であるわたしに

目だけで真剣なメッセージを伝えながらふたりは帰っていきました。

 

AちゃんやBちゃんのように目で語る子たち……。

よくものがわかっているのに控えめで言葉が少ない子もいるし、

多種多様な溢れるような感情をうまく扱えなくて、つんけんした

あまのじゃくな態度を取ってみたりする子もいるし、

表情やすることからは利発さがうかがえるのにこれといったアウトプットがない子も

いるけれど、その瞳や雰囲気から感受性の豊かさやメタ認知力の高さが感じられると

いう子たちについて……最近、わたしの中で新しいちょっとした発見がありました。

 

これまで、子どもの「暗黙の了解をやり取りする力」とか「感受性の豊かさ」や

「メタ認知力の高さ」といったものは、自分の勘や感情で捉えるしかなかったのですが、

実は、今年、『ディクシット』というボードゲームを購入して以来、

(『DiXit』は、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞し、

世界中に“コミュニケーション・ボードゲーム”のブームを巻き起こしたされる

有名なゲームです)このゲームに夢中になる小学2、3年生というのはたいてい、

幼い頃から目で語っていた子たちだと思いあたりました。

また、このタイプの子たちには、小学2年生くらいで高学年向けの物語を

手放さなくなる子もけっこういます。

 

 

 

「2段ベッドの上へ……」と秘密をささやいていたAちゃん、Bちゃんは、

翌日、ユースホステルの部屋を工作で再現していました。

創る上で、ベッドは必須の様子。

モールでていねいにはしごを取りつけていました。

 

 


ままごと好きの年中さんのレッスン

2015-11-30 13:56:10 | 子どもの個性と学習タイプ

お料理に強い興味がある年中さんの☆くん。教室に着くなりおままごとのキッチンに

直行して、チャーハンを作る真似をし始めました。

 

てんびんを使って、

お金を投入するとお菓子が出てくる仕掛けを作って見せてあげるものの

「待って!待って!まずはお料理がしたいから」と気もそぞろです。

そこで、今回はたまたまひとりでのレッスンだったので

☆くんの好きなままごとやお料理にたっぷりつきあうことにしました。

 

ごっこ遊びとはいえ、裏庭でネギを取ってきたり、(取ってくるフリです)

切り刻んだり、「あ~洗うの忘れていた」と慌てたり、

トウガラシを丸まま投入して辛くしすぎたり、

はちみつの隠し味を加えたり、お客さんの「あちち~」の声にフーフーと

息を吹きかけて冷ましてあげたりと……本気です。

 

そんなままごとをもっと楽しいものにするために、いくつか簡単な工作を提案しました。

 

お皿で丸を描いて、半分に切ってから円すい形に丸めます。

ソフトクリームのコーンを作るのです。

子どもにはこのコーンの巻き方が難しいです。

☆くんもうまくいかなくて戸惑っていたので、折り紙のように折ってから

中を広げる方法を教えると自分でできて喜んでいました。

 

綿を入れてソフトクリームのできあがり。

綿は子どもが扱いやすくて何度も繰り返し使える工作素材ですが、

何でも口に入れる幼い子がいる家庭では扱いに注意してくださいね。

ティッシュペーパーや新聞紙でも十分楽しめます。

 

綿を使っておにぎりやお弁当も作りました。

☆くんはが我慢が苦手で、かんしゃくを爆発させることが多い子だったのですが、

物作りを始めるようになって、急に落ち着いてきました。

以前は、絶えずお母さんにかまってもらいたがっていたのですが、

ひとりで集中して机に向かうことも増えてきたそうです。

 

皿で丸を描く方法でピザも作りました。

 

☆くんお得意の糸電話も作り、ピザ屋の電話注文を待つこととなりました。

 

とぅるるるる~

「はい」「もしもし、ピザ屋さんですか?」

「はい、そうです」

「チーズとベーコンのピザをください」といったやり取りの後で、

☆くんはピザをオーブンに入れて焼いてから届けてくれます。

 

本物すぎるおもちゃよりも、自分の想像力で

「オーブンがあるつもり」でスイッチを押したり温度調節したり、

時間を設定したりすると楽しいですね。

「あ~何度にしようかな?180度だと熱すぎてこげちゃうかしら?」と

椅子の下をのぞきこむとか、

「あっオーブンが動かない!」とボタンを押しまくってあせる真似をしてから

修理屋さんに電話して呼んでみたり。修理屋さんというのは、もちろん☆くんです。

 

 ソフトクリームの機械(テーブルの脇)の故障にかけつけた修理屋さん。

ドライバーとトンカチ(げんこつ)で修理中。

 

 

「もしもし、ピザ屋さんですか?

あの~今日はお外にピクニックに行こうと思っているんですけど、

ピザだけだとお腹がすいちゃうと思うんですよ。

何かお弁当のようなものも届けてくれますか?」とか、

「あの~ピザって熱いですよね。ピザを食べた後で

冷たいものが食べたくなったら、

食べられるようなものって売っていますか?」といったりして、

☆くんが自分の知恵を使って楽しめるような注文を出しています。

 

こうしたままごと遊びをたっぷりした後で、手やテーブル周りを除菌して、

本物のパンケーキ作りもしました。

 

作り方をよく読みます。

☆くん、以前、グループの子のひとりのお別れ会をした際に

お絵かきグミランドというお菓子をお友だちと作ったことがあります。

その時、パッケージ裏の説明に耳を傾けた経験が

よほど心に響いたらしく、その後、同様の知育菓子を買ってお家で作った時も、

「箱の裏に説明が書いてあるんだよね。それを読んでから作るんだよね」と言って

聞き分けよく作業をしていたそうです。

 

今回もパンケーキミックスの説明をよく見て、手順通りに作っていました。

☆くん、いろいろな料理のレシピを見ながら

自分でお料理できるようになりたいようです。

 

3分ほどで完成!ひとくちだけ食べて、後は包んで帰りました。

 

工作で作った操り人形を人形劇に舞台で動かして以来、

この人形劇場が大のお気に入り。

今回は、お互いに即席で物語を作って遊びました。

 

わたしが演じたのは、「だれが一番、怖いの?」という話。

カバやひょうやおばけや恐竜が次々表われて、「ぼくが世界で一番怖い!」と

自慢します。最後にみんなは大げんか。

☆くんが舞台に向かって、「けんかしゃちゃだめ」と注意すると、

人形たちがびびって、「☆くんが一番、怖い!」となるお話です。

 

☆くんも物語を作って、劇に挑戦。

お話はわたしが演じたのと同じ「だれが一番怖いか」というお話でした。

お話のレパートリーを広げるために絵本で読んだ話などを劇のストーリーに

取り入れていくといいかもしれませんね。

 

算数タイムには、駅名が書いてあるトランプを

1から順番に並べていったり、数のクイズに答えたりして遊びました。