虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「自分の中心」「自分自身の土台」作りを目指して 1

2015-11-23 07:33:44 | 日々思うこと 雑感

いつも寄らせていただいている『マイコー雑記』というブログで

『一対一で過ごす時、より根本的な調整』というタイトルの記事を読みました。

 

思春期の娘さんと「ふたりきり」の買い物。

一対一で過ごす中で、少しきしむことのあった歯車が、

潤滑油を足されたようにスムーズに回りだした、という話が綴られていました。

忙しい日々の中で、子どもへの対応が対処的なものだけに傾きがちなのは、

子どもの年齢を問わず、どの家庭も同じなのでしょう。

 

ただ、そちらのブログにあった、

<二人だけの時を楽しみ、普段なかなか出来ない話をする時というのは、

より「根本を調整」してくれる。

そしてこうした一対一の時とは、幼い子でも、ティーンであっても、

 パワフルに有効なのだなと、しみじみ感じている。>

 という気づきを得るのは、誰でもできることではないのかもしれません。


実は、昨日、ユースホステルでのレッスンから帰ってきて、その余韻を味わいながら、

先のブログで目にした「根本を調整」してくれる、という言葉について

ずっと思いをめぐらせていました。

 

ユースでは、子どもたちと昼も夜も翌朝も、遊んで遊んで、食べて、おしゃべりして、

作って、勉強して、あれこれ思いめぐらして、計画して、また遊んで、ごたごたして、

おしゃべりして……をエンドレスに繰り返しています。

そうして密に長い時間いっしょに過ごし、合間合間に、子どもと一対一で関わると、

子どもとの関係や、大人も子どもも内面の風景が非常に深い部分で変容していくのを

感じます。

一人ひとりの子の個性と付き合っていくことについて、時間の許す限り、

親御さんと言葉を交わすこともそうした変容を支えているのかもしれません。

まさに「根本を調整」してくれるという言葉が、しっくりくる感じです。

 

今回のユースホステルには、まだ虹色教室に通うようになって日が浅い

小1のAちゃんが参加していました。

Aちゃんは社交的で積極的で友だちが多い一方、ひとりで活動するのも好きな

外向的でも内向的でもある凛とした女の子です。

Aちゃんのお母さんはAちゃんを頭の回転が速い魅力的な子だと思っているものの、

「あまり考えずに行動することが多いのでは?」「考えるのを面倒がることも……」と

気にかけていました。

 

Aちゃんは物作りが好きで、教室での活動はいつも工作を選びます。

作るものに工夫を凝らすよりも、さまざまな素材を試し、その素材について

他の子らや大人に使い方を説明することに最も熱心です。

 ユースホステルでも、Aちゃんは珍しいタイプのビーズ手芸や

パステルでの重ね塗りの仕方を他の子や大人たちに紹介していました。

いの一番に目新しい素材の使い方をマスターし教えているとはいえ、その後は、

それらを使って何か自分の作りたいものを作る……という発展はなく、

素材で遊んでみる、素材を使ってみるというレベルから、

すぐに次の新しい素材を使うことに気持ちが移るようでもありました。

勉強においても同様で、覚えもよく物分かりもいいし、学校で習ったことを

他の子らに説明するのは好きだけれど、

応用問題となると、たちまち興味が失せるようでした。

 

わたしはAちゃんを「あまり考えようとしない子」という目で眺めるのは、

時期尚早だと考えています。(まぁ、もっと先になっても、そうしたレッテル貼りに

意味があるとは思えませんが……。)

それよりも、Aちゃんの旺盛な好奇心と創造的な遊びが好きなところ、

他人に説明するのが好きなところ、素材に興味があって精通しているところなどの

長所をどんどん支援して、それがもっともっと豊かに膨らんだ頃に、

「じっくり考える」という態度が追いついて育ってきたら

どんなに素敵だろう、などと考えています。

 

教室にはAちゃんと似たタイプの3年生の子がいます。

他の子の真似でやってみたり、ちょっと触りだけやってみるのは好きだけど、

発展させるほどじっくり関わりはせずに、それを紹介することに熱心という子です。

低学年のうちは、

少し考え方に固いところやあまり深く考えないところがあったけれど、

3年生になるころには、ゆっくりと考える力が身についてきました。

そうして、いざ、考える力が高まってくると、それまで他の子らに

説明するのが好きだった時期に鍛えに鍛えた言葉での表現力が、

遊びの場でも学習の場でも、

「何ごとも理路整然と相手がわかるように説明できる能力」として輝きはじめました。

 

次回に続きます。

 

 


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