虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 3

2015-01-31 20:45:33 | 幼児教育の基本

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 1

子どもとの間で生じる『力のゲーム』から抜けるには? 2 の続きです。

 

前回の記事でAくんとわたしとのやり取りでわかるように

Aくんは衝動的で自己中心的な性質ではありません。

周囲の空気を読んで慎重に自分の出方を決める自分を抑えがちな子です。

絵が上手なAくんは、園のお友だちから「○○の絵を描いて」と

頼まれることがよくあって、

もう絵を描くのをやめて遊びたいのだけれど、

絵を描いてって言われるから描いていたら

あんまり遊べなかったとがっかりした様子で口にすることがあるそうです。

 

そんなふうに自分を抑えがちな子が、ある時には手がつけられないほど

大泣きしてみたり、あれもだめこれもだめと駄々をこね続けることは

よくあることです。

普段ストレスを溜め気味なので、神経が疲れきってしまうことも

あるでしょうし、もともと過敏な性質だから、周囲の空気に気にして

慎重に振舞っているとも言えるでしょう。

また、こうしたタイプの子の中には、ちょっとしたきっかけで、

過去の嫌な出来事をどっと思いだしてしまう子もいます。

ですからAくんが寝しなにわざわざけんかをふっかけるような真似をして

それをエスカレートさせていくのは、

身体に溜めこんでしまったネガティブなものを吐きだす必要があって

そうしているのかもしれません。

 

ただ、そうとばかりも言えません。

Aくんは内気で他人に対して遠慮がちな子で、

頼まれごとでは相手にあわすことが多いですが、

その一方で、「自分はこうしたい」というイメージが非常に

はっきりしている子でもあります。

毎回、教室では、多少の反対には屈せず、どんなに手間をかけて説得してでも、

自分の意見を通そうとするAくん姿があります。

Aくんは、「これにする?あれにする?」といった選択肢を提示されることを

好まず、自分の中の「こういうことがしたい」を口にするし、

それはとても独創的で、新しさが感じられるものです。

以前、教室で部屋を暗くして影絵や光の実験をするのが流行った際も、

一番最初に「こういうことがしてみたい」とアイデアの火を灯したのはAくんでした。

日常の中で、Aくんの感受性に「これは面白い!」と響いたものを、

どのようにしたいのか、何が必要なのか、どんな手順でできそうか、

誰に何を頼めばいいのかをじっくり練っていて、

今なら口にしても大丈夫そうだという時に、こんなに物静かな子の中に

よくこれだけ言葉が詰まっていたものだと驚くほど、

ああだこうだと事細かに解説し始めるのです。

 

次回に続きます。

 


大阪駅の魅力 3つ

2015-01-31 19:05:45 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

先日、教室の子どもたちと大阪駅に行ってきました。

正確には、子どもたちが電車で帰るのに大阪駅まで付き合いました。

この後、私はいきなり高い熱が出て、インフルエンザにでも感染したのかと

心配したのですが、ただの風邪だった模様。

(もしこの日、風邪が移ってしまった子がいたらごめんなさい。)

今は全快しています。

 

大阪駅まで子どもたちを見送った理由は3つ。

ひとつは、「化石探し」を手伝うこと。

うにょうにょしたカエルの卵のように見えるおそらくサンゴの化石。

壁一面がこんな感じ。

子どもたちは、すっかり化石通になって、

「あっちにもビリビリがある」「こっちにぐにゃぐにゃがある」

「こっちに貝の四角いみたいな丸いみたいなのがある」と大騒ぎでした。

 

もうひとつの見どころは、電車のおでこ。電車の背中。

ちょうどめずらしい電車が到着したので、

みんなで「電車を上から見たらどんなだろう?」と覗きこんでいるところです。

残念ながら、シャッターチャンスを逃しました。

3つ目の魅力は、エレベーターのしくみが見えるガラス張りのエレベーター。

2階では、「エレベーターの頭の上を見よう!」と覗きこみ、

透明のエレベーターに乗って1階に下りてからは、

「エレベーターのお尻を見よう!」と言って下から見上げました。

子どもたちは非常ボタンを見つけて大喜びしていました。

 


好奇心のスイッチをオンにするには?

2015-01-31 09:30:07 | 幼児教育の基本
(過去記事です)
 
こんなコメントをいただきました。
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好奇心のスイッチオンになる瞬間・・・
ずっと待っていますが何だかまだまだの様子。
時間に余裕はあると思うのですが、追いかけっことかかくれんぼとか
体使う系の遊びばかり……
スイッチオンにするには種まきとして興味ありそうなものを
仕込む事も必要なのでしょうか。
そうするとつい教えたくなってしまって・・・
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興味や好奇心をスイッチオンにするには、
豊かな知的好奇心を刺激してくれる環境と子ども自身の自由が大切です。
管理や操作の多い環境では、好奇心や興味はしぼんでしまうからです。
それとは別に、好奇心のスイッチをオンにするちょっとしたコツを
紹介します。

少し前に教室の生徒たちとファミリーレストランに
社会見学に行ってきました。
子どもたちには、レストラン内で使われている機械を見つけたら
報告するように言っていました。

駐車場の券売機
ガチャポン
電気
入り口のセンサー
注文を受けるときの小型の機械
お店の人を呼ぶためのブザー
大型の薄型テレビ
ドリンクバーのさまざまな仕組みの機械
ロールブラインド

など子どもたちは、次々見つけて教えてくれます。
そうしたときに、見えないような位置にある隠しカメラなどにも
すぐさま気づく子がいます。
そうした能力は日ごろ学校などでは評価されにくいものです。
落ち着きのなさや気の散りやすさと取られていることもあります。
すかさずそうした観察力を褒めていると
子どもの取り組みに対する意欲が変わってきます。
ただ機械探しが次の段階の興味へと高まっていきます。

自分の本来持っている良い資質を正しく評価される

ということは、子どもが世界と知的な部分で関わっていく上での最初の
突破口となります。

例えば大人でも、「文句が多い、苦情が多い」という人は裏を返すと
「細部にいたるまで目が行き届く、改善改良点に気づきやすい」
という良い資質を持っていたりしますよね。
まずその良い性質を人からきちんと評価される、自分で意識することをすると、
文句や苦情でブルーだった日々が、
完璧を目指して意欲的に仕事するという日々に変わっていくかもしれないのです。
子どもも同じで、環境も大事ですが、子ども内部の良い資質に注目して
言葉にしていく、意識させていくことが、
好奇心のスイッチがオンになりやすい資質をつくるように思っています。
 
ファミリーレストランに行った理由ですが、
科学館や博物館で好奇心のスイッチをオンにすることは誰でも
思いつくと思うのです。

でも日常のさまざまな場所で
先入観から、大人も子どももスイッチを切ったまま目の前のものを
ぼやっと見過ごしているのです。
真っ白い好奇心いっぱいの心で眺めるということはあまりありません。

だからこそ、子どもたちとは
道路にも、図書館にも、レストランにも、お家にも、
不思議や好奇心の基はあふれるほどあるんだよ、
隠れてるんだよ、ということを教えたくて、
ありきたりの日常のシーンを社会見学の場に選んだのです。
地下の通路を通るとき、「どうしてこんな通路を作ったのかな?
積み木で地下通路が作れるかな?」といった質問もしました。
都市にあるあらゆるものには作られた理由があり、機能があり、
作った人がいます。

当たり前の日常の風景に
好奇心のアンテナをいっぱいはって、自分の頭で考え、自己表現できる子
たちに育ってほしいなと思っています。