虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃいけないの? 2

2013-01-28 21:30:54 | 工作 ワークショップ

児童館の館長さんの心配は

ある地域の限られた子どもたちの姿ではなくて、

ごく普通の大多数の子らが大人の管理を離れて、

自由な遊び時間を手にした時に陥る姿だと思います。

 

虹色教室では、子どもの創造的な活動に対する意欲が生まれやすいように、

お友だち間の学び合いや協力が起こりやすいように

さまざまな工夫を凝らしています。

 

物作りの技術を身につけつつ、

人と響き合う楽しさ、アイデアを出し合う面白さ、

自分の全エネルギーを無駄にも思えるような何かに投入してみる満足感、

問題を解決した時のスカッとする気持ちなどを味わうことができるような

環境を物の面でも人の面でも整えるようにしているのです。

そうした種まきや地道に心を耕す過程があってこそ、

子どもたちが主体的に遊びを生み出して、お互いの心を共鳴させあいながら

楽しい時間を作りだすことができているのです。

また遊びがそのまま学びの好奇心になり、学ぶ時の姿勢になり、学習動機や意欲にも

つながっているのです。

 

子どもたちはみんな現代っ子ですから、もともと想像力や創造力が豊かで、

自分で考えて遊びを作りだし、お友だちと協調して遊び、問題が起これば解決することができる子というのは

ごくわずかです。

 

教室に来ている小学生にしても、こちらが遊びを豊かにする方法を伝え、

子どもの心に「豊かさのある面白い遊び」という火を灯さなければ、

それぞれ好き勝手に自分で完結する遊びをしようとしたり、

遊びもしないのに教室を散らかしてまわったり、室内でボール投げをしたりして

ゲラゲラ笑い転げる……という児童館の先生が嘆いておられた「破壊する遊び」だけに興じるところがあります。

それが幼児期に聞き分けよく育ってきた小学生たちが好む遊びだからです。

 

そんな子どもの遊びの世界の質の低下を目にすると、大人たちは教育のことばかり語り合っていていいのかな、

と疑問を抱きます。

子どもの遊び世界とはそのまんま子どもたちの内面世界の現れではないか、

と感じるのです。また、子どもの生きている世界の投影でもあると思われるからです。

 

子どもの遊びの世界が衰退し、瀕死の状態にあるということは、

子どもの内面世界が枯渇し、子どもを取り巻く環境が寂しいものとなっていることを

伝えるSOS信号とも受け取れるからです。

 

次回に続きます。

 


工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃいけないの? 1

2013-01-28 14:43:52 | 工作 ワークショップ

 虹色教室通信では子どもたちが工作やブロック遊びといった物作りを楽しんでいる姿を紹介しています。

そうした画像を見るうちに、

「うちの子は工作やブロックが好きじゃないけど、好きじゃない子にもやらせなきゃいけないの?」

と悩む方がいるようです。

 

もちろんやりたがらないものを無理にやらせる必要はないはずです。

 

ただ、「やりたがらない」の背後にあるものを、

安易に、好き嫌いの問題とだけ捉えて、

「うちの子にはあってないようだから、させなくていいわ」と白黒つけちゃうのは

どうかな、と思っています。

 

別に工作じゃなくてもいいし、ブロックじゃなくてもいいけれど、

子どもには、おもちゃに遊んでもらうんじゃなくて、

自分で遊びを作りだしていくようなシンプルな素材との付き合いが必ず必要だと思っているのです。

 

わたしが子どもの頃は、地面や草木や外の世界にあるありとあらゆるものが

子ども自身が創造的に遊びを生み出していくための素材として利用されていました。

 

「子ども時代、工作もブロックもしたことがない」という方も、

地面に円を描いて石けり遊びをしたり、線を引いてドッチボールをしたり、階段を上り下りしながら、じゃんけん遊びをしたり、

どろだんごを作ったり、草花でままごとの料理を作ったり、フェンスを上って新しい道を開拓したりした覚えはある

ことと思います。

そうした自ら作りだしていく遊びの場では、子どもから子どもへ、伝承されていく学び合いが

常に行われていたし、自分の気持ちを表現したり、

自分の考えを伝えたり、黙々と素材の感触と触れ合うゆったりした時間が

ありました。

 

「こういう風に遊びなさい」と大人に遊びを決められたり、「こういう遊び方しかない」とおもちゃに遊び方を

限定されたすることなく、

その日の気分と自分という個性とひらめきや想像の

全てをオールマイティーに受け入れて、さらなる発展をうながしてくれるような遊びの世界は、

今の時代、大人が意識して環境を整えてあげないと

存続できないようなところがあります。

 

もちろん現代の子どもの周りにも土や草花やフェンスや階段はあります。

でも、それらに自由に働きかけることは

今の子に許されていないし、そうした遊びの手本もありません。

 

異年齢の子どもたちが自由に外遊びをする姿が減り、兄弟姉妹が減り、

遊び時間が減り、

遊びを伝承する子どもの文化が衰退し、

子どもの世界に大人が良かれと思うあれやこれやが侵入しているのが、

今の子の現実です。

 

自分で判断したり、考えたり、工夫したり、

「わたしはこういう子だ」とか

「今はこういう気持ち」というものを表現したりするもの。

 

「やーめた、やっぱりこうしよう」と自分の意のままに変更したり、

破壊したり、塗りたくったり、ちまちました作業に没頭したり、巨大なものを完成させる夢を抱いたり

できるもの、していいもの。

 

物と物を会話させたり、他の子のすることに興味を持ったり、感動したり、

自分の作り上げたものに感激したり、称賛されたりするような

人と人とをつなぐ役割を果たしてもくれるもの。

 

そうした変幻自在に子どもの力で創り上げていく遊びは、どの子にとっても大切なもの、重要なものだと感じています。

 

もちろんそれを「工作」や「ブロック」に限らなくてもいいのです。

 

でも子どもにはそういう遊びの経験がいる、ということは現代の子育てでも

心に留めておく必要があるのではないでしょうか。

 

もし「工作」や「ブロック」に興味がない子なら、「知育玩具」や「パズル」や「絵本」でいい……

というのではなく、

やはり「工作」や「ブロック」ぐらい自由度が高く、能動的に働きかけられるような

「ごっこ遊び」「劇遊び」「お姫様ごっこ」とか「秘密基地作り」とか「冒険遊び」

などが楽しめるような環境を用意してあげることが大事かな、と思っています。

 

以前、近所の児童館で工作教室をしていた時のこと、児童館の館長さんから、

「とにかく遊びというと、物を破壊したり、投げたり、足蹴りしたりすることだけ

で終始する子があまりに多いので、どうしたものかと思っています」

という相談をいただいたことがあります。

 

児童館には毎日、大勢の幼児や小学生が集まっていたのですが、

どの子も成長して子ども同士で遊ぶようになったとたん、

おもちゃを破壊して遊ぶことしか興味を示さない……ということを危惧しておられたのです。

「破壊が創造の第一歩ということはわかります。

子どもだってストレスもあるでしょうし。

でも、破壊しかしなくて、遊びが生まれないというのはどうしたものか……」

館長さんは、そう言って、ため息をつかれました。

 

次回に続きます。

 

 


イージス艦、戦闘機、バトルシップゲーム

2013-01-28 12:48:58 | 工作 ワークショップ

小学1年生の★くんのレッスンの様子です。

イージス艦が大好きな★くん。

これまで紙工作やデュプロブロックでイージス艦を作ったことがあります。

 

↓これまでの★くんの作品。

 

 

今回もまた「イージス艦が作りたい」と言っていたので、

素材を変えてみる提案をしました。

積み木とフィギュアと小さいサイズのレゴを用意。

 

 

レゴで作った戦闘機。

これから先、戦争のない平和な世の中であって欲しいと願うけれど、

こうした戦闘物好きの男の子のあこがれは大事にしてあげたいとも思っています。

初めて遊んだバトルシップゲーム。

Aの3、Gの5……といった指示を出して

相手の船や潜水艦に爆弾を落として沈没させるゲームです。

案の定、★くんに大ヒット。

最後にどうしてももう一戦したいから、という理由で、

算数の学習は集中して猛スピードで仕上げていました。