虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

女の子のお友だち関係が難しい~(早期教育が仲間はずれの理由を作る場合も)2

2010-02-28 22:19:29 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
グループで遊ぶ姿を見ていると、お友だちにちょっと出遅れると
★ちゃんはたちまち自信なさそうに立ちすくんでいます。
何をすればお友だちに気に入ってもらえるのかと
途方にくれている様子です。

幼稚園に通い始めた★ちゃんが、
お友だちとうまくいっていないことを感じた
★ちゃんのお母さんから、
「今まで、この子を甘やかしすぎたんじゃないでしょうか?」と
相談を受けたことがあります。

その時期、★ちゃんのお母さんは★ちゃんの欠点にばかり目が
いっているように見えました。
★ちゃんは力が強くてがんばりやな一方で、加減がわかりにくく
物の取り合いになると強く引っ張りすぎたり、
言い張るとしつこくなったりする面があります。

といって、激しくダダをこねるわけでも、お友だちにいじわるするわけでも
ありません。
この年齢の子ならあたり前に持っている弱い一面を、普通程度に持っているだけなのです。


それでも、★ちゃんがお友だちの輪に入りにくい現実を目にすると、
いてもたってもいられない★ちゃんのお母さんは、
★ちゃんがちょっと乱暴におもちゃを扱ったり、お友達に対して自己主張するだけでも、厳しく★ちゃんの悪い点を指摘して直させようとしていました。

たびたび注意を受ける上、実際にお友だちとうまく遊べないストレスが重なって、★ちゃんは自分の一挙一動に自信が持てなくなっていました。

それまでちょっと動きが粗雑だったとはいえ、
自信に満ちた様子で自分のやりたいことをしていた★ちゃんが、

グループレッスンでも私の表情をうかがいながらでないと何かはじめられなくなったり、
お友だちにちょっと邪険に扱われると自傷行為に近い行動を取ったり、
お友だちに迎合しすぎて暴れたり、
好きなものも「嫌い!」と主張したりしてがまんしたり……と、

緊張してぎくしゃくしているのです。

そんな★ちゃんの不安気な表情を見て、
他人の心を読むことにたけている☆ちゃんは、
わざと「遊べない」と言って、★ちゃんが仲間に入れてもらいたがって
じりじりする姿を楽しんでいます。

といって、☆ちゃんはまだ3歳。けっして意地悪な子でも
なんでもないのです。
お菓子を持っているときも、「先生にもわけてあげるね。~にも、~にも」と
言ったり、次々新しい遊びを作り出して配役を決めたり……と、
人と人との関係を作ったり、相手の心の動きに気づいたりする能力が
高いだけなのです。
☆ちゃんの言葉にいちいち動揺する★ちゃんの姿が面白くて、悪気なく「入れてあげない」発言が続いているのです。

問題は「☆ちゃんが始める遊び」に入れてもらえないと
「遊べない」と思いこんでいる★ちゃんの方にもあるのです。

そこで私が少しフォローして、★ちゃんが思いつく楽しい遊びに、
他の子を誘ってみるという状況を作ると、
「私も入れて!」と☆ちゃんも、他の子も★ちゃんと遊びたがりました。

また、★ちゃんはつい自分の今していることに熱中しすぎて
他の子たちの動きに気づいていないことが多いので、
時折、「みんな何をしているかな?」「お店やさんに来てよ~と言っているときに、遊びに行ったらいっしょに遊べるよ」と
ちょっとしたアドバイスをしながら、具体的にうまく遊べた経験を積ませました。
そして、
「楽しく遊べたね」「いっしょに遊べたね」と、自信につながる
実感が残るようにつとめました。

お父さんがお迎えにくると、
★ちゃんは、
呼ばれてもグループの活動には参加せずに、赤ちゃん返りしたように、
おとうさんに甘えてぐずぐず言ったり、「帰りたい」と騒いだりしました。
★ちゃんはこれまで、反抗期らしいものはなく、こうした形で、お父さんに甘えたり、活動を拒否することは一度もなかったことなのです。

★ちゃんのご両親に、「いろいろストレスが多い時期で、エネルギーを充電する必要があるので、
まず受け入れてあげてください」とお願いしているので、
★ちゃんのお父さんは、ワガママに見える姿も叱らず受け入れていました。

すると、「帰る~」と騒いでいた★ちゃんが、お友だちの中に戻り、
カゴから人形を出しながら大きな声で数える遊びを始めました。
すると、お友だちも同調して、笑いながら★ちゃんの真似をし始めました。
★ちゃんはもともとちょっとお勉強チックな活動が好きなのですが、これまでお友だちといっしょのときは、それを控えていました。
が、自分の自信を取り戻した★ちゃんは
私の手を借りずに
自分の得意なことにお友だちを誘ってみたのです。
するとみんな喜んで参加してくれました。

自信がなくなったときや、ストレスが高まったとき、
子どもはちょっと赤ちゃん返りをしてそれを受け入れてもらうと、
また果敢に現実の世界に飛び込んでいきます。

いろいろと失敗しつつも、自分の感情と、
判断に自信が持てるようになると、

自分の喜びや良いところを犠牲にしない形で
お友だちと仲良くしていく方法を
微調節しながら創り出していきます。

急いで解決しようとして、
「あんな意地悪な子と遊ばなくて良いよ」と言ったり、「遊んであげなさい」と強制したり、「あなたの~が悪いから遊んでもらえないのよ」と脅したりするのは逆効果。
子どもの心に耳を傾けて、「遊びたい」という思いがあるなら、
子どものチャレンジをその都度少しだけ支援してあげ、
うまくいかない時の悲しみを十分受け入れてあげていると、
いつの間にか上手に友だちの輪に溶け込んでいるはずです。


次回にもう一回だけ続きます。

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女の子のお友だち関係が難しい~(早期教育が仲間はずれの理由を作る場合も)1

2010-02-28 10:18:22 | 子どもの個性と学習タイプ
女の子たちがグループで遊ぶ姿を観察していると、
年少さんの時点で、(男の子なら年長さん……)
友だちの輪に入って仲良く遊ぼうと思うと、かなり高い人間関係的知能が必要です。
よく言う「空気が読めて」いるかいないかで、
仲間はずれにされたり、女の子集団によるいじめを受けたりする
姿を見かけるのです。

だから女の子は、年少さんまでに人間関係的知能を高めておかなきゃダメ、
環境を状況判断できる力が必要というわけではないのです。
それが苦手な子がいるのはもちろんですし、
そうしたことが苦手な子は、別の部分で非常に優れたところが
ある場合がよくありますから、「個性」の問題で、
優劣とは何ら関係がありません。

けれど、困るのは、お友だちの輪に入れない「本人の悲しさ」や
「自己否定感」です。

それと重要なのは、
その場をおさめる目的だけの親や先生の介入や
アドバイスの言葉を信じ込んで、
友だちに高圧的な態度で接して、よけいに仲間はずれになったり、

本人が嫌な経験をした後にくだした間違った人間関係の解釈が、
成長してからもうまく友だちと遊べなかったり、
自分の良い部分を発揮できない原因になったりすることです。

年少さんの女の子の★ちゃんは、集中力が高く、知能テストのような問題や図形パズルや数の教具を好むかわいらしい女の子です。
力も強く、手先が器用で、はさみを使って次々工作をしたり、
おりがみやお絵かきに熱中するといくらでもやっています。
それが、
大人と子どもの関係だけだと
すばらしい★ちゃんの個性は、
同年の女の子グループでは、仲間はずれになる原因を生みやすいのです。

まだ年少さんですから、嫉妬といった複雑な心理が働いているわけでなく、
単純に★ちゃんが教具に夢中になっているうちに
子ども同士の遊びが次々新しく展開していて、
「入れて~」というときには、「もう、お母さんも赤ちゃんも決まってるから無理~」と言われてしまうことの繰り返しです。
そこで、本人が「好きなこと(知的な課題)をしたら罰のように、お友だちに嫌われる~」と思い込む場合もあります。

★ちゃんが「人と仲良くする方法」として知っているレパートリーは、

何か上手にできたら、お母さんは一生懸命関わってくれる、
お勉強ができると、自分のことを好きになってくれる……

というものなので、お友だちにもいろいろ教えてあげたり、上手にできるところを見せるのですが、逆効果で、それが原因で遊んでもらえなくなるときもしばしばありました。

今、反抗期、真っ只中の年少さんグループ。
「私が、このパズルしてみる?」とたずねると、
「いや~」「やらな~い」「面白くない~」と、とにかく反対してみるのが
楽しくてたまらない様子で、そう言いながらお友達同士
「ね~」「ね~」と結束を強めています。

★ちゃんは、どのように振舞ったら、お友だちと
仲良くできるのかつかみかねていて、お友達が悪ぶってふざけていると、
危ない物を投げるとか、私の頭をたたくなど悪ふざけをエスカレートさせ、
他のお友だちが今度は呆れて、
★ちゃんを避けてしまうほど暴れてしまいます。
それがうまくいかないとみると、
好きでたまらない教具も、お友だちといっしょになって、
「面白くな~い、やりたくな~い」の大合唱に加わって拒絶することで
仲間に入れてもらおうとします。

こんなときに、大人が「正しい」「正しくない」を押し付けて
上から介入して
問題を解決してしまうと、
★ちゃんのお友だちと親しくしていく能力の成長を阻んでしまったり、
見えないいじめの原因を作ってしまうことがあります。

次回に続きます。
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絵を描きました♪

2010-02-28 00:27:08 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
絵を描きました。
『天使』の絵です。
パソコンに取り込むと、黄色系統の色があまりきれいに出ません。残念……。
私は無宗教なんですが、
自分の心の中に浮かぶものを描こうとすると、『幾何学模様の中の天使』を描いていることがよくあります。そういえば、小学生くらいの子どももかならずといっていいほど、天使の絵を描くと、尊敬している絵画教室の先生の著書で読んだことがあります。
こういうイメージ、もともと心にそなわっているものなんでしょうね。


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