セロテープを重ねて作った透明テープに
切符を乗せて引っ張ると
反対側から出てきます。
子どもがすごく興味を持つこと……というのは、その子の
才能と関係しています。
ただ、親や周囲の大人が
本当の意味で子どもが興味を抱いていることに気づいて、
その子が心の底からワクワクする体験をさせてあげようと思ったら
なかなか難しいです。
子どもの本質的なものから、
ちょっとずれたことを「きっと好きだろう」と勘違いして、
習わせて、
大切なその子の時間を奪ってしまうこともよくあります。
先日、虹色教室のTくんのお母さんとお話したときに、
Tくんのお母さんが、Tくんにとって本当に大切なもののために
Tくんの時間をとっておいてあげようとしているのを感じてうれしくなりました。
Tくんは、最近、ロボカップを見に行って、楽しんでいました。
Tくんのお母さんは、「ロボット製作の教室に通えば、それなりに喜ぶだろうけど、コツコツプラモデル作りのような作業をしたり、
プログラムを作っていったりすることは、
この子が心から喜ぶことではない気がする」
とおっしゃっていました。私も教室で、Tくんが一番いきいきしているシーンを思い返しながら、「確かにその通り……」と思いました。
ならTくんが夢中になっていきいきする活動って何?
というと、Tくんは、自分が何かに没頭するというより、
みんなをマジックで驚かせたり、みんなをだじゃれで笑わせたり、
自分の読んだ本についてみんなに面白おかしく紹介したりするときが
一番楽しそうなのです。
また、でんじろう先生のサイエンスショーのようなあっと驚く仕掛けが大好きです。コツコツがんばるエンジニアタイプの子ではないのです。
「ファミリーレストランでは、意外な場所のセンサーにすぐ気づいてましたね」
と私がTくんのお母さんに言うと、
「このごろ、●レンジャーなんかのテレビを見ているときも、特写シーンを見つけては、あれこれ説明しています」というお返事が返ってきました。
特写!!そう、これはTくん好きそう!!と思い当たりました。

次の教室の遠足は、映画村かな~?
「特写なら、使い捨てカメラが一つあれば、いろんな特写シーンを撮る実験ができますよ~」と思わずワクワクして言いました。
普通に駅めぐりして、特写の写真をたくさん撮ってくるのも
楽しい遠足になりますよね。もしTくんが興味を持つようなら、
映画の歴史やカメラの製作やいろんな活動につながりそうです。
教室の他のメンバーもきっと喜ぶだろうし、
そこでは他の子にとって一番ワクワクする何かが見つかるかもしれません。
私はその子が本当に毎週、毎週の自分の時間を使って
「やってみたい、習いたい!」というものができるまで、
習い事などは最低限にしておいた方がいいと感じています。
(遊びなら何に夢中になるのも自由ですが、習い事はお金がからむので、
子どもの心が、どこかで縛られてしまいます。)
その子の個性にぴったりの
かけがえのない出会いのために、子どもの時間はなるたけ大切にしてあげなければなりません。
Tくんにしても、「これはTくんが好きそう」と思うものをやってみて、
やっぱりちょっとちがう……と感じるとき、一歩、本当に惹きつけられる何かに近づけるのだと思います。

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