「希望の国」

2012-10-31 19:22:44 | 映画
あ゛~、園監督に完全にやられた~(大粒涙)とっても良かったです!

ラストは涙なくしては見れない(涙)

噂通り、暴力もSEXもなく、完全に毒を取り除いた、愛だけが残る素晴らしい作品でした!

実際には完全に毒を取り除いているわけでなく、アイロニーたっぷりではありましたが、極端な発想だけどリアリティーがありました。

ぶっちゃけ、今こうして書いている時もラストを思い出す度に涙が出そうになります。

これは園監督の「智恵子抄」であり、「ヴェニスに死す(死なないver.)」でもあり、タルコフスキーの「サクリファイス」「惑星ソラリス」「ストーカー」でもあり、本当にラストは涙が止まりませんでした。

かつて福島県で原発事故があり、また再び架空の都市長島県で震災が起こり、そして原発事故が起こった…。

事故が起きた原発から20㎞範囲のちょうど境目に住む内と外に住む家族の物語。メインは外側の老夫婦。内側の住民は強制退去。外側はそのまま残ってもいいという、めちゃ際どい状況で始まる物語。

もちろんそこには矛盾もあり、アイロニーもあり、めちゃ極端な設定ではあるけども、めちゃリアリティーがありました。人間の本質(日本人の風潮)を曝け出していて皮肉たっぷりに描かれていたけれど、最後に強いメッセージが込められていてめちゃ感動しました。

全然泣くとじゃないのに、泣いている方が何人かいて、ひょっとしたら被災者の方だったのかもしれませんが、ぶっちゃけ偽善者ぽく感じてしまってイラッとしてしまったのですが、まさかラストであんなに涙が出るとは思わないくらい心に訴えかけてくるものがあり、イラッとしたことに反省しましたm(__)m

夏八木勲さんと大谷直子さん演じる老夫婦が本当にリアル智恵子抄のようで、思い出すと涙が出るくらいとっても良かったです。

と、息子夫婦役の村上淳さんと神楽坂さんも良かった。いい意味で親離れできていない息子とお腹の中にいる赤ちゃんを必死にセシウムから守ろうとする嫁の姿にも感動した。

最もビックリしたのが神楽坂さんの演技がめちゃ上手くなってたこと!めちゃ自然だった。

神楽坂さん演じる嫁が一見コメディっぽく見えるシーンがあるんですが、必死な時って周りなんてどうでもいいって思えるもんね。極端だけど大事なシーンだと思います。

逃げることは決して卑怯なことではない。結局のところ逃げても逃げても現実と向き合わないといけない時がくる。その時に本当に大事なことは愛であること。一歩一歩前を向いて歩いていくこと。そんなメッセージをストレートに伝えてくれた園監督の力作でした。

長島県って、長崎県と広島県と福島県を足した架空都市ですかね…?これ以上の皮肉はないですね。

こんなこと書くのもなんですが、毎週しのぶさんのラジオを聴いてなかったら、私自身が震災が起こった事実を風化してしまっていたと思うんですよ。事実、このBlogでは震災のことを触れないことが多いし。でも、有難いことにしのぶさんのラジオでは震災や原発をテーマにしたコーナーがあるので、毎週風化することのない週を過ごさせてもらってます。

歩行時、車の通りのない赤信号で立ち止まることが恥ずかしく思ってしまう今の世の中、自分らしく生きる勇気、自分を信じる勇気、それが必ず誰かを思いやるという愛に変わると確信できる作品でした。

ぶっちゃけめちゃオススメしたい作品です!好みはあると思いますが、ラストはたくさんの方が啜り泣く声がしたので、多分賛が多いと思います。ご覧になる時は是非とも映画館で!

今日のまとめ:希望がないからこそ希望を持たないとね!日本はまだまだ捨てたもんじゃない!


園監督はやはり和製ラース・フォン・トリアーですね。

原発に関して一言:今現在の日本、私は、原発は必要不可欠だと思ってます。日本はドイツと違って、ドイツの倍の人口が生活してるんです。もちろん原発の数も違うけど。ドイツに出来て日本に出来ない訳がないと言うなら、アメリカにも言え!

もう新しい原発は要らない。でも、今は今動いている原発に頼らなくてはならない。電気のない生活ができるなら実行してみろっちゅうねん!私は出来ません。電気を使用している以上、九州に住んでいても沖縄に住んでいても同じだけの責任があると思います。今は誰かを非難することに力を注ぐ時ではない。新しい手段を考えるべき時だと思います。何も考えてない人間が文句言うのが一番腹が立つ。

人生、起こったことを悔んでも仕方ないことの方が多いねん。くよくよしても何も始まらん。二度と同じ過ちをおかさんかったらええねん!それで十分や!もちろん反省と原因追求は大事やで。

追記:あんなこと書いておいて、こんなこと書くのもなんですが…。

今日はシネリーブル梅田で観たのですが、スカイビル下では巨大クリスマスツリーが出来上がってます。毎年恒例のドイツのクリスマスマーケットが、たしか来月の16日(だったと思う…)から始まります。去年は行けなかったけど、今年は行くで!12月にシネリーブルでジェラール・フィリップ特集があるからついでに行きます。なんせラインナップがめちゃ興味をそそる。「ファウスト」やドストエフスキーの原作物があるからね。今年こそグリューヴァイン頂くで!(笑)
この記事についてブログを書く
« 「最強のふたり」 | トップ | 「ロマンチック音楽会」 »