あれっ?コレ、ケラさんとコラボしてました?
って言いたくなるくらい、主人公が置かれている状況や社会が「眠くなっちゃった」と同じでビックリした。
それから、まさかの北村有起哉さんが登場した時には、昨日の今日だけに
これって、いつもの…、
お導きやん!?
と思ってしまった。
(笑)
いやー、
めちゃくちゃ泣けた!めちゃくちゃ良かった!
私、石井監督の脚本好き!←なんの告白や!
(笑)
「月」と同じ脚本監督作と同じとは思えないくらい、どちらかというと「茜色に焼かれる」に近いテイストはあったが、それでも、コミックテイストが強い可笑しみとストレートなメッセージ性に完全ノックアウトされてしまった。
「月」のパンフレットを読んだ時に、ドストエフスキーという単語が出てきたていたので、石井監督もドストエフスキーが好きなのかな?と思っていましたが、
本作を観終えたあと、これは、間違いなく石井監督のカラマーゾフの兄弟だと思った。もちろん、状況設定もカラマーゾフの悲劇性とは異なるが、三人兄妹と父親との関係性や、母親がいない設定、兄弟の中に聖職者がいる、三人兄弟と父親の関係性に他人?部外者?関係者?が強く関わっている様は、カラマーゾフの兄弟と同じだと思った。たまたまだとは思うが、石井監督の無意識下にはカラマーゾフの兄弟が影響されていたことは間違いないと思った。
いや、とてもたまたまだとは思えないな、聖職者がいたからな…。
社会の綺麗事、上司の理不尽な命令に逆らえない状況、他者を相容れない人間性、本音が言えない社会、嘘で固められた社会、反社…に対する果たし状ともとれる内容だったし、何より愛に溢れた作品であったこと、
本作は、個人だけでなく家族愛にスポットを当てた脚本にもなっていて、泣ける要素しかない。
一見相容れない父親と兄と妹間の関係性の中に、なんだかんだ言って親子なんだよな〜的なエピソードが盛り込まれていて上手い見せ方だった。
前半で、主人公があれほど助監督から理由がないことを責められまくり、そりゃ世の中には理由がない出来事があったりするよ!と訴えているのかと思いきや、後半では、逆に理由を責める立場になっていて、どっちが本心なんだ?と思わせておいて、
言葉ではなく映像で理由を表現している様に、石井監督のこだわりを感じた。
なんで、花子は赤色が好きなのか?池松君演じるお兄ちゃんは青い車に乗っているのか?など観客に疑問符を投げかけておいて、あとで理由を回収する様とか、
物事にはちゃんと理由はあるんだよ!言葉で表現すると陳腐になるんだよ!お前らに一言一句納得させる言葉なんてないんだよ!空気読めよ!って言ってるオメェらだってちゃんと空気を読んでくれよ!
っていうメッセージがビンビン伝わってくるようだった。
泣ける要素だけでなく、可笑しみのある要素もいっぱい散りばめられていて、改めて石井監督の優しさや愛しか伝わってこない作品でした。
ということで、「月」に関係なく、松岡茉優ちゃんと窪田正孝君のやり取りが魅力的だった予告を見た時から絶対観る!と決めていたので、早速初日に観てきました。
前半の、茉優ちゃんと窪田君の、理不尽な社会に押し潰されていく様や閉塞感が、ある出来事を機に爆発し、本音で生きる人生を選択する様にめちゃくちゃ泣けた。
茉優ちゃん演じる花子の閉塞感からの開放ぶりはお見事でした。自分の家族の前では変貌すり様など、茉優ちゃんの表現力にめちゃくちゃカタルシスを味わった。
窪田君演じる正夫の始終変わらないオットリ感。花子に出会いイナズマが落ちる様。まるで花子の守護天使のように佇んでいる様。政府支給マスクをつけている様だとか、めちゃくちゃ癒やされる存在だった。
花子と正男の似た者同士なのかそうじゃないのか分からないやり取りや間を含め、キャラ設定がめちゃくちゃ良い。
後半の花子の家族ターンになってからは、佐藤浩市さん演じるお父さん、池松壮亮君と若葉竜也君演じる花の兄たちが、めちゃくちゃ良い味を出していて、ラストに向けて涙エピソードが倍増する。
佐藤浩市さんが、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、お父様にそっくり過ぎて、三國連太郎さんを見てるかのようだった。
社会悪の象徴的な役を、MEGUMIさんと三浦貴大君が演じていて、めちゃくちゃリアルだった。
まさかの実の親子共演の中野英雄さんと太賀君には驚いた!中野パパはまるで息子愛を代弁するかのような台詞を貰っていて、さぞかし中野パパは大喜びだったことでしょう。ま、残念なことに、2人の絡みはなかったけどね。
太賀君の役は、出番は少ないが、花子と正夫に大きなうねりをもたらす重要な人物で、社会の犠牲者の代表的存在を真面目に演じていた。
趣里ちゃんや高良健吾君のチョイ役での登場で良い味を出してた。
出演者が豪華で最後まで見飽きることなく観させてもらいました。
本当にめちゃくちゃ良かった!
まじオススメします!