神谷町小歌舞伎

2023-07-02 22:57:23 | 古典芸能
パンフレットに書かれたハッシーの言葉がめちゃ涙を誘う。

初めて見たよ、兄バカって言葉。

めちゃいい表現!

親バカもしかり、他人が言うんじゃなくて自分で言えるとこがいい!

だって、ホンマに好きだから、親バカにも兄バカにもなれるわけやん!?


ということで、たまたま休みでたまたまチケットが僅かに残っている時に購入し、Twitterの評判がすこぶる良く、人生二度目の浅草公会堂にて成駒屋三兄弟の第一回自主公演千秋楽を観てきました。


いやー、めちゃくちゃ良かった!

いやいやいやいやいやいや、

三兄弟、確実に成長してるやん!歌舞伎素人の私でも分かるくらい、めちゃくちゃ、スターオーラというか、3人とも主役オーラが半端なく、カッコええわ、上手くなってるわ、客席も舞台も愛情に溢れていて、

いやいやいやいやいやいや、大御所や中村座兄弟がいる舞台じゃないのに、三兄弟がめちゃくちゃ光輝いていた!

こんな愛に溢れた自主公演は初めて観たよ!

ぶっちゃけ書くけど、これまで玉三郎さん目当てで作品を観てきて、たまたまそこに三兄弟が参加されていて、明治座もしかり平成中村座もしかり、個々の活躍も観る機会があったりと、コロナに入ってからめちゃくちゃ三兄弟との縁が増えたんよね。

何と言ってもハッシーとは、歌舞伎ではなくミュージカル「ポーの一族」からだからもんね。

だからそれなりに成長を観てるわけだよ。

「新選組」では歌と福ちゃんがダブル主演だったけど、あの時のことを思うと、

浅草公会堂の舞台空間や客席空間が完全に三兄弟だけでなく、芝翫さんの成駒屋一門含めた家族愛に溢れていてめちゃくちゃ素敵な空間だった。

歌がやりたかった弁天小僧。てっきり、三人吉三をするための画策だと思ったよ。

串田和美さん演出で三人吉三やって欲しい!これマヂの想い!

そのためには歌が女形をある程度まで極める必要があるんよね~。

弁天小僧を見る限り決して不可能ではないので、どうかワタクシの想いが届きますように!

それはさておき、

歌の弁天小僧は、吹っ切れ具合が素晴らしい!娘から男に戻るとこね。「新選組」の時はいくら主役でもまだまだ役に振り回されている感があったけど、弁天小僧は歌の好きな想いがめちゃくちゃ伝わってくる役作りでした。

ぶっちゃけさ、娘姿の時は、圧倒的に福ちゃんに食われている感が強かったけど、菊之助になってからは水を得た魚のように生き生きしてたよ。カーテンコールで挨拶していた時と同じ人物だと思えないくらい菊之助だったよ。あ、菊様を呼び捨てしているわけではないので悪しからず。

ぶっちゃけさ、最初、あ、主役を食っちゃってるよ、福ちゃん!と思ってしまうくらい、元々歌舞伎化粧が似合い過ぎる歌舞伎顔の福ちゃんでしたが、今回は更に勢いが増して色気が加わり、発声も素晴らしく、めちゃくちゃ惹きつけられた。福ちゃんは間違いなく殻を一つ破ったね。めちゃくちゃ良くなってる!きっかけは分からないけど!←めちゃ含みがある書き方やな!藁

花道での歌菊之助とのやり取りも兄弟同士には見えなかった。2人ともちゃんと役の人物として会話していてめちゃくちゃ自然で良いシーンだった。「新選組」と比べたらアカンけど、あの浅草公会堂の空間を二人占めしてたよ。

ハッシーは、平成中村座でも感じたが、更にコメディーセンスを磨いていて、第一部の「弁天娘女男白浪」での善人な振る舞いをする極悪人のニヒルな役と第二部「高坏」でのユーモアセンスとのギャップが良い。

高下駄?でのタップもどきも良かったし、実は何気に大変だったのはハッシーだったのでは?と思うくらい、片やひたすらジッと座りっぱなし、片や酔っ払い演技とタップ。忍耐とリズムセンスが必要とする。実は、美味しい役とみせかけておいて、ハッシーが一番大変な役を引き受けたのかもしれないね。

ぶっちゃけさ、歌舞伎座、南座、御園座、明治座、中村座と三兄弟を一緒にまたは個別に観てますが、浅草公会堂という空間は、花形歌舞伎公演に代表されるように、やはり若手歌舞伎役者を育てる場所なのかな?とも思った。本当にいい劇場空間だった。

そうそう、一門の中では、橋吾さんと橋光君、歌のバディ芝桜君、翫延君が若さの中に輝くものがあった。っていうか、若手とかベテランとか関係なく普通に歌舞伎だったよ。

橋吾さんは、実は数年前から存じ上げていたのですが、めちゃくちゃ努力家さんでめちゃくちゃ芸達者さん。番頭の芸が細かい!

橋光君は、声がイケボ!まだまだ若いのに立ち姿も台詞回しも貫禄ありまくり!

翫延君は遠くから観たら芸風も含め大谷廣松君にそっくり!

芝桜君は、可愛らしい顔してるのに見た目と裏腹に努力家だしね。アクロバットする人だとは思わなかったよ。橋光君もね。めちゃくちゃ縁の下の力持ちやん!?

はい、インスタとかめちゃくちゃチェックした!(笑)

もっともっと舞台に立つ機会が欲しいよね。


こんな書き方したら申し訳ないけど、歌舞伎界も芸能界同様弱肉強食の世界やん?弱肉強食の世界だから良くも悪くも切磋琢磨せなアカンわけやん。悪く書けば主役を狙わないと意味がない世界なわけやん。

でも、この神谷町小歌舞伎には愛しかない。弱肉強食なんて全く見えてこない。

大役を貰えてない歌のために、いつも裏方として支えてくれている一門に活躍の場を持たせるために、積極的に兄弟一門一人一人に光を当てようとしている姿がマジ泣ける。

本当に愛しかなかったよ。

ぶっちゃけさ、最初、自主公演すると聞いて、三兄弟が目立つ、引き立つ公演をするもんだと思っていたし、まさか一門皆で作品を作り上げるとは思っていなかったから、全然知らない一門の方々の存在感や演技、表現力、声を知ることができて、新しい発見の場でもあった。

世襲じゃなくてもめちゃくちゃ才能があるのを感じたし、大舞台では裏方に回っていることが信じれないくらい、歌舞伎界の現実を目の当たりにしたと同時に、この自主公演によって、光が当たる場所がある=生きる場所がある、という大きな意義もあったと思う。

もちろん、歌舞伎をもっと周知したい気持ちや成駒屋の未来のための自主公演でもあったことは間違いないけど、それ以上に世襲や弟子関係なく一門で歌舞伎を盛り上げようとするその心意気がマジ素晴らしい!

三兄弟は世襲を引き継いでいるとはいえ、それに驕り高ぶらず一門一丸となって成し遂げようとするその姿勢が歌舞伎界の鑑になったと思うよ。

あとさ、兄バカに表されように不思議なくらい兄弟仲が良い!

ぶっちゃけ書くわ、親の育て方が良い証拠。か、反面教師だったか。いやいや、息子が母親を褒めることができるのは育て方が良かった証拠。


弱肉強食の世界で、こんなに3人とも素直に育っつって、私の世代ではあり得ないことなんだけどね。大概、1人はひねくれるんだけどね。

中村屋兄弟もしかり、なんでそんなに一緒に同じ舞台に立ち続けることが出来るの?相手役が出来るの?反発しなかったの?と聞きたくなる。ま、大きなお世話だけど。

本当に羨ましい兄弟関係!


それはさておき、

こういう舞台を観させてもらうと、一年に1回の数日間ではなく、全国巡演、1ヶ月公演とかスパンが長い公演が期待されるね。いずれそうなるよ。

中村座だって、勘三郎さんが新しく挑戦し継続したから今も存続してるわけだし、

スーパー歌舞伎だって猿翁さんが猿之助時代に歌舞伎に新しい表現を取り入れて、今の猿之助さんに引き継がれたわけだし、

継続は力なり!精神で続けていって欲しいね。

っていうか、三人吉三するまで言い続けますから!(笑)

いやホンマに、三人兄弟は最大の武器やで。

それこそ、今後男五人兄弟が誕生したら、弁天小僧じゃなくて、青砥稿花紅彩画をしろ!って言うけどね。藁

三人兄弟だから面白くなる演目はもっとあるはずだし、新作歌舞伎に取り組んでもいいし、KinKi Kidsみたいに普段は個々で活躍して、自主公演で集結して火花散らしたり科学反応を起こしたりして成駒屋三兄弟にしか出せない色をたくさん創り出したらいいと思うんよね。

将来が楽しみだね。三田ママも大忙しだよ。

本当に素晴らしい公演でした。第2回も楽しみにしてます!